2015年04月08日掲載 【捕食者が昆虫と花の多様性を進化させる?】

オキナワアズチグモに捕食されるツチバチの一種

昆虫と花には「昆虫は花粉を運び、代わりに蜜をもらう」という協力関係があります。ところが多くの場合、花で昆虫を待ち伏せる捕食者が、彼らの協力関係の間に入り込んでいます。捕食者は昆虫と花にとって、ただの「邪魔者」なのでしょうか?コンピューター・シミュレーションによる研究から、捕食者の存在が、昆虫と花の多様性を進化させるカギとなっている可能性が示唆されました。

著者: 香川幸太郎 (東邦大学理学研究科)

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2015年04月07日掲載 【キイロショウジョウバエの交尾行動と概日リズム】

キイロショウジョウバエの雌雄

ほぼすべての生物はその体内に約24時間を測る概日時計をもっています。概日時計は一日の周期で変化する地球環境に適応するために,生物が進化の過程で獲得した能力です。例えば24時間周期の行動リズム(昼行性や夜行性)は概日時計でコントロールされています。概日時計は環境にリズム(昼夜のサイクル)がなくても、24時間を測ることができますが,環境にリズムがあるとそれに同調することができます。私たちは,モデル生物であるキイロショウジョウバエを用いて,オスメスの交尾行動と概日時計の関係について研究しました(Hanafusa et al. 2013)。

著者: 吉井大志 (岡山大学・大学院自然科学研究科)

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2014年02月10日掲載 【花粉を運ぶ昆虫が花の匂いの雌雄差をもたらす】

キールンカンコノキの雄花で花粉を集めるハナホソガ

クジャクの優美な飾り羽根、カブトムシの力強いツノ、シオマネキの大きなハサミ、これらはどれも雌にはなく、雄だけに見られる形質です。このように、同じ種でも雌と雄で明らかに形態が異なることを"性的二型"といいます。性的二型は、古くから様々な動物で知られ、その役割や進化的背景について大いに議論されてきました。ところが、このような性的二型は主に動物のみで知られ、被子植物の花の形や色、匂いなどが雌雄で大きく異なることは稀と考えられてきました。私たちはコミカンソウ科の一部の植物で、花の形質の1つである"匂い"に性的二型がみられることを発見し、それが花粉を運ぶ昆虫との特異な共生関係によってもたらされたことを示しました。

著者: 岡本朋子 (森林総合研究所)

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2014年02月10日掲載 【オルガネラ様共生細菌で身を守るミカンキジラミ】

ミカンキジラミ成虫

昆虫と微生物の共生のかたちのひとつに、微生物が宿主を外敵から守る「防衛共生」がありますが、この関係は進化的に不安定と考えられてきました。ところがさきごろ、私たちは、カンキツ類の大害虫であるミカンキジラミが、毒を作る共生細菌を自らの一部として安定な関係を築き、これを武器に天敵から身を守っているらしいことを明らかにしました。

著者: 中鉢 淳 (豊橋技術科学大学・エレクトロニクス先端融合研究所)

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2014年01月30日掲載 【ゴキブリに栄養を供給する細菌の行く末は?】

オオゴキブリ成虫

非常にタフな害虫というイメージがあるゴキブリですが、実は一人では生きていくことができず、細胞内に共生しているブラタバクテリウム(Blattabacterium cuenoti)という細菌からアミノ酸やビタミンなどの栄養をもらって生きています。この細菌は、今から約一億八千万年前にゴキブリの祖先に感染し、母から子へと絶やすことなく受け継がれてきました。しかし、一部のゴキブリのグループはこの細菌を失っているのです。長大な年月を片時も離れることなくゴキブリと歩みをともにしてきたこの細菌にいったい何が起こったのでしょうか?

著者: 金城幸宏・徳田 岳 (琉球大学熱帯生物圏研究センター)

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応用動物学/昆虫学最新トピック

プロの研究者でもまだ知らないような、出来たてホヤホヤの最新研究成果を分かりやすくお伝えします。

日本応用動物昆虫学会(応動昆)

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