2012年12月20日掲載 【社会性昆虫の繁殖分業を維持する脳内物質】

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ミツバチなどの社会性昆虫の巣には、同じメス個体であるにもかかわらず、繁殖に特化した個体と不妊のヘルパー個体が存在します。このような繁殖の分業は繁殖個体からのフェロモンや行動を介して、体液中のホルモンや脳内物質の作用によって維持されることが知られています。今回はこのような繁殖制御に関わる脳内物質について紹介します。

著者: 佐々木 謙 (金沢工業大学応用バイオ学科|現玉川大学農学部)

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2012年12月14日掲載 【偶然か?必然か? レトロポゾン挿入が関与したと思われるガ類種分化の例】

ウスジロキノメイガ成虫

ガ類の多くは、メスが種ごとに異なる性フェロモンを分泌し同種オスを呼び寄せて交尾します。性フェロモン成分が種ごとに違うのは近縁種同士が間違って交尾することを防ぐためです(生殖前隔離)。故に、性フェロモン成分の生産は、性質の異なる酵素群によって厳密に制御されています。しかし、我々はウスジロキノメイガという蛾において、本種が近縁種ではレトロポゾンのゲノムへの挿入により不活化してしまった酵素遺伝子を用いて、近縁種とは似て非なるフェロモンを生産していることを明らかとしました。今回はガ類の種分化に影響するフェロモンの作り分けの「なぜ?」を紹介します。

著者: 藤井 毅・石川幸男 (東京大学・大学院農学生命科学研究科)

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2012年07月09日掲載 【オオバギをめぐる生物群集の形成過程を探る】

オオバギ属の一種の托葉の中に隠れるムラサキツバメ属のチョウの幼虫

生物群集の形成過程を明らかにすることはこれまで難しいとされてきました。しかし、近年めざましい発展を遂げたDNA解析の技術によって、群集メンバーの起源年代を推定することが可能になってきました。我々は、アリ植物オオバギ属をめぐる生物群集を材料として、群集の形成過程の一部を明らかにすることに成功したのでここに報告します。

著者: 上田昇平 (信州大学・山岳科学総合研究所)・小松 貴 (信州大学・理学部)

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2012年07月04日掲載 【虫の模様の意味】

ハラヒシバッタ成虫

生物の模様にはどのような意味があるのでしょうか? 人間は古くから生物の模様に隠蔽(いんぺい、カモフラージュ方法の1つ)効果があることを経験的に知っていました。軍服や戦車には迷彩パターンが施されていますが、これは生物の模様が持つ隠蔽効果を応用したものです。このように隠蔽効果を持つ生物の体の色や模様を、隠蔽色(保護色)と呼びます。このコラムは、隠蔽色の一つである「分断色」についての話です。

著者: 鶴井香織 (弘前大学 男女共同参画推進室)

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2012年06月26日掲載 【研究室紹介: 東京大学大学院農学生命科学研究科・昆虫遺伝研究室】

カイコガ成虫

はじめまして。東京大学大学院農学生命科学研究科・昆虫遺伝研究室です。「むしコラ」研究室紹介の栄えある第一号を担当させていただくことになりました。本日は、私たちの研究室で行われているさまざまな研究内容について、ご紹介します。

著者: 國生龍平 (東京大学・大学院農学生命科学研究科)
URI: http://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/igb/

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応用動物学/応用昆虫学コラム

応用動物学/応用昆虫学の分野でいま注目されている研究成果を、第一線で活躍している研究者が解説します。

日本応用動物昆虫学会(応動昆)

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