2008年06月09日掲載 【植物のかおりで夜を判断】

アワヨトウ幼虫

どのようにして、昼と夜を区別していますか?夏至に近づくにつれて「日が長くなったなあ」とか、秋になると「あっという間に日が暮れるなあ」という感覚をお持ちだと思います。

その昼夜は何によって感じていますか?おそらくほとんどの人の答えは光でしょう。しかし、別のものによって昼夜を区別している虫がいます。今回のむしむしコラムはそんな虫のお話です。

著者: 塩尻かおり (京都大学生態学研究センター)

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2008年02月14日掲載 【ハダニが増えるとやって来る天敵ケシハネカクシ】

ケシハネカクシ成虫

ガーデニングや家庭菜園などを行っていると、赤や緑の小さなハダニが植物上にたくさん発生し、被害に悩まされることがあります。実は、ハダニは農家の方々も防除に苦労する農業害虫ですが、幸いにも、ケシハネカクシという天敵昆虫の働きによって被害が抑えられることがあります。

彼らはハダニがたくさん発生した作物上に突如あらわれ、短期間に大半のハダニを食い尽くし、その後どこかに飛び去ってしまいます。どこから来て、どこに行くのでしょう?また、ハダニの居場所がなぜ分かるのでしょう?

最近の研究成果を紹介し、これらの疑問について考えてみましょう。

著者: 下田武志 (中央農業総合研究センター)

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2007年12月21日掲載 【兵隊アブラムシの攻撃毒プロテアーゼ】

「社会性昆虫」というとすぐにアリやハチが思い浮かびますが、植物の害虫として悪名高いアブラムシ(アリマキ)に社会性の種類がいることは、あまり知られていないのではないでしょうか。アブラムシの社会には、子を産むことができる普通の虫と、子を産むことなく自分の仲間を守るために外敵と戦う兵隊幼虫という2種類の階級がコロニー内に存在します。このコラムでは、ハクウンボクハナフシアブラムシの兵隊幼虫から見つかった攻撃毒プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)について紹介します。

著者: 沓掛磨也子 (産業総合研究所・生物機能工学)

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2007年11月02日掲載 【ホソヘリカメムシのプロバイオティクス】

ホソヘリカメムシの盲嚢器官

ヨーグルトを食べて生きたビフィズス菌を体内に取り込むと、体内環境が改善されて免疫力がアップ、花粉症やメタボリック症候群の予防にもなります----こんな話を最近よく耳にしませんか?人がヨーグルトを食べてビフィズス菌を取り込むように虫も有用な細菌を外から体内に取り入れて、これらを巧みに利用していることが最近の研究から分かってきました。ここでは、ホソヘリカメムシの腸内共生細菌について少しお話ししたいと思います。

著者: 菊池義智 (産業総合研究所・生物機能工学)

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2007年11月01日掲載 【蛾の「雄らしさ」を作るZ染色体】

正常翅と痕跡翅のカイコ

カイコをはじめとする蛾や蝶の類は、n=30種類ほどの染色体を持っており、そのうち1つがZ染色体です。Z染色体は、雄では細胞あたり2本、雌では1本存在します。このZ染色体の上に存在する遺伝子は、他の染色体(常染色体)とは異なり、神経や筋肉で働く遺伝子が多いことが分かっています。蛾類の行動は雌雄で大きく異なっていますが、その性差にはZ染色体の機能が関与している可能性があります。

著者: 嶋田 透・藤井 告 (東京大学大学院農学生命科学研究科 昆虫遺伝研究室)

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応用動物学/応用昆虫学コラム

応用動物学/応用昆虫学の分野でいま注目されている研究成果を、第一線で活躍している研究者が解説します。

日本応用動物昆虫学会(応動昆)

「むしむしコラム・おーどーこん」は、日本応用動物昆虫学会電子広報委員会が管理・運営しています。