2008年04月08日掲載 【金属光沢は何のために?】
金属光沢を持つ甲虫の、光沢の適応的意味について教えて下さい。
甲虫の金属光沢は、その多くが構造色によって表現されています。
昆虫類を含む生物の構造色については、大阪大学に事務局を置く「構造色研究会」がアクティブに活動しており、シンポジウムの内容や研究会誌をサイト上で公開しています(構造色研究会サイト)。
その第7回シンポジウムに、針山孝彦氏ら(2006)の『樹幹、そして湖面の上を飛翔する構造色をもつ虫たちの行動』という一般講演があり、ヤマトタマムシでは翅鞘(ししょう)のみのモデルに雄が誘引されたこと、アオハダトンボでは雄が構造色を性や日齢の識別シグナルとして識別している可能性があると示唆されたこと、等が記されています(要旨pdf)。
また、東京工業大学の石川謙氏のホームページには、「コガネムシは円偏光」という、ものすごく面白い記事があります(参照)。
その、かなりお終いちかくに、「コガネムシの代わりに真鍮(しんちゅう)の球体を草の根もとにおくと...(空が写りこんだ場所以外は)まわりの風景がとけ込んでいるような気がする...金属光沢のコガネムシも同様な意味で保護色になっている可能性がある」とあります。
結局、金属光沢のもつ適応的意義は、
- 1) 同種にとっては相手が同種かどうかといった種の認知、雌雄(そして日齢、これは相手が交尾可能かどうかの判断材料になります)の識別
- 2) 捕食者にとっては警告(不味いことを宣伝する)、あるいは目眩まし(めくらまし)としての隠蔽擬態(いんぺいぎたい)
- 3) 擬態者(ミミック)にとってはモデル(とくにベーツ型擬態)
- 4) .....
- 5) .....
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