2007年03月27日掲載 【いちばんの害虫は何ですか?】
いちばんの害虫は何ですか?
難しい質問です。なにを大事に考えているかで答えが変わります。
ひとの命が大事だと考えるなら、日本でいちばんの害虫はオオスズメバチでしょう。この蜂は、アナフィラキシーショックで年間100名近くの日本人の命を奪っています。
日本では医療体制が進んでいるので、現代ではあまり問題になっていませんが、世界的にみれば蚊がいちばんの害虫です。蚊が媒介するマラリヤやデング熱、黄熱病などによって、何百万人もの人間が毎年死んでいます。
いや、わたしはいまは農業害虫のことを訊いているのです、とおっしゃるなら、いまの日本では斑点米カメムシでしょうか。斑点米カメムシがイネの穂を吸うと、その吸いあとから雑菌が入り、黒いお米ができてしまいます。こうした米は見かけが悪いので、農家の手取り価格が安くなってしまいます。イネは日本人の主食なので、この経済的被害は大きく、平成17年には100億円以上の被害を与えています。応動昆でも、春の学会で斑点米カメムシについて発表するひとがものすごく増えています。
かつては、イネの害虫といえば、ニカメイガが最も重要な害虫でした。しかし、ニカメイガは一部の地域をのぞけば、いまはほとんど問題にならなくなっています。時代とともに害虫も変化する、ということでしょうか、ニカメイガに近縁なサンカメイガ(イッテンオオメイガ)など、日本では絶滅してしまったくらいです。