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2015年09月04日掲載 【脳の中の体内時計 ~キイロショウジョウバエの研究より~】

キイロショウジョウバエの雌雄

多くの生物は約24時間を測る体内時計(概日時計)をもっています。概日時計は一日の周期で変化する地球環境に適応するために、生物が進化の過程で獲得した生物時計です。例えば睡眠覚醒などの行動リズムは概日時計でコントロールされています。では、概日時計は体の中のどこにあるのでしょうか? このコラムでは最も研究が進んでいるキイロショウジョウバエの概日時計について紹介していきます。

著者: 吉井大志 (岡山大学・大学院自然科学研究科)

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2015年04月10日掲載 【研究室紹介: 宇都宮大学大学院農学研究科・応用昆虫学研究室】

マメアブラムシ

私たちの研究室は主にアブラムシやアザミウマ、コナジラミなどの微小害虫やアブラムシに寄生する寄生蜂の生態学的形質を調査しています。また、最近では東アジアで初めて発見されたアブラムシ内部寄生性のタマバエやセイヨウミツバチなども研究テーマとして加わりました。

著者: 稲川光一 (宇都宮大学大学院農学研究科)
URI: http://shigen.mine.utsunomiya-u.ac.jp/oukon/

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2015年04月10日掲載 【戦うオスと求愛するオス、選ぶメス】

オオツノコクヌストモドキ

クワガタやカブトムシのオスが持つ大顎や角は、なわばりやメスをめぐるオス同士のケンカに用いられています。私たちが今回紹介するオオツノコクヌストモドキという4mm程度の小さな甲虫もまた配偶者を獲得するために、オス同士が大顎で戦います。ケンカに強いオスがメスにも好まれるとこれまで考えられてきましたが、実際はそう単純ではなく、メスとオスとの様々な駆け引きが行われていることが私たちの研究から明らかになってきました。

著者: 香月雅子 (筑波大・生命環境)・岡田賢祐 (岡山大院・環境生命)

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2015年04月09日掲載 【研究室紹介: 東北大学農学研究科・生物制御機能学研究室】

タバコシバンムシ

東北大学農学研究科生物制御機能学研究室では様々な害虫を対象とし、その行動に関与する化学物質について日々研究しています。害虫の摂食や産卵を促進、あるいは阻害する物質を明らかにすることで、殺虫剤を使わない、環境に優しい害虫防除技術を開発することを目的としています。研究テーマの中から、今回はタバコシバンムシと斑点米カメムシに関する研究を中心にご紹介いたします。

著者: 渋谷和樹 (東北大学大学院農学研究科)
URI: http://www.agri.tohoku.ac.jp/insect/index-j.html

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2015年04月09日掲載 【リュウキュウクロコガネのフェロモンと「怠けメス」】

フェロモンを放出するリュウキュウクロコガネのメス

メスフェロモンに誘引されて勢いよく飛んできたリュウキュウクロコガネのオスは、メスの背にダイレクトに着地し、交尾します。一方、集合してオスを待つメスの中には、全くフェロモンを出さない「怠けメス」も混じっています。なぜなのでしょうか。フェロモンを塗布したダミー(綿球)をこのコガネムシ発生地にセットすると、メスと同じようにオスを引き寄せ着地させることができます。この実験の結果から、オスがなぜメスに着地できるのか、そして集合に怠けメスが混じっている理由、メスが集合する性質が進化した理由を考えます。

著者: 深谷 緑 (東京大学大学院農学生命科学研究科/日本大学生物資源科学部)

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2014年01月01日掲載 【農耕地の周辺環境: 露地栽培で土着天敵を利用するときに考慮すべきこと】

ヒメカメノコテントウ

国土面積の多くを占める中山間地では農林業が重要な産業です。中山間地の農耕地周辺には森林や草地などの自然もしくは半自然植生(以下、周辺林野)が広大に広がります。こうした周辺林野は、隠れ家や餌を提供することにより害虫の天敵を維持しています。そうすることで、天敵を一時的に農耕地へ供給し、結果として農耕地で発生する害虫の抑制に役立っていることが、これまでの研究から明らかになっています。このような土着天敵による病害虫被害の軽減は、われわれ人間が知らないうちに多様な生物から受けている恩恵でもあります(生態系サービスとよばれる自然の恵みのひとつ:病害虫制御サービス)。周辺林野が持つこうした機能を上手に活用することで、環境に負荷の少ない農業を持続的に行うことができるかもしれません。

著者: 滝 久智 (森林総合研究所 森林昆虫研究領域)

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2013年12月24日掲載 【近親交配を好む虫と避ける虫】

交尾するイモゾウムシ

近親者と交尾すること(近親交配)は避けるべきだと一般に考えられています。これは近親交配によって生まれてきた子にはしばしば有害な影響(近交弱勢)が見られるためです。しかし、近親者は自分と同じ遺伝子を持っている可能性が高いため、遺伝子の伝搬効率という観点からはむしろ近親交配は有利となり得ます。ここでは、近親交配を避けるか受け入れるかという観点から、昆虫の行動を紹介します。

著者: 栗和田 隆 (鹿児島大学教育学部)

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2013年12月23日掲載 【研究室紹介: 京都大学大学院 人間・環境学研究科 市岡研究室】

アリ植物の1種Macaranga rufescensの新葉に集まる共生アリCrematogaster sp.4と、シジミチョウArhopala dajagakaの幼虫

市岡研究室では、東南アジアの熱帯雨林に生息する昆虫の生態や生物間相互作用の解明を目指した研究を行っています。アリやチョウの多様性と生態、林冠部に生息する昆虫群集の構造、数年に一度様々な分類群の樹種が同調して開花・結実する「一斉開花」と植食性昆虫の群集動態との関係、キノコの分布とキノコ食昆虫の群集構造の関係などがこれまでに扱ってきた題材です。ここでは、アリと緊密な共生関係をもつ「アリ植物」とさまざまな生物との間の相互作用についての研究の一部を紹介します。

著者: 清水加耶 (京都大学大学院人間環境学研究科)

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2013年12月23日掲載 【虫で虫を滅ぼす方法: 不妊虫放飼法による害虫の根絶】

交尾するイモゾウムシ

最近、サツマイモ害虫であるアリモドキゾウムシが、不妊虫放飼法と呼ばれる防除法により沖縄県久米島で根絶されました。離島とはいえ比較的広い島(60 km2)で、どのように害虫を根絶したのか疑問に持たれた方もおられるでしょう。ただ、ゾウムシの根絶を語るには、このコラムではあまりにもスペースが限られています。血と汗と涙のアリモドキゾウムシ根絶ドラマは他に譲ることとし、ここでは不妊虫放飼法で核となる不妊化にまつわる話題を紹介したいと思います。

著者: 熊野了州 (沖縄県病害虫防除技術センター・琉球産経株式会社・琉球大学農学部)

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2013年10月30日掲載 【ベニシジミのメスのセクシャルハラスメント回避行動】

ベニシジミ成虫

セクシャルハラスメントは人間だけのものではありません。逃げ回るメスに対してオスがしつこく求愛するという光景は、非常に多くの動物で見ることができます。オスから執拗に交尾を迫られると、メスは怪我をしたり求愛を逃れようとして天敵に見つかりやすくなったりすることがあります。それほどひどくなくても、餌をとったり産卵したりするところをオスの求愛によって邪魔されるのは甚だ迷惑な話です。しかし、メスの方も被害を受けているばかりではありません。実はセクハラへの対策を進化させているのです。

著者: 井出純哉 (久留米工業大学)

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2013年10月25日掲載 【ヒサカキの花蕾を餌とするソトシロオビナミシャクの適応進化】

ヒサカキの雄蕾を摂食するソトシロオビナミシャク幼虫

昆虫の幼虫には翅がなく、ほとんどの場合、成虫のようには移動できません。そのため、幼虫の中には、自分で餌を選べず、産卵された場所が餌となるものもいます。そのような昆虫では、産卵行動が非常に重要なカギを握っています。今回は、花を食べるシャクガの幼虫の餌利用と産卵行動の進化について調べた研究を紹介します。

著者: 辻 かおる (京都大学大学院理学研究科)

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2013年04月01日掲載 【シャーレの中での実験から野外での保全を考える】

アズキゾウムシのオスとヨツモンマメゾウムシのメス

最近、ウナギの採り過ぎが問題になっています。仮に今ウナギ漁を禁止すれば、ウナギの数は元通りに増えるのでしょうか? このような生物の保全を考える上で重要な現象のひとつに「アリー効果」があります。

例えば、有性生殖をする生物では、子孫を残すためにオスとメスが出会う必要がありますが、異性になかなか出会えないほど個体がばらばらに分布していたら、その生物はそのうち絶滅してしまうでしょう。このように、ある程度同種の個体が周りにいた方が個体にとって都合がいい(生存や繁殖の見込みが上がる)ことを「アリー効果」と呼びます。

では、配偶相手と出会いやすくなること以外に、どんな原因がアリー効果を引き起こすのでしょうか。ここでは、最近あきらかになった意外なメカニズムをご紹介します。

著者: 京極大助 (京都大学大学院理学研究科)

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2013年03月18日掲載 【研究室紹介: 京都大学大学院 人間・環境学研究科・加藤真研究室】

キールンカンコノキの雌花に産卵するハナホソガ

京都大学大学院 人間・環境学研究科 加藤真研究室の末次です。今回は私たちの研究室で取り組んでいる研究について、ご紹介します。当研究室では、「共生」「生物多様性」「ナチュラルヒストリー」などをキーワードに、生態学や進化生物学の視点から研究を行っています。研究対象とする生物に制限はなく、陸域、水域を問わず様々な分類群 (陸上植物、昆虫、魚類、菌類、貝類、海綿、ミミズなど) を研究対象としています。ここでは昆虫関連の研究を幾つか例にとってご紹介しましょう。

著者: 末次健司 (京都大学大学院人間環境学研究科)
URI: http://naturalists.jinkan.kyoto-u.ac.jp

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2013年02月28日掲載 【飛ばないテントウムシでアブラムシを防除する】

飛ばないナミテントウ

テントウムシは、野菜や花の害虫であるアブラムシを食べる天敵として知られています。しかし、アブラムシを食べてもらうために畑にテントウムシを放しても、飛んですぐに逃げられてしまいます。その問題を解決するため、飛ばないテントウムシの系統を育成し、天敵製剤として実用化するための取り組みを行っています。

著者: 世古智一 (近畿中国四国農業研究センター)

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2013年02月01日掲載 【研究室紹介: 岡山大学大学院環境生命科学研究科・進化生態学研究室】

岡山大学大学院・環境生命科学研究科・進化生態学研究室です。本日は私たちの研究室で行われている研究についてご紹介させていただきます。

著者: 角 拓人 (岡山大学大学院環境生命科学研究科)
URI: http://www.agr.okayama-u.ac.jp/LAPE/

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2013年01月22日掲載 【研究室紹介: 京都大学大学院理学研究科・動物生態学研究室】

マヤサンオサムシのメス(下)と交尾するヤコンオサムシのオス(上)

京都大学大学院 理学研究科 動物生態学研究室は銀閣寺からほど近い吉田キャンパスに位置しています。京都大学では古くから生態学の研究が盛んで、吉田キャンパスではこのほかに農学研究科や人間・環境学研究科に生態学の研究室があります。また滋賀県の瀬田には京都大学の生態学研究センターもあります。動物生態学研究室はこれらの研究室の中でも最も歴史の長い研究室です。動物生態学研究室では現在おもに昆虫と魚類を研究の対象としていますが、ここでは特に昆虫を扱った研究を紹介します。

著者: 京極大助 (京都大学大学院理学研究科)
URI: http://ecol.zool.kyoto-u.ac.jp/

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2013年01月14日掲載 【オオヒラタシデムシにおける飛翔能力の退化過程】

ヒラタシデムシ成虫

飛翔能力の獲得は、昆虫の長い進化史の中でも特に重要なイベントの一つです。しかし、飛ぶには多くのエネルギーが必要なため、このような飛翔能力が退化して飛べなくなった種も多くいます。今回は、種内で飛翔能力に2型の見られる種、オオヒラタシデムシにおける飛翔能力の退化過程について調べた研究を紹介します。

著者: 池田紘士 (森林総合研究所)

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2013年01月14日掲載 【一見すると不合理な、テントウムシのエサ選び】

クリサキテントウ成虫

こないだの外食では何を基準にしてメニューを選びましたか? おそらく、値段や自分の好み、あるいはカロリーや塩分などを総合して判断したと思います。昆虫たちも同様で、栄養価や捕まえやすさといったいくつかの指標から、ベストなエサを選んでいると考えられてきました。

ところが、さまざまな種類で研究が進むにつれ、昆虫の中には成長や生存にとって良いエサを選んでいない昆虫もいることが分かってきました。ダーウィンが提唱した生物進化のプロセスでは、不完全な行動しか導かれなかったのでしょうか。それとも、一見すると不合理に見える現象の背景には、合理的な理由が隠されているのでしょうか。私は、他種からの影響を考慮に入れることで、テントウムシ類の風変りなエサ選びの謎を解明しようと試みています。

著者: 鈴木紀之 (東北大学大学院生命科学研究科)

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2012年12月25日掲載 【「出ておいで」 卵の中の子を呼ぶお母さんカメムシ】

雌成虫の合図で一斉に孵化した幼虫

卵塊から一斉に孵化する幼虫たち。彼らはどのようにして、自身の孵化のタイミングを知るのでしょうか。昆虫の親のなかには、産卵後に卵を保護し、孵化を様々な方法で手助けするものがいます。ここでは、お母さんカメムシの一斉孵化を呼びかける振動シグナルについて紹介します。

著者: 向井裕美 (鹿児島大学大学院連合農学研究科)・弘中満太郎 (浜松医科大学医学部)

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2012年12月25日掲載 【コブハサミムシの仔虫はなぜ母親を食べるのか?】

孵化が近い卵塊を保護するコブハサミムシ

これまでに産卵習性が知られている全てのハサミムシ類において雌成虫が自分の卵や仔虫を保護する性質を持つことが知られています。ところが、卵から孵化した仔虫が母親を食べてしまう性質はコブハサミムシにしか知られていません。コブハサミムシの仔虫がなぜ母親を食べてしまうのかは、コブハサミムシの生活史全体を把握しないと理解することはできません。ここでは、そのコブハサミムシの生活史を紹介して、コブハサミムシの仔虫が母親を食べる理由を説明したいと思います。

著者: 河野勝行 (野菜茶業研究所)

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2012年12月20日掲載 【社会性昆虫の繁殖分業を維持する脳内物質】

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ミツバチなどの社会性昆虫の巣には、同じメス個体であるにもかかわらず、繁殖に特化した個体と不妊のヘルパー個体が存在します。このような繁殖の分業は繁殖個体からのフェロモンや行動を介して、体液中のホルモンや脳内物質の作用によって維持されることが知られています。今回はこのような繁殖制御に関わる脳内物質について紹介します。

著者: 佐々木 謙 (金沢工業大学応用バイオ学科|現玉川大学農学部)

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2012年12月14日掲載 【偶然か?必然か? レトロポゾン挿入が関与したと思われるガ類種分化の例】

ウスジロキノメイガ成虫

ガ類の多くは、メスが種ごとに異なる性フェロモンを分泌し同種オスを呼び寄せて交尾します。性フェロモン成分が種ごとに違うのは近縁種同士が間違って交尾することを防ぐためです(生殖前隔離)。故に、性フェロモン成分の生産は、性質の異なる酵素群によって厳密に制御されています。しかし、我々はウスジロキノメイガという蛾において、本種が近縁種ではレトロポゾンのゲノムへの挿入により不活化してしまった酵素遺伝子を用いて、近縁種とは似て非なるフェロモンを生産していることを明らかとしました。今回はガ類の種分化に影響するフェロモンの作り分けの「なぜ?」を紹介します。

著者: 藤井 毅・石川幸男 (東京大学・大学院農学生命科学研究科)

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2012年07月09日掲載 【オオバギをめぐる生物群集の形成過程を探る】

オオバギ属の一種の托葉の中に隠れるムラサキツバメ属のチョウの幼虫

生物群集の形成過程を明らかにすることはこれまで難しいとされてきました。しかし、近年めざましい発展を遂げたDNA解析の技術によって、群集メンバーの起源年代を推定することが可能になってきました。我々は、アリ植物オオバギ属をめぐる生物群集を材料として、群集の形成過程の一部を明らかにすることに成功したのでここに報告します。

著者: 上田昇平 (信州大学・山岳科学総合研究所)・小松 貴 (信州大学・理学部)

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2012年07月04日掲載 【虫の模様の意味】

ハラヒシバッタ成虫

生物の模様にはどのような意味があるのでしょうか? 人間は古くから生物の模様に隠蔽(いんぺい、カモフラージュ方法の1つ)効果があることを経験的に知っていました。軍服や戦車には迷彩パターンが施されていますが、これは生物の模様が持つ隠蔽効果を応用したものです。このように隠蔽効果を持つ生物の体の色や模様を、隠蔽色(保護色)と呼びます。このコラムは、隠蔽色の一つである「分断色」についての話です。

著者: 鶴井香織 (弘前大学 男女共同参画推進室)

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2012年06月26日掲載 【研究室紹介: 東京大学大学院農学生命科学研究科・昆虫遺伝研究室】

カイコガ成虫

はじめまして。東京大学大学院農学生命科学研究科・昆虫遺伝研究室です。「むしコラ」研究室紹介の栄えある第一号を担当させていただくことになりました。本日は、私たちの研究室で行われているさまざまな研究内容について、ご紹介します。

著者: 國生龍平 (東京大学・大学院農学生命科学研究科)
URI: http://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/igb/

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2012年03月08日掲載 【ヤマトアシナガバチの社会(1) 慎み深い女王】

ヤマトアシナガバチ成虫

アシナガバチ亜科 (Polistinae) のコロニーのほとんどは、分封によって新コロニーを作る熱帯に生息するグループを除いて、1頭の女王と多くても100頭前後(多くは数十以下)の働き蜂からなる。コロニー構成メンバーの間には、噛みつき、突進、翅振動などの優位行動と呼ばれる攻撃あるいは威圧行動によって決まる社会的優劣順位が存在する。また、多くの種において、優劣順位の上位個体ほど、あるいは、女王のみが、歩行しながら腹部を左右に振ること(尻振り行動)が知られている。これまでの研究によって、その優劣順位の最上位に女王がいること、そして、女王は、産卵を独占するだけでなく、コロニーが必要なそのときどきの餌量に応じて働き蜂に外役を促すと考えられてきた。後者については、最近必ずしもそうでないという報告が出てきたが、前者については1種の例外(Ropalidia marginata)を除いてそれを否定する報告はない。しかし、アシナガバチ亜科には現在1,000種近くが含まれるが、優劣順位が調べられたのは、わずか19種で、果たして、これまで考えられてきた社会構造が全てのアシナガバチに当てはまるかどうかの保証はない。私たちは、日本では比較的珍しい種であるヤマトアシナガバチ(Polistes japonicus Saussure、以下ヤマト、図1)を野外に設けた屋根付き網室で飼育し、ヤマトが、従来考えられていたアシナガバチの社会とはかなり異なることを発見した。今回から数回にわたって、ヤマトの興味有る社会を紹介する。

著者: 山田佳廣・石川善大※ (三重大学大学院生物資源学研究科 ※現在 環境機器株式会社)

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2010年12月13日掲載 【兵隊を持つ寄生蜂】

かみつく兵隊型幼虫

兵隊カーストは防衛に専念するように特殊化した階級で、アリやシロアリなど社会性昆虫でよく知られていますが、「多胚性寄生蜂」といって、1つの卵から多数の成虫を発達させる寄生蜂のなかにも兵隊カーストを持つものが明らかになっています。今回は、「多胚性寄生蜂」が同じ寄主に侵入してきた別の寄生蜂に対して、兵隊カーストを増員して攻撃し、多数の仲間を守る現象を紹介します。

著者: 岩淵喜久男・宇賀大祐 (東京農工大学大学院農学府応用昆虫学研究室)

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2010年12月02日掲載 【死んだふりって役に立つんだ!】

天敵アダンソンハエトリグモの前で死にまねして動かないコクヌストモドキ

Q) 昆虫を捕まえようとすると、葉っぱから地面に落ちて急に動かなくなってしまい、死んだようになってしまうことがあります。虫が見せるこのような「死んだふり」って役に立つのでしょうか?

著者: 宮竹貴久 (岡山大学大学院環境学研究科)

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2010年12月01日掲載 【アリと共に生きるチョウ】

クロオオアリ巣内のクロシジミ終齢幼虫

シジミチョウの中にはアリの巣の中で生活するという、変わった生き方をしているものがいます。最近の研究からシジミチョウは、様々な方法を駆使してアリの巣に入り込み、世話をしてもらっている事がわかってきました。今回はクロシジミの幼虫がどのようにアリを「騙して」いるのか、そのメカニズムを紹介したいと思います。

著者: 北條 賢 (京都工芸繊維大学/琉球大学)

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2009年09月10日掲載 【昆虫を扱う職業: 地方農試からの手紙】

ミカン園での天敵調査

前略

昆虫学を専攻している学生諸君の中には、専門性を生かせる就職先の選択肢の一つとして地方農試(都道府県立の農業関係の試験研究機関)を考えている人も多いことでしょう。私は20年以上地方農試で害虫の研究に従事し、現在は研究を総括する立場です。地方農試における昆虫関係の仕事の現状について私の経験を交えて書いています。この手紙が昆虫の研究を志す諸君が就職先を選択する際に参考になれば幸いです。

草々

著者: 堤 隆文 (福岡県農業総合試験場)

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2009年07月04日掲載 【虫を食べたことがありますか】

ヤシオサゾウムシ幼虫の串焼

「ただでさえ気持ちの悪い虫を食べるなど、もってのほか」という人が多いと思います。しかし、近年昆虫を食べることに対する関心は世界的に高まっているのです。それはどうしてかというと、将来、昆虫を動物タンパク質源として利用しようという考えを持つ研究者が増えてきたからです。ここでは日本の昆虫食を紹介し、また海外における昆虫食を概観し、未来の昆虫食についても触れました。

著者: 三橋 淳 (東京農業大学客員研究員・元教授)

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2009年06月05日掲載 【蛾の密やかなラブソング: 鱗粉による超音波の発生と交尾行動における機能】

アワノメイガの配偶行動

秋の夜長に鳴く虫と同じように、蛾の仲間にも音により雌雄で交信をするものがいます。私たちは、ある種の蛾のオスがきわめて微弱な超音波を用いてラブソングを歌うことを発見しました。この歌は、オスが前翅と胸部にある特殊な鱗粉をこすり合わすことで生じ、メスが交尾を受け入れる際に重要な役割を果たしています。微弱な超音波の利用は、メスをめぐる競争相手のオスや天敵による盗聴を避けるのに有効と考えられ、今回初めて明らかになりました。今後は同様の現象が多くの昆虫や動物で見つかっていくものと期待されます。

著者: 中野 亮 (東京大学大学院農学生命科学研究科)・高梨琢磨 (森林総合研究所)

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2008年11月21日掲載 【昆虫を扱う職業: ズバリ的中!? 病害虫が発生する時期や量を予測します】

捕虫網を使ってカメムシ類のすくい取り調査をしている筆者

農作物には、いろいろな種類の病気や害虫が発生します。これらの病害虫が、いつごろどの程度発生するのか事前に予測することを病害虫の「発生予察」と言います。国と都道府県は、植物防疫法という法律で、「発生予察事業」を行うように定められています。発生予察事業は、ウンカ類の大発生をきっかけに、1941年に水稲を対象としてスタートしました。その後、麦、大豆、果樹、野菜、花き等が対象作物に加わり、この事業は、定められた基準・方法に従って全国で実施されています。

著者: 菖蒲信一郎 (佐賀県農業技術防除センター)

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2008年09月09日掲載 【昆虫を扱う職業: 思わぬ知識が役に立つ!? 現場密着型の農業改良普及員】

ほうれんそうのハウスをみんなで見学

「農業改良普及員」という職種をご存じでしょうか。地域の農業が抱える課題を解決し、より良い方向に誘導するべく、農業に関する技術や情報、各種制度や法律をもって現場に出向く技術者です。農業者の相談窓口であり、現場に密着しつつ、都道府県や市町村、農協等の各種団体とも関わりのあるこの業界。もしここに、多少なりとも「虫」との付き合いのある人材が入ったら...?

今回は筆者の体験をもとに、農業改良普及員の業務について紹介します。

著者: 後藤純子 (二戸農業改良普及センター)

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2008年09月05日掲載 【渡る世間はメスばかり? 宿主のオスだけを殺す共生細菌】

オス殺し共生細菌に感染したショウジョウバエのメスがうんだ子孫(メスしかいない)

昆虫にはオスとメスが存在します。多くの場合、その比率はおよそ1:1です。ところがそのような昆虫種において、メスばかりうまれる系統が見つかることがあります。このような現象は、染色体の異常などが原因で起こることもありますが、驚くべきことに、昆虫体内の共生細菌が宿主の生殖を操っているケースが多いのです。共生細菌による宿主の生殖操作は、これまでに多様な昆虫種から報告されており、その原因となる共生細菌もさまざまですが、今回はその一例として、ショウジョウバエの共生細菌であるスピロプラズマが引き起こす性比異常現象について紹介したいと思います。

著者: 安佛尚志・深津武馬 (産業技術総合研究所・生物機能工学)

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2008年06月09日掲載 【植物のかおりで夜を判断】

アワヨトウ幼虫

どのようにして、昼と夜を区別していますか?夏至に近づくにつれて「日が長くなったなあ」とか、秋になると「あっという間に日が暮れるなあ」という感覚をお持ちだと思います。

その昼夜は何によって感じていますか?おそらくほとんどの人の答えは光でしょう。しかし、別のものによって昼夜を区別している虫がいます。今回のむしむしコラムはそんな虫のお話です。

著者: 塩尻かおり (京都大学生態学研究センター)

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2008年02月14日掲載 【ハダニが増えるとやって来る天敵ケシハネカクシ】

ケシハネカクシ成虫

ガーデニングや家庭菜園などを行っていると、赤や緑の小さなハダニが植物上にたくさん発生し、被害に悩まされることがあります。実は、ハダニは農家の方々も防除に苦労する農業害虫ですが、幸いにも、ケシハネカクシという天敵昆虫の働きによって被害が抑えられることがあります。

彼らはハダニがたくさん発生した作物上に突如あらわれ、短期間に大半のハダニを食い尽くし、その後どこかに飛び去ってしまいます。どこから来て、どこに行くのでしょう?また、ハダニの居場所がなぜ分かるのでしょう?

最近の研究成果を紹介し、これらの疑問について考えてみましょう。

著者: 下田武志 (中央農業総合研究センター)

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2007年12月21日掲載 【兵隊アブラムシの攻撃毒プロテアーゼ】

「社会性昆虫」というとすぐにアリやハチが思い浮かびますが、植物の害虫として悪名高いアブラムシ(アリマキ)に社会性の種類がいることは、あまり知られていないのではないでしょうか。アブラムシの社会には、子を産むことができる普通の虫と、子を産むことなく自分の仲間を守るために外敵と戦う兵隊幼虫という2種類の階級がコロニー内に存在します。このコラムでは、ハクウンボクハナフシアブラムシの兵隊幼虫から見つかった攻撃毒プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)について紹介します。

著者: 沓掛磨也子 (産業総合研究所・生物機能工学)

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2007年11月02日掲載 【ホソヘリカメムシのプロバイオティクス】

ホソヘリカメムシの盲嚢器官

ヨーグルトを食べて生きたビフィズス菌を体内に取り込むと、体内環境が改善されて免疫力がアップ、花粉症やメタボリック症候群の予防にもなります----こんな話を最近よく耳にしませんか?人がヨーグルトを食べてビフィズス菌を取り込むように虫も有用な細菌を外から体内に取り入れて、これらを巧みに利用していることが最近の研究から分かってきました。ここでは、ホソヘリカメムシの腸内共生細菌について少しお話ししたいと思います。

著者: 菊池義智 (産業総合研究所・生物機能工学)

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2007年11月01日掲載 【蛾の「雄らしさ」を作るZ染色体】

正常翅と痕跡翅のカイコ

カイコをはじめとする蛾や蝶の類は、n=30種類ほどの染色体を持っており、そのうち1つがZ染色体です。Z染色体は、雄では細胞あたり2本、雌では1本存在します。このZ染色体の上に存在する遺伝子は、他の染色体(常染色体)とは異なり、神経や筋肉で働く遺伝子が多いことが分かっています。蛾類の行動は雌雄で大きく異なっていますが、その性差にはZ染色体の機能が関与している可能性があります。

著者: 嶋田 透・藤井 告 (東京大学大学院農学生命科学研究科 昆虫遺伝研究室)

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2007年11月01日掲載 【昆虫を扱う職業: ある昆虫担当学芸員の話】

リニューアルされた昆虫の展示室

博物館などで研究や展示などの専門的な仕事をする人がいます。主に学芸員と呼ばれている職種の人たちで、昆虫を扱っている博物館には昆虫担当の学芸員がいます。私がこの職業を知ったのは高校2年生の時のことです。隣町にある倉敷市立自然史博物館を訪れて、たくさんの昆虫標本の展示を見たり、昆虫担当の先生のお話を聞いたりしているうちに、昆虫が好きだった私は、「昆虫に囲まれて仕事ができるなんて素敵な職業だなあ」とあこがれのようなものを感じていました。そして、6年後、奇遇にも私はその倉敷市立自然史博物館で昆虫担当の学芸員として働くことになったのです。それまでのいきさつと博物館での仕事の概要をご紹介させていただきます。

(2010年2月3日 一部改訂)

著者: 奥島雄一 (倉敷市立自然史博物館)
URI: http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/

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2007年08月02日掲載 【マルカメムシの共生細菌カプセル】

カプセルを吸うマルカメムシの孵化幼虫

マルカメムシは空き地などにはえているクズの茎にものすごい数でついている虫です。洗濯物にもよくついている虫です。また、手ではたくとすごく臭い匂いを出す虫です。マルカメムシという名を聞いたことがない読者の方でもここまで読んで、あれのことか、と思われたのではないでしょうか。極めて普通種で身近な虫なのですが、実は多くの読者の方がまだ聞いたことがないであろう非常におもしろい現象が見られます。

著者: 細川貴弘・深津武馬 (産業総合研究所・生物機能工学)

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2007年05月10日掲載 【ダンゴムシはジグザグが好き!】

オカダンゴムシ

軒下に置いてある植木鉢を持ち上げると、鉢の下からころころと転がりでるダンゴムシを見かけることがあります。正式にはオカダンゴムシという生き物です。足の数や胸と腹の区別がないことからもわかるように、昆虫ではなく、エビやカニなどとともに節足動物門甲殻綱に分類されています。

この生き物がたいへん面白い行動をすることが知られています。どなたでも観察できるちょっと不思議な楽しい行動をご紹介しましょう。

著者: 小野知洋 (金城学院大学)

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2007年03月27日掲載 【ダニを巣に運ぶアトボシキタドロバチ】

アトボシキタドロバチ

アトボシキタドロバチは東~北日本に分布する小型のドロバチです。このハチの約9割は、卵の時からずっと『アトボシキタドロバチヤドリコナダニ』と暮らしています。成虫になったハチの体には、図に緑の円で示た場所(両翅のつけ根の後方や一番目の腹節の下)などに窪み(ダニポケット=アカリナリウム)があります。ハチが成虫になる(羽化する)時に、ダニはこのアカリナリウムに殺到し、合計100頭を超えるダニがこの中に入します。そしてメスバチが新しい巣を作る時、アカリナリウムから出て巣に入ってゆくのです。

著者: 岡部貴美子・牧野俊一 (森林総研)

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2007年03月27日掲載 【チョウの訪花学習性】

花を訪れるモンシロチョウ

「チョウ」というと、ヒラヒラ花から花へ、天真爛漫、何も考えず気ままに飛んでいるというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。実は違います。彼女らは大変(それなりに?)頭がいいのです。今回はそんな彼女らの訪花学習性について、最近の研究を紹介しようと思います。

著者: 香取郁夫・山木貴史 (近畿大学農学部)・奥山清市・坂本 昇 (伊丹市昆虫館)

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2007年03月27日掲載 【ヒメハナカメムシ(天敵)によるアザミウマ(害虫)の防除】

アザミウマを捕食するヒメハナカメムシ

岡山県北部には、アザミの花を手の中で転がし、「牛出ぇ、馬出ぇ、飛行機出ぇ」と歌いながら花の中から這い出してくる虫を、牛や馬や飛行機に例える遊び歌が伝わっています。

アザミの代わりにシロツメクサを使っても、花の中に潜んでいるアザミウマ類(図1)やアザミウマ類の天敵であるヒメハナカメムシ類(図2)などが出てきます。そして、この中に害虫防除のヒントも隠れていました。

著者: 永井一哉 (岡山県農業総合センター農業試験場)

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2007年03月27日掲載 【虫媒性ウイルスの巧妙な手口】

トスポウイルス感染による病害

ウイルスに感染して病気になるのはヒトなどの動物だけではありません。植物も感染し、野菜や花などの農産物に壊滅的な被害が生じることもあります。昆虫やダニの仲間にはこうした植物ウイルスを媒介する種類がいます。今回は、ベクター(媒介昆虫)を巧妙に操作する植物ウイルスの生き残り戦略についてご紹介します。

著者: 櫻井民人 (東北農業研究センター)

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2007年03月27日掲載 【吸汁によって植物を激しく萎縮させるヨコバイ】

フタテンチビヨコバイ

農作物の栽培方法の変化や温暖化の影響などによって,これまで害虫ではなかった虫が,新しく害虫化するものがあります。フタテンチビヨコバイは,最近,飼料用トウモロコシの成長を止めてしまう「ワラビー萎縮症」と呼ばれる被害を起こして問題になっています。ここでは,この虫のおもしろい生態を紹介します。

著者: 松村正哉 (九州沖縄農業研究センター)

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2007年03月27日掲載 【福建省タケ害虫問題の顛末】

ナンキンスゴモリハダニ

モウソウチク(孟宗竹)はササ・タケの中でも最大のタケで、稈の直径が30cm、高さが25mに達することもあります。原産地は中国の福建省だといわれていますが、日本にも江戸時代に薩摩の殿様が輸入し、いまは本州以南で広く栽培されています。タケノコが美味しく、また管理された竹林の美しさから、ほとんどの人は、このモウソウチクが日本古来のものだと思っているようです。ここでは、このモウソウチクに大発生したハダニにまつわる話を紹介することにしましょう。

著者: 斉藤 裕 (北海道大学農学部)

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2007年03月27日掲載 【カシノナガキクイムシ】

カシナガキクイムシ雌雄

「キクイムシ」には、その名の通り木を食べる種類の他に、木の中に餌となる菌類を持ち込んで栽培する種類がいます。このような農業を営むキクイムシの一種が樹木の幹に孔をあけ、次々に枯死させる被害が全国各地で拡がっています。今回は、この奇妙な現象を紹介しようと思います。

著者: 小林正秀 (京都府林業試験場)

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2007年03月27日掲載 【社会性昆虫の卵保護行動を介した生物間相互作用】

シロアリの卵に擬態する菌核菌「ターマイトボール」

親が自分たちの子を認識し、世話をすることは、あらゆる社会性生物にとって社会の基礎となる重要な行動です。カッコウの托卵で知られるように、擬人的に言えば親から子への無償の愛を巧妙に利用する生物がいます。アリやシロアリの職蟻は、女王の産んだ卵を育室で大切に世話をします。ここで「シロアリの卵に擬態する菌類」と「巨大アブラムシの卵を保護するアリ」の話を紹介します。

著者: 松浦健二 (岡山大学大学院環境学研究科)
URI: http://www.agr.okayama-u.ac.jp/LIPM/

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2007年03月27日掲載 【イモムシの唾液?】

 

以前、TVドラマで竹内結子演じる大学院生が「アブラムシに襲われた植物が匂いを出すと、天敵のテントウムシが植物を助けにくる」というテーマで論文を書いたところ、指導教官が「そんな都合のいい話があるか」と一蹴する......そんな場面がありました。実はそんな都合のいい話が、芋虫と植物と寄生蜂の間に発見されてから、かれこれ10年以上経っています。

著者: 吉永直子・森 直樹 (京都大学大学院農学研究科)

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応用動物学/応用昆虫学コラム

応用動物学/応用昆虫学の分野でいま注目されている研究成果を、第一線で活躍している研究者が解説します。

日本応用動物昆虫学会(応動昆)

「むしむしコラム・おーどーこん」は、日本応用動物昆虫学会電子広報委員会が管理・運営しています。