2009年07月04日掲載 【虫を食べたことがありますか】

ヤシオサゾウムシ幼虫の串焼

「ただでさえ気持ちの悪い虫を食べるなど、もってのほか」という人が多いと思います。しかし、近年昆虫を食べることに対する関心は世界的に高まっているのです。それはどうしてかというと、将来、昆虫を動物タンパク質源として利用しようという考えを持つ研究者が増えてきたからです。ここでは日本の昆虫食を紹介し、また海外における昆虫食を概観し、未来の昆虫食についても触れました。

著者: 三橋 淳 (東京農業大学客員研究員・元教授)

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2009年06月05日掲載 【蛾の密やかなラブソング: 鱗粉による超音波の発生と交尾行動における機能】

アワノメイガの配偶行動

秋の夜長に鳴く虫と同じように、蛾の仲間にも音により雌雄で交信をするものがいます。私たちは、ある種の蛾のオスがきわめて微弱な超音波を用いてラブソングを歌うことを発見しました。この歌は、オスが前翅と胸部にある特殊な鱗粉をこすり合わすことで生じ、メスが交尾を受け入れる際に重要な役割を果たしています。微弱な超音波の利用は、メスをめぐる競争相手のオスや天敵による盗聴を避けるのに有効と考えられ、今回初めて明らかになりました。今後は同様の現象が多くの昆虫や動物で見つかっていくものと期待されます。

著者: 中野 亮 (東京大学大学院農学生命科学研究科)・高梨琢磨 (森林総合研究所)

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2008年11月21日掲載 【昆虫を扱う職業: ズバリ的中!? 病害虫が発生する時期や量を予測します】

捕虫網を使ってカメムシ類のすくい取り調査をしている筆者

農作物には、いろいろな種類の病気や害虫が発生します。これらの病害虫が、いつごろどの程度発生するのか事前に予測することを病害虫の「発生予察」と言います。国と都道府県は、植物防疫法という法律で、「発生予察事業」を行うように定められています。発生予察事業は、ウンカ類の大発生をきっかけに、1941年に水稲を対象としてスタートしました。その後、麦、大豆、果樹、野菜、花き等が対象作物に加わり、この事業は、定められた基準・方法に従って全国で実施されています。

著者: 菖蒲信一郎 (佐賀県農業技術防除センター)

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2008年09月09日掲載 【昆虫を扱う職業: 思わぬ知識が役に立つ!? 現場密着型の農業改良普及員】

ほうれんそうのハウスをみんなで見学

「農業改良普及員」という職種をご存じでしょうか。地域の農業が抱える課題を解決し、より良い方向に誘導するべく、農業に関する技術や情報、各種制度や法律をもって現場に出向く技術者です。農業者の相談窓口であり、現場に密着しつつ、都道府県や市町村、農協等の各種団体とも関わりのあるこの業界。もしここに、多少なりとも「虫」との付き合いのある人材が入ったら...?

今回は筆者の体験をもとに、農業改良普及員の業務について紹介します。

著者: 後藤純子 (二戸農業改良普及センター)

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2008年09月05日掲載 【渡る世間はメスばかり? 宿主のオスだけを殺す共生細菌】

オス殺し共生細菌に感染したショウジョウバエのメスがうんだ子孫(メスしかいない)

昆虫にはオスとメスが存在します。多くの場合、その比率はおよそ1:1です。ところがそのような昆虫種において、メスばかりうまれる系統が見つかることがあります。このような現象は、染色体の異常などが原因で起こることもありますが、驚くべきことに、昆虫体内の共生細菌が宿主の生殖を操っているケースが多いのです。共生細菌による宿主の生殖操作は、これまでに多様な昆虫種から報告されており、その原因となる共生細菌もさまざまですが、今回はその一例として、ショウジョウバエの共生細菌であるスピロプラズマが引き起こす性比異常現象について紹介したいと思います。

著者: 安佛尚志・深津武馬 (産業技術総合研究所・生物機能工学)

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応用動物学/応用昆虫学コラム

応用動物学/応用昆虫学の分野でいま注目されている研究成果を、第一線で活躍している研究者が解説します。

日本応用動物昆虫学会(応動昆)

「むしむしコラム・おーどーこん」は、日本応用動物昆虫学会電子広報委員会が管理・運営しています。