<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<feed xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom">
   <title>むしむしコラム・おーどーこん</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/" />
   <link rel="self" type="application/atom+xml" href="http://column.odokon.org/atom.xml" />
   <id>tag:column.odokon.org,2012://3</id>
   <updated>2012-04-11T09:26:35Z</updated>
   <subtitle>「むしむしコラム・おーどーこん(むしコラ)」は、虫や動物の不思議な世界をプロの研究者が分かりやすく紹介する応用動物昆虫学のポータルサイトです。</subtitle>
   <generator uri="http://www.sixapart.com/movabletype/">Movable Type 3.38</generator>

<entry>
   <title>『基礎の昆虫学』現在準備中です</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0301_231055.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.350</id>
   
   <published>2007-03-01T14:10:55Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:57Z</updated>
   
   <summary>現在準備中です。ご期待下さい。...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="basic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      現在準備中です。ご期待下さい。
      
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>ヤマトアシナガバチの社会(1)　慎み深い女王</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2012/0308_160000.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2012://3.700</id>
   
   <published>2012-03-08T07:00:00Z</published>
   <updated>2012-04-11T07:54:35Z</updated>
   
   <summary>アシナガバチ亜科 (Polistinae) のコロニーのほとんどは、分封によって...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">アシナガバチ亜科 (Polistinae) のコロニーのほとんどは、分封によって新コロニーを作る熱帯に生息するグループを除いて、1頭の女王と多くても100頭前後（多くは数十以下）の働き蜂からなる。コロニー構成メンバーの間には、噛みつき、突進、翅振動などの優位行動と呼ばれる攻撃あるいは威圧行動によって決まる社会的優劣順位が存在する。また、多くの種において、優劣順位の上位個体ほど、あるいは、女王のみが、歩行しながら腹部を左右に振ること（尻振り行動）が知られている。これまでの研究によって、その優劣順位の最上位に女王がいること、そして、女王は、産卵を独占するだけでなく、コロニーが必要なそのときどきの餌量に応じて働き蜂に外役を促すと考えられてきた。後者については、最近必ずしもそうでないという報告が出てきたが、前者については1種の例外(<i>Ropalidia marginata</i>)を除いてそれを否定する報告はない。しかし、アシナガバチ亜科には現在1,000種近くが含まれるが、優劣順位が調べられたのは、わずか19種で、果たして、これまで考えられてきた社会構造が全てのアシナガバチに当てはまるかどうかの保証はない。私たちは、日本では比較的珍しい種であるヤマトアシナガバチ(<i>Polistes japonicus</i> Saussure、以下ヤマト、図1)を野外に設けた屋根付き網室で飼育し、ヤマトが、従来考えられていたアシナガバチの社会とはかなり異なることを発見した。今回から数回にわたって、ヤマトの興味有る社会を紹介する。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/yamada_fig01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/yamada_fig01.php'、'popup'、'width=650、height=488、scrollbars=no、resizable=no、toolbar=no、directories=no、location=no、menubar=no、status=no、left=0、top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/yamada_fig01-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="図1: ヤマトアシナガバチのコロニー" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: ヤマトアシナガバチのコロニー。中央のマークがない個体が創設女王、左上の顔面と頭楯が黄色の個体と右下の奥にいる個体はオス、残りは働き蜂 (石川善大撮影)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>

<p class="indent">ヤマトの働き蜂数は、多くても10数頭である。便宜的に最初の働き蜂が羽化してから8日目までに羽化した個体を第1ブルード、8日目以降羽化の働き蜂を第2ブルードと名付けた。第1ブルード最終個体羽化から第2ブルード羽化開始前日までを第1ブルード期(以降F期)、第2ブルード働き蜂が全て羽化してから繁殖虫が羽化するまでを混合ブルード期(以降M期)と名付けた。</p>
<p class="indent">創設女王がいる場合は、産卵を創設女王がほぼ独占して行った。また、尻振り行動をするのは女王にほぼ限られた。社会的優劣順位は、コロニー構成員について考えられる全ての対について、対戦表をつくり推定した。優位行動を行った方が勝ち、受けた方が負けとして、その対について勝ち数が多い方が優位者、少ない方が劣位者とした。対象個体の順位は、その個体より劣位な個体が多いほど優劣順位が上位とした。これまでのアシナガバチの優劣順位を調べた研究から、最上位個体(通常女王)は以下の様な特徴を持っていることが報告されている。(1)全ての個体に対して優位である。(2)どの働き蜂よりも優位行動を最も頻繁に行う。(3)働き蜂の中の最優位個体に対して優位行動を最も頻繁に行う。ヤマトにおいては、これらの特徴が、F期には一部しか見られず、M期においては全く見られなかった。特に、M期では、創設女王は優位行動を優位働き蜂群(主に第2ブルード)に対してほとんど行わず、劣位働き蜂群(主に第1ブルード)に対し頻繁に行った(図2)。そのため、女王の優劣順位は不明瞭となった。</p>

<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/yamada_fig02.pdf" target="_blank"><img alt="図2: 3つのコロニーで見られたM期における女王が各働き蜂に示した優位行動頻度" src="http://column.odokon.org/archives/yamada_fig02_thumb.jpg" width="240" height="263" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 3つのコロニーで見られたM期における女王が各働き蜂に示した優位行動頻度。<br />
		Ishikawa et al. (2011)を改変<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/yamada_fig03.pdf" target="_blank"><img alt="図3: 女王の尻振り行動頻度の日変化" src="http://column.odokon.org/archives/yamada_fig03_thumb.jpg" width="240" height="187" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 女王の尻振り行動頻度の日変化。<br />
		Ishikawa et al. (2011)を改変<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>

<p class="indent clearfloat">観察した5巣中2巣で、繁殖虫羽化前に、創設女王が消失した。これらの巣では、働き蜂の中で最優位個体が、社会的優劣順位でトップを保ち、産卵を頻繁に行った。しかし、他の少数の働き蜂も女王位継承個体よりは少ないが少数の卵を産んだ。興味有ることに、消失創設女王の尻振り頻度(/h)は、巣の発達とともに減少したのに対し、消失しなかった創設女王は、初期の頻度を最後まで保った(図3)。これは、尻振り行動が女王の元気さを示す指標であり、これが正直な信号(honest signal)の役割を果たしている可能性がある。また、女王位承個体は、継承後、尻振り頻度を増加させたが、元の女王に比べて著しく少なかった。これが、他の働き蜂の産卵を許すことになったのかも知れない。尻振り行動によって巣が振動するようなことは起きなかったため、働き蜂が尻振り頻度を認知することは、難しいと考えられる。働き蜂は、尻振り行動にともなって放出さているかも知れないフェロモンを感知しているのかも知れない。</p>
<p class="indent">このように、ヤマトでは優位行動で決る社会的優劣順位と繁殖上の優劣順位とは異なり、後者は尻振り行動で決る可能性が示された。尻振り行動が正直な信号として働いているのかもしれない。これらは、アシナガバチの社会は、我々が従来考えていたより多様で複雑であることを暗示する。今後、アシナガバチ社会のシステムとその進化の理解のため、多くの種において詳細な観察が期待される。</p>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Ishikawa, Y., Y. Y. Yamada, M. Matsuura, M. Tsukada and K. Tsuchida (2011)  <i>Polistes japonicus</i> (Hymenoptera, Vespidae) queens monopolize ovipositing but are not the most active aggressor in dominant-subordinate interactions.  <a href="http://www.springerlink.com/content/nvk1743235173542/" target="_blank"><i>Insectes Sociaux</i> 58(4): 519-529.</a></li>
</ul>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>兵隊を持つ寄生蜂</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2010/1213_181037.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2010://3.552</id>
   
   <published>2010-12-13T09:10:37Z</published>
   <updated>2010-12-13T09:14:10Z</updated>
   
   <summary>兵隊カーストは防衛に専念するように特殊化した階級で、アリやシロアリなど社会性昆虫...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">兵隊カーストは防衛に専念するように特殊化した階級で、アリやシロアリなど社会性昆虫でよく知られていますが、「多胚性寄生蜂」といって、1つの卵から多数の成虫を発達させる寄生蜂のなかにも兵隊カーストを持つものが明らかになっています。今回は、「多胚性寄生蜂」が同じ寄主に侵入してきた別の寄生蜂に対して、兵隊カーストを増員して攻撃し、多数の仲間を守る現象を紹介します。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p class="indent">兵隊カーストはコロニーのなかで防衛に専念するように特殊化した階級です。アリやシロアリなど社会性昆虫で古くから知られていますが、社会性のアブラムシやアザミウマ、さらには寄生蜂のなかにも兵隊を持つものが知られるようになっています。寄生蜂とは他の昆虫に寄生してその体内で栄養を搾取して発育をおこなうハチのことで、寄生者(パラサイト)という点では人や動物の寄生虫と同じです。けれども寄生蜂の場合には最終的に寄主を食いつくしてしまいますので、一般的な寄生者とは様子が少し違います。兵隊を持つ寄生蜂は、｢多胚性寄生蜂｣といって1つの卵から多数の成虫を発達させるトビコバチ科の寄生蜂のなかにいます。</p>

<h3>多胚性寄生蜂とは</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_fig01.pdf" target="_blank"><img alt="iwabuchi_fig01_thumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_fig01_thumb.jpg" width="240" height="103" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: キンウワバトビコバチの発生様式<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">一つの卵から2個以上の胚が生じ、それぞれが個体として発達するものを「多胚生殖」といいます。身近なところではヒトの一卵性双生児がそうです。この場合には双子発生率はわずか0.3%程度で、しかも胚が2個になる時期も一定ではないため、ヒトを多胚性とはいいません。哺乳類で多胚性なのはココノオビアルマジロただ1種で、常に一卵性の四つ子を産みます。昆虫では、膜翅目(ハチ目)のコマユバチ科、トビコバチ科、ハラビロクロバチ科、カマバチ科に多胚生殖をするものがいるほか、ネジレバネ目でも1種見つかっています。いずれも寄生性の昆虫です。1卵から作られる胚子の数は20から40程度のものが多いのですが、例外として私たちが研究しているキンウワバトビコバチ<i>Copidosoma floridanum</i>は、1卵から2,000頭以上の成虫が誕生します(岩淵、1993)。この寄生蜂は、寄主となるキンウワバ類のガの卵に産卵した1個の卵が発生の過程で多胚となり、寄主が終齢幼虫になった時にそれぞれの胚は幼虫となります(図1)。この時、寄主の体内がおびただしい数のハチの幼虫で充満し、そのため寄主は死に至ります。ハチはその後、寄主の中で蛹となり、やがて成虫となってミイラ化した寄主から一斉に羽化してきます。モンシロチョウの寄生蜂アオムシコマユバチなどでも一匹の寄主から多数のハチ幼虫が出現しますが、この場合には最初から多数の卵が産卵されていて、各卵からは1匹の幼虫しか発達しないので多胚性とはいいません。</p>

<h3>多胚性寄生蜂の兵隊幼虫</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_photo01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_photo01.php','popup','width=675,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_photo01-thumb.jpg" width="240" height="213" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: キンウワバトビコバチの繁殖型幼虫(左)と兵隊幼虫(右)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">トビコバチ科の多胚性寄生蜂に2タイプの形態の異なる幼虫がいることは、およそ1世紀前から知られていました。これらのハチでは、胚子の増殖は寄主幼虫が終齢の一つ前の齢になるまで続いていて、終齢になって一斉に幼虫になります。ところが寄主が若齢のころから出現する、形態的に明らかに普通とは異なる細長い幼虫が存在します。この幼虫は早熟幼虫(precocious larva)と呼ばれ、当初から蛹にならずに幼虫までで生涯を閉じることはわかっていました。1981年にCruzが他の寄生蜂幼虫に対する攻撃を観察したことで、これが兵隊幼虫であることが初めて明らかとなりました(写真1)。</p>

<h3>キンウワバトビコバチの雌の兵隊幼虫と雄の兵隊幼虫</h3>
<p class="indent">多くの寄生蜂と同様に、このハチも半倍数性の性決定様式をとります。すなわち、交尾した雌は雌になる卵を産み、未交尾の雌は雄になる卵(半数体)を産みます。多胚性ですから、寄主の体内では、前者は雌の集団、後者は雄の集団となります。本種の兵隊幼虫は、雌雄とも、早いものでは寄生4日目には現れ、その後寄主の発育とともに数が増え、途中で死ぬものがあるため正確な数字ではありませんが、全幼虫数のおよそ10%が兵隊幼虫になります。成虫まで発育する繁殖型幼虫と兵隊幼虫とは形態も発育のしかたも異なりますが、両方とも1個の同じ卵からできるので、遺伝的には全く同一のものです。どちらの幼虫になるか、その運命決定は卵割の初期に起こり、細胞質に生殖質を持つ細胞が生殖細胞に運命決定され、その細胞を含む胚子が繁殖型幼虫、含まない胚子が兵隊幼虫になります。</p>

<h3>兵隊幼虫の攻撃行動</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_photo02.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_photo02.php','popup','width=519,height=519,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_photo02-thumb.jpg" width="240" height="240" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: コマユバチ幼虫にかみついている兵隊幼虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">キンウワバトビコバチの兵隊幼虫が確かに兵隊であると確認できたのは比較的最近のことです。確認が遅れたのには理由があります。他種の寄生蜂との競争関係が生じるのは寄主の体内、すなわち無菌の血液の中です。そのため、細胞培養用の液体培地の中で調べることになるのですが、条件設定に時間がかかるのです。種々の寄生蜂について調べたところ、どの寄生蜂に対しても兵隊幼虫は攻撃をしかけますが、開始までには数十分かかりました。攻撃行動は、相手に瞬間的に噛みつくことで始まります。そして一旦噛み付くと、相手の動きはすぐに止まり体は萎縮しますが、10分間以上執拗にかみ続けます(写真2)。この行動は寄生蜂の種類には関係なく幼虫に対して行なわれますが、卵には攻撃しません。また、兵隊幼虫の雌雄では行動に違いがあり、雄の兵隊幼虫はなかなか攻撃しようとせず、しかし一旦始まると、いつまでもかみ続け、次の競争相手に向かおうとはしません。すなわち、雌の兵隊幼虫と雄の兵隊幼虫とでは行動に差異があることになります。このような差異は米国のキンウワバトビコバチでも報告され、雄はほとんど攻撃しないそうです。</p>

<h3>兵隊幼虫の増員</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_fig02.pdf" target="_blank"><img alt="iwabuchi_fig02_thumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/iwabuchi_fig02_thumb.jpg" width="240" height="256" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: コマユバチとの競争時における兵隊幼虫の増員と繁殖型幼虫の減少<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">同一の宿主にコマユバチ科寄生蜂が後から寄生してきた場合、そのハチとの間には資源をめぐる種間競争が生じることが予想されます。実際、キンウワバトビコバチには寄主を同じくする数種の寄生蜂がいます。そこでそれの寄生蜂を使って調べてみると、どの組み合わせでもキンウワバトビコバチが勝ちます。そして競争者排除には兵隊幼虫が使われます。さらに、コマユバチが寄生すると、兵隊幼虫の数を数日間で2倍に増員して対抗することがわかりました(図2上)。興味深いことにこの現象は雌に限られ、雄では兵隊幼虫の増員は起こりません。一方、兵隊幼虫が増員されれば、それに伴う影響を考える必要があります。実際に調べてみますと、兵隊幼虫の増員によって繁殖型幼虫の数が半減することがわかります(図2下)。防御の増強は繁殖の一部を犠牲にして行なわれたものといえます。現在、この現象についてメカニズムと行動生態学の両面から調べています。</p>

<h3>雌と雄における兵隊幼虫の発達</h3>
<p class="indent">兵隊幼虫は、仲間の集団を競争相手から守り、自らは子を残さずに死にます。1匹の寄主体内の各幼虫は1つの卵から生じたものであり、遺伝子型は全く同じなので血縁度は1になります。兵隊幼虫の利他性は、こうした高い血縁度のもとで防御による利益が存在したために進化したものと想像されます。兵隊個体は多くの社会性昆虫で見られますが、アリの兵隊個体はワーカーと同じく雌であり、シロアリやアブラムシ、アザミウマの兵隊個体は成虫になれない特殊化した幼虫で雌雄両方がいます。キンウワバトビコバチはアリと同じ膜翅目昆虫ですが、兵隊個体は特殊化した幼虫で、雌雄両方に存在することからも後者に似ています。しかし、キンウワバトビコバチの兵隊幼虫には、雌と雄とで競争相手に対する行動や増員に大きな差異があるという特徴があります。このような兵隊個体の性差がなぜ本種で発達したのか、この謎解きに日夜挑戦しています。</p>

<h3>むすび</h3>
<p class="indent">今回はキンウワバトビコバチの兵隊幼虫が競争相手に対して増員して撃退するという現象をご紹介しました。寄生蜂で兵隊幼虫をもつものは少なく、雌雄で兵隊幼虫の性質に違いがあることも珍しい現象です。そもそも、その前提となる多胚生殖そのものがこのハチの奇妙なところともいえます。さらにこのハチでは寄主体内への侵入においても例外的な様式をとります。はたしてこれらの現象はそれぞれ独立に発達してきたのでしょうか。いずれにしてもここには生物学上重要な課題が含まれています。昆虫は最も多様性のある動物ですから、このハチに限らず生命現象の解明に役立つものがまだまだ隠されているのではないかと思います。</p>

<h3>引用文献</h3>
<ul>
	<li>岩淵喜久男 (1993) 多胚性寄生蜂の胚子発生. 遺伝 47(10): 71-76, 口絵.</li>
</ul>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>死んだふりって役に立つんだ！</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2010/1202_174555.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2010://3.554</id>
   
   <published>2010-12-02T08:45:55Z</published>
   <updated>2011-07-24T05:09:46Z</updated>
   
   <summary>Q) 昆虫を捕まえようとすると、葉っぱから地面に落ちて急に動かなくなってしまい、...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><em>Q)</em> 昆虫を捕まえようとすると、葉っぱから地面に落ちて急に動かなくなってしまい、死んだようになってしまうことがあります。虫が見せるこのような｢死んだふり｣って役に立つのでしょうか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="no-indent"><em>A)</em> クマに出会ったら死んだふりをしたら助かるって本当？　クマの専門家に言わせると、クマに出会ったら死んだふりは基本してはいけないそうです。クマは好奇心が強い動物なので、動かない獲物の匂いをかいで爪で引っかいたりするそうです。クマの爪で自分の肉を少々えぐられても死んだふりをし続けられる度胸があなたにありますか？　大抵のヒトはないでしょう。専門家にお聞きすると、もし不幸にしてクマに出会ってしまったら、そのクマの目を睨み付けながら、一歩ずつ、一歩ずつ、後ずさりし、完全に逃げられると思う距離まで離れられたら、きびすを返して一目散に走って逃げるのが良いとのことでした。</p>

<p class="indent">さて、虫の｢死んだふり｣って役に立つの？　良く聞かれる質問です。みなさんは動き回る虫を捕まえようとした瞬間。その虫はフリーズして動かなくなってしまったこと。葉っぱや枝にとまる虫を捕まえようとしたその刹那、虫は落下してどこにいったかわからなくなってしまった。よく探すと土や落ち葉に色彩がとても似たその虫は、実は地上で動かなくなったままじっとしていた。などなど。昆虫採集の経験がある人ならそんな思い出は多いのではないでしょうか？　突然、虫が動かなくなってしまう不動行動は、『死んだふり』『死にまね』とか『擬死』と呼ばれます。</p>

<p class="indent">『死んだふり』は、ほ乳類、鳥類、両生類、魚類、は虫類、甲殻類、ダニや昆虫など多くの動物で観察されます。ですが本当にそれが生存に役立っているのかはよく分かっていませんでした。そこで私は、死にまねが本当に生存に役に立っているのか確かめてみたいと思いました。10年ほども前のことです。また虫がどれほどの時間、死にまねをし続けるのかにも興味を持ちました。少しずつ研究を続けてきた末、死にまねの持続時間は虫の脳のなかで発現し活動性を左右するドーパミンという物質によって支配されることがわかりました。ドーパミンは私たち人の脳でも発現し、動作や感情を制御する神経伝達物質として働いていていますね。私たちはまた、生物が敵に襲われたときに、飛んで逃げるという動作と、落下して動かなくなるという行動が遺伝によって決まるかどうかも調べました。さらに、死にまねが隣人を犠牲にして自分だけ生き残ることができる利己的な行動として進化したのではないか、という大胆な仮説にもたどりつきました。</p>

<p class="indent">今日のコラムでは、まず虫の擬死行動に関するこれまでの知見を述べ、そのあと実験によって明らかにした死にまねの適応的な意味とその制御メカニズムについて書いてみます。</p>

<p class="indent">では、まず死にまね研究の歴史についてお話しましょう。昆虫の死にまね行動を最初に文章に残したのはファーブルさんだと思います。彼はゴミムシダマシを用いた簡単な実験を行い、死にまねが生存には役だっていないだろうと昆虫記のなかで書いています。死にまねを対捕食者防衛のための戦略と位置づけて記述したのはエドムンズさんです。彼は、緑色のバッタが緑の葉っぱにとまると見つけにくいといった擬態のように、敵に襲われようが襲われまいが、生まれた時から身につけている防衛形質を一次防衛と定義しました。そして敵前逃亡、反撃や死にまねなど敵に襲われてから初めて発現する防衛形質を二次防衛と定義しました。1970年代以降には神経生理学的に死にまねを解析する研究者が登場しました。彼ら神経生理学者は、突然、動かなくなるという反応が、どのような刺激によって引き起こされ、どのような要因によって解除されるのか、不動時の筋収縮や刺激受容体や神経回路について興味を持ちました。しかし、死にまねが本当に生存に役だっているのか？　死にまねが虫の生き方にどのような影響を及ぼすのか？　進化生態学的な視点から昆虫の死にまねの意味について検証されませんでした。2004年に出版された対捕食者戦略の教科書にも「不動や死にまねといった突然動かなくなる生物の反応の研究は21世紀の現代生物科学からまったく無視された課題として残されている」と書かれています。</p>

<p class="indent">では、死にまねは適応的なのでしょうか？　適応的とはどういうことでしょうか？　ある形質が自然選択によって進化するかどうかは3つの要因によって決まります。(1) 変異: その形質に個体間でばらつきがあるか？　(2) 選択: その形質を持つ個体が生存あるいは繁殖の上で、持たない個体に比べて有利か？　(3) 遺伝: その形質が遺伝するか？　米・小麦類の害虫であるコクヌストモドキでは、この3つの要因のうち、死にまねの持続時間が採集地域によって異なります。つまり(1) 個体変異のあることはすでに明らかにされていました。そこで私たちでは、このコクヌストモドキを用いて、毎世代50個体の雌雄に刺激を与え、どれだけ擬死するかストップウオッチで計測しました。そして、もっとも死にまね時間の長い10個体の雌雄と、もっとも短い10個体の雌雄を選び、次世代の親として繁殖させました。つまり死にまね時間の長短を選抜育種したのです。この作業を10世代以上繰り返した結果、刺激に反応して20分以上も死にまねを行う集団(以後、L系統と呼ぶ)と、どれだけ刺激を加えても決して死にまねを行わない集団(以後、S系統と呼ぶ)を作ることに成功しました。この結果は上述した要因のうち、(2) 死にまね時間は遺伝することを示しています。あとは、(3) 死にまねをする集団の個体が、死にまねをしない集団の個体よりも、敵に襲われたときに生存率が高いことを示せば、自然選択の3つの要因が満たされ、死にまねという行動が、野外で選択圧にさらされたときに実際に進化する形質であると言えます。</p>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/miyatake_fig01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/miyatake_fig01.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/miyatake_fig01-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: 天敵アダンソンハエトリグモの前で死にまねして動かないコクヌストモドキ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">コクヌストモドキが生息している米蔵や小麦の貯蔵倉庫には、かならずと言ってよいほどハエトリグモが共存しています。いろいろなハエトリグモの食性を調べた結果、アダンソンハエトリグモと名付けられたクモが、コクヌストモドキをよく食し、しかも西日本では貯蔵倉庫に多く生息することがわかりました。そこで、シャーレのなかにS系統、もしくはL系統のコクヌストモドキをアダンソンハエトリグモといっしょに入れ、捕食行動を観察しました。長い時間死んだふりをするL系統の甲虫は、クモに襲われると不動のポーズを取り、動かなくなました(図1)。クモは動かないので、エサではないと思い、他の動く物体に気をとられ、結局L系統の個体はクモに食べられません。一方、S系統の甲虫は、クモに襲われても動きまわりますので、クモはエサだと思い、何度も攻撃し高い頻度で食べられてしまいました。この実験によって、死にまねという行為が確かに生存の上で役に立っていることが検証されました。</p>

<p class="indent">虫によって、死んだふりからすぐに目覚めるものと、なかなか目覚めの悪いものがいます。死にまね持続時間を決めるものは何なのでしょうか？　死にまね時間を育種している最中に、L系統の虫はS系統に比べ普段から少し動きが鈍いことに気が付きました。そこでシャーレに入れた昆虫の歩行軌跡を自動追跡し、両系統の歩行活動量を比較しました。その結果、S系統はL系統に比べて、歩行活動量が著しく高いことが明らかとなりました。L系統ではなんと幼虫も刺激に対して直立不動のポーズを示したのです。選択したのは成虫の擬死時間だというのに。この事実は、昆虫の体内で発現している何らかの生体物質の量が2つの系統で異なっている可能性を示唆しています。そこで生物の活動を支配する神経伝達物質であるドーパミン、オクトパミン、セロトニンやチラミンといった生体アミンを、L系統の成虫の腹部に注射しました。その結果、ドーパミンを注射した個体では死にまねから回復する時間が著しく短くなることがわかりました。昆虫の脳の生体アミン類を研究している金沢工業大の佐々木謙博士に共同研究のお願いをして、体長がわずか3mm程度しかないコクヌストモドキの脳を摘出して、S系統とL系統の脳内のドーパミンの量を測定してもらいました。その結果、死にまねをしないS系統では、長い時間死にまねをするL系統に比べ、著しく多い量のドーパミンが存在していることがわかりました。さらにドーパミンの作用を活性化させるカフェインを飲ませたL系統の成虫では死にまね時間が短縮すること、オクトパミン、チラミン、セロトニンの発現量はS系統とL系統で異ならないことから、死にまねの持続時間を制御している生体物質がドーパミンであることがわかったのです。</p>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/miyatake_fig02.pdf" target="_blank"><img alt="miyatake_fig02.pdf" src="http://column.odokon.org/archives/miyatake_fig02_thumb.jpg" width="240" height="108" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 21の異なるアズキゾウムシ集団で計測した死にまね時間と飛翔能力の負の関係<br />
		(右の図中の写真は、死にまねしているアズキゾウムシ)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">昆虫採集が好きな人からこんな話を聞いたことがあります。「枝で休んでいる虫を捕まえようとすると、ボトッと地面に落ちてしまう虫と、飛んで逃げてしまう虫がいる。上手く飛べない虫は落下するのかも知れない」。なるほど。同じ種類の虫についても、同様のことが言えるのでしょうか？　つまり、個体には二通りの生き方があって、敵に襲われたときに上手く飛べる個体は飛翔して逃げ、上手く飛べない個体は枝から落下したほうが得、ということがあるのでしょうか？　もしそのような二通りの生き方があるのならば、それは遺伝的に決まっているのでしょうか？　不思議に思ったら試してみるのが一番です。そこでコクヌストモドキで試したような育種実験を、今度は死にまね時間の長さと、飛翔能力の程度のそれぞれに対して、別個に育種する実験を行ってみました。コクヌストモドキは、ほとんど飛ばないので、この実験には飛翔も死にまねもするアズキゾウムシという昆虫を使いました。さて、よく飛べるアズキゾウムシと飛べないアズキゾウムシを10世代のあいだ育種してみると、飛べなくなった集団では擬死時間が長くなり、良く飛ぶようになった集団は擬死しなくなりました。反対に長いあいだ死にまねするように選抜した系統は飛べなくなり、擬死しなくなった系統の飛翔能力は高くなったのです。この結果は、よく飛べるという形質とよく死にまねをするという2つの形質がトレードオフの関係にあることを示しています。そしてこのトレードオフには遺伝的基盤があるということになります。飛翔と擬死のトレードオフは、野外でも実際に見られるのでしょうか？　私たちは、野外から21のアズキゾウムシの系統を採集あるいは収集し、すべての集団について、それぞれ飛翔能力と擬死時間を計測してみました。その結果、この2つの形質は、集団レベルでも実に綺麗な負の相関を示すことがわかりました。つまり、良く飛ぶゾウムシの集団はほとんど死にまねをせず、飛べないゾウムシの集団では擬死時間が長かったのです。</p>

<p class="indent">次に、死にまねは、誰に対して有効なのか？　について考えてみたいと思います。上述したコクヌストモドキの死にまねは、ハエトリグモの捕食を回避して生き延びるのに役立っていました。しかし死にまねが有効なのは捕食者だけではありません。驚くべきことに、捕食性クモの一種のオスは、同種のメスに食べられないようにメスが近づいてきたときに死んだふりをします。また社会性昆虫では同種の同じ巣内の他個体アリの攻撃を回避するために擬死する種もいます。捕食者が襲ってきたときにエサ動物が動かなくなる｢不動｣の意味についてもいくつか仮説が提唱されています。例えば、捕食者は死んだものを食べると病気感染などのリスクがあるなら、動かないものを食べないことは理にかなっています。この場合、エサは捕食者に｢死んでいるよ｣というニセの信号を送ることに成功していると言えます。一方、動くエサに反応する捕食者に対しては、動かないことで捕食者の興味を失わせます。またカエルに食べられたトゲヒシバッタはトゲトゲの付いた脚を垂直に立ててカエルに飲み込まれにくくしているという実証もあります。一言に、死にまね　と言っても、本当に捕食者がエサを死んだものとして認識しているのか、それとも動かないことが重要なのか、ヒシバッタのように不動化して体を硬直させることで物理的に敵に飲み込まれにくくしているなど、その様式によって、｢不動｣とか｢死にまね｣とかいう言葉は使い分けるべきでしょう。また最近では、ある個体が死にまねすることで、その個体の近くで動いている他個体に捕食者の注意が振り向けられることになり、その結果、動かない個体が助かるという仮説が検証されました。そうであるなら、死にまねは隣人を犠牲にして自分だけ助かることができる利己的な行動だとも言えるでしょう。隣人が同種である必要はありません。貯穀類の倉庫の隅にふき溜まった小麦粉上での捕食者と被食者の関係を考えてみましょう。捕食者であるサシガメやハエトリグモのエサになるのは、コクヌストモドキだけではありません。ゴミムシダマシの幼虫や、メイガの成虫や幼虫や、カツオブシムシなど実にたくさんの種類のエサ昆虫が、そこでうようよ暮らしています。近くにいる別の種類の個体が、動いてくれたために、捕食者の注意が自分から逸れ、死にまねした個体が結果的に助かることもあるでしょう。単独でいるより、ちょろちょろと動いて捕食者の注意を弾きつけてくれる他のエサ個体といっしょに暮らすほうが、死にまねする個体はより生き残る確率が高まるかも知れません。こうやって、利己的な死にまねをする個体が、集団に入り込むことで、エサ生物の群れサイズはさらに大きくなるのかも知れないと考えています。</p>

<p class="indent">死にまねの研究はストップウォッチがひとつあれば実験が可能です。最近はとても安価なストップウォッチも市場に出回っていますので、夏休みの宿題のテーマなどにも簡単に実験できて、面白いかも知れませんね。さて、君の好きな、クワガタムシはどのくらいの間、死んだふりをするのでしょうか？</p>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>アリと共に生きるチョウ</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2010/1201_182100.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2010://3.550</id>
   
   <published>2010-12-01T09:21:00Z</published>
   <updated>2012-03-07T05:35:40Z</updated>
   
   <summary>シジミチョウの中にはアリの巣の中で生活するという、変わった生き方をしているものが...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">シジミチョウの中にはアリの巣の中で生活するという、変わった生き方をしているものがいます。最近の研究からシジミチョウは、様々な方法を駆使してアリの巣に入り込み、世話をしてもらっている事がわかってきました。今回はクロシジミの幼虫がどのようにアリを「騙して」いるのか、そのメカニズムを紹介したいと思います。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>シジミチョウ -アリと共生するチョウ-</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hojo_photo01k.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/hojo_photo01k.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/hojo_photo01k-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: アミメアリに随伴されるムラサキシジミの幼虫: 幼虫はアリに蜜を提供し、アリは幼虫を天敵から守ります。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">庭先で飛ぶ小さなチョウ。皆さんが最もよく目にするのはシジミチョウの仲間かもしれません。シジミチョウ科は世界で約6,000種いると言われていて、チョウの仲間の約半数を占めるとても大きなグループです。一見目立った特徴も無く、地味な印象かもしれませんが、実は非常にユニークな生活をする“変わった"生き物なのです。その秘密は幼虫の時期にあります。シジミチョウの幼虫の多くはアリと共生するのです。幼虫は蜜腺から糖とアミノ酸に富んだ蜜を分泌してアリにあたえます。アリはその蜜をもらう代わりに天敵からシジミチョウを守ってあげているのです。このような関係はシジミチョウもアリも利益を得るので相利共生と呼ばれています(写真1)。しかし、シジミチョウとアリの関係は相利共生だけではありません。シジミチョウの中には、一生の大半をアリの巣の中で過ごす種がいるのです。巣内ではアリの幼虫を捕食するなど、コロニー内の資源を横取りするため、アリにとって利益はありません。このようなシジミチョウはアリに寄生しているといえます。日本ではゴマシジミ、オオゴマシジミ、キマダラルリツバメ、クロシジミの4種がアリに寄生するシジミチョウとして知られています。アリの巣内で共に生きる、この奇妙な生活史はどのようにして成り立っているのでしょうか？今回はクロオオアリの巣内で生活するクロシジミに焦点をあてて、最近の研究を紹介したいと思います。</p>

<h3>アリに育てられるチョウ</h3>
<div class="figure-right figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hojo_photo02k.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/hojo_photo02k.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/hojo_photo02k-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: クロシジミの成虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">クロシジミはクロオオアリの巣の中で成長するシジミチョウです。皆さんもテレビや本でその奇妙な生活ぶりを見聞きした事があるかもしれません。クロシジミはいわゆる里山といわれる環境に生息するのですが、近年急激にその数を減らしつつあります。その原因の一つと考えられるのが、クロオオアリとの複雑で親密すぎる関係です。</p>
<div class="figure-right figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hojo_photo03k.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/hojo_photo03k.php','popup','width=1899,height=1063,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/hojo_photo03k-thumb.jpg" width="240" height="134" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真3: アリの巣に運ばれる前のクロシジミ若齢幼虫(左)とアリ巣内の終齢幼虫(右)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">8月、クロシジミ(写真2)はコナラやクリ、ススキなどの植物に卵を産みます。これらの植物にはアブラムシが集まっていてそこにはクロオオアリがアブラムシの甘露を求めて集まっています。クロシジミの幼虫は3齢になるまでそのアブラムシの甘露を主な栄養源として成長します。しかし、3齢になると、幼虫は背側の蜜腺から蜜を分泌し始めます。この蜜には主に糖の一種であるトレハロースとアミノ酸の一種であるグリシンが含まれています。この組み合わせはクロオオアリの味覚感覚に特異的に作用して、摂食応答を増大させる事が解っています。つまり、クロオオアリはこの蜜が大好きというわけです。クロシジミ幼虫を触角でたたいてしきりに蜜を要求するようになります。そして、クロオオアリはそのクロシジミ幼虫を自分の巣の中へと運びいれてしまうのです。このときクロシジミはアリの匂いを真似てアリに擬態していると考えられていますが、その詳細は現在でも解っていません。幼虫は約10ヶ月間巣の中で過ごし、冬も明け、春になると巣の入り口付近で蛹化し、羽化後して巣の外へと出ていくのです。夏に巣へと運ばれたときには体長5mmほどのクロシジミ幼虫も、春には約2cmまでに成長します(写真3)。クロシジミはアリの巣の中でいったい何を食べて成長しているのでしょうか？実はクロシジミの幼虫は巣の中で、働きアリから直接口移しで餌をもらっているのです。さらには、体を掃除してもらい、糞の処理までしてもらうなど、働きアリから手厚い世話を受けて成長していきます。ではなぜアリには似ても似つかないクロシジミの幼虫を、働きアリは世話するのでしょうか？</p>

<h3>匂いでアリに化ける</h3>
<p class="indent">本題の前に、シジミチョウの共生相手であるアリがどんな昆虫なのか、簡単に紹介したいと思います。ハチやシロアリと同じ社会性昆虫として知られるアリは、コロニーと呼ばれる血縁集団で生活しています。コロニーは土中や朽木中に作られる巣で生活します。コロニーには女王、働きアリ、幼虫、生殖虫(有翅雌・雄)など、さまざまな階級の個体がいて、女王が産んだ子供を働きアリたちが世話して次世代の女王や雄を育てています。このような統率された社会的な営みは主に化学物質を介したコミュニケーションをもとに成立していると考えられています。働きアリは体表面に存在する化学物質をたよりに巣仲間の状態を認識して、部外者には攻撃し、世話が必要な個体には給餌やグルーミング等の世話をすると考えられています。</p>
<p class="indent">つまり、アリの社会は閉鎖的でクロシジミのような部外者が入り込む余地はないはずなのです。チョウの幼虫がアリの巣に入ればたちまち攻撃され、餌にされてしまいます。ではクロシジミはなぜクロオオアリの巣内で生活できるのでしょう？コロニーの資源を搾取するクロシジミは、クロオオアリにとっては好ましくない相手です。クロシジミを積極的に迎え入れているとは思われません。一方で、視覚ではなく化学物質をたよりに匂いで相手を認識するというアリ社会の「ルール」を利用してしまえば、クロシジミはアリの巣に入り込むことができそうです。アリの幼虫や生殖虫などの世話を受ける階級と同じ体表化学物質を身にまとい、化学的に「擬態」してしまえば、クロシジミはアリの巣の中で世話を受けながら生活する事が可能なのではないか？と考えました。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hojo_fig01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/hojo_fig01.php','popup','width=1024,height=768,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/hojo_fig01-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: クロオオアリの各階級(働きアリ/有翅雌/雄/幼虫)とクロシジミ幼虫の体表成分を塗布したガラスビーズに対する働きアリの随伴時間<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hojo_fig02.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/hojo_fig02.php','popup','width=1024,height=768,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/hojo_fig02-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: クロシジミの幼虫は体表成分をアリの雄に似せることで、働きアリから雄と認識され世話を受けていると考えられる。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">まず、働きアリは匂いをたよりに階級を認識しているのか？を調べました。クロオオアリのさまざまな階級個体(働きアリ、幼虫、有翅雌、雄)とクロシジミ幼虫の体表成分を有機溶媒で抽出し、それをガラスダミーに塗布して働きアリに提示してみました。すると、働きアリは幼虫、雄そしてクロシジミ幼虫の体表成分を塗布したガラスダミーに強い興味を示し、ガラスビーズに随伴したりグルーミングをしたりする行動が見られました(図1)。働きアリは体表の匂いたよりにアリの幼虫や生殖虫を認識し、世話を行っている事がわかります。ではクロシジミの体表成分に随伴するのはなぜなのでしょうか？もし、アリに擬態しているのであればクロシジミの体表成分はクロオオアリとそっくりなのではないかと考えられます。そこで、クロシジミ幼虫とクロオオアリの体表成分をガスクロマトグラフィー・質量分析装置を使って分離・同定し、比較してみました。すると、クロシジミ幼虫の体表成分はクロオオアリとほぼ同じ炭化水素とよばれる成分の混合物で構成されていることがわかりました。さらに、クロシジミ幼虫の体表炭化水素組成比をクロオオアリと比較してみると、働きアリやアリの幼虫とは異なり、雄にとてもよく似ていることがわかりました。クロオオアリの雄は巣内で特に働く事はなく、働きアリから餌をもらって過ごします。これらのことから、クロシジミ幼虫は巣内でアリの雄に化学的に擬態することで、アリからの世話を受けているのだと考えられます(図2)。</p>

<h3>おわりに</h3>
<p class="indent">クロシジミがアリの巣の中でどのようにして働きアリから世話を受けているのか、その仕組みを紹介してきました。しかし、クロシジミの生活を見ているとまだまだ謎がたくさんあります。例えば、アリはなぜクロシジミを巣の中へと運び込むのか？はとても不思議です。近年、クロシジミと同じようにアリの巣の中で生活するゴマシジミの仲間はアリの幼虫に擬態することで宿主であるクシケアリの仲間に巣へと運ばれる事が明らかにされました。しかしクロシジミとゴマシジミではアリとの出会い方やその頻度など、異なる点が多々見られます。果たしてクロシジミも巣に運ばれるときはアリの幼虫に擬態しているのでしょうか？</p>
<p class="indent">今後もクロシジミの様々な謎を解くために研究を進めていきたいと思っています。</p>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Hojo, M. K., A. Wada-Katsumata, M. Ozaki, S. Yamaguchi and R. Yamaoka (2008) Gustatory synergism in ants mediates a species-specific symbiosis with lycaenid butterflies. <i>J. Comp. Physiol. A</i> 194: 1043-1052</li>
	<li>Hojo, M. K., A. Wada-Katsumata, T. Akino, S. Yamaguchi, M. Ozaki and R. Yamaoka (2009) Chemical disguise as particular caste of the host ants in the ant parasitic inquiline, <i>Niphanda fusca</i> (Lepidoptera: Lycaenidae). <i>Proc. R. Soc. B</i> 276: 551-558</li>
	<li>山口 進 (1988) 五麗蝶譜. 講談社,東京.</li>
</ul>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫を扱う職業: 地方農試からの手紙</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2009/0910_163000.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2009://3.439</id>
   
   <published>2009-09-10T07:30:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:13:07Z</updated>
   
   <summary>前略 昆虫学を専攻している学生諸君の中には、専門性を生かせる就職先の選択肢の一つ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">前略</p>
<p class="indent">昆虫学を専攻している学生諸君の中には、専門性を生かせる就職先の選択肢の一つとして地方農試(都道府県立の農業関係の試験研究機関)を考えている人も多いことでしょう。私は20年以上地方農試で害虫の研究に従事し、現在は研究を総括する立場です。地方農試における昆虫関係の仕事の現状について私の経験を交えて書いています。この手紙が昆虫の研究を志す諸君が就職先を選択する際に参考になれば幸いです。</p>
<p class="right">草々</p>
]]>
      <![CDATA[<h3>地方農試での仕事に必要なもの</h3>

<h4>一に体力</h4>

<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig01.php','popup','width=640,height=480,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig01-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: 果樹カメムシの調査(長さ6m、重い....)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig02.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig02.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig02-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: ミカン園での天敵調査<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>

<p class="indent clearfloat">仕事の大部分はフィールドワークです。だから、みんな日焼けしています。場内ほ場だけでなく、現地に行って農家ほ場を借りて試験することも多く、夏でも一日中野外調査が出来る体力が必要です。私は28歳の時試験場に転勤して来て3ヶ月で5kg痩せました(現在は＋○○kgですが....)。現地調査中に熱射病になった事もあります。ハウスのビニル張りや田植え等人手がいる時は、現業職員やパートの人に率先して農作業もこなさなければなりません。広い場内ほ場の管理も全員で行います。当然、簡単な農業機械くらいは使いこなすことが要求されます。体を動かすことが好きな人には向いているかもしれませんが結構ハードで、歳をとると研究＋農作業はかなりキツイです。</p>

<h4>二に度胸</h4>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig03.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig03.php','popup','width=640,height=426,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig03-thumb.jpg" width="240" height="159" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真3: 講習会では農家から直接要望が出る<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>

<p class="indent">現場対応、行政対応も大事な仕事の一つです。農家やJA、普及員からの診断依頼はもちろんのこと、一般市民からの診断依頼や電話相談にも対応します。従って、自分の得意とする分野以外に昆虫一般、植物の病害、農薬の種類と使用法等に関しても一応の知識が求められます(担当研究者が1人の場合、着任したその日からあなたが県内におけるその道の最高権威者w(ﾟдﾟ* )wとみなされるのです)。県主催の病害虫防除対策会議や農薬展示圃の検討会への出席、防除指針の執筆、JAや生産部会の研修会講師等の仕事もあります。さらに、作物単位で開催される試験場内の研究会議へも出席しなければなりません。経験不足は度胸で補い、「転んでもタダでは起きない」プラス思考を持つことが大事です。</p>
<h4>三、四がなくて五に情</h4>
<p class="indent">職場内の研究者間のつながりも大学や独法と比べると密です。建前上、研究課題は研究部の責任において実施するようになっているので、隣の席の研究者が病気や長期研修等で研究出来なくなった場合でも研究の中断は簡単には出来ません。周りがカバーして何らかの成果を上げることが要求されます。ですから、いくら研究が「個人営業」といっても、「アッシには何の関わり合いもネエことで、ゴメンなすって」では地方農試はとおりません。「紅旗征戎、吾ガ事ニアラズ」と、部屋にこもって自分の興味のある研究だけがしたいという人には地方農試は不向きでしょう。</p>

<h3>地方農試における研究の特徴</h3>

<h4>現場とのつながりが濃い</h4>

<p class="indent">昆虫研究に限らず、地方農試における「研究」をクラウゼヴィッツ風に定義すると「地方の農業振興に関する行政的課題を解決するための手段の一つ」となるわけで、私の県の場合、行政や普及センター、生産者団体等から研究課題に関する具体的要望(例えば、水稲でミナミアオカメムシの被害防止対策を確立してほしい、等)が毎年提出されます。地方農試における研究課題の多くはこの様な要望に回答する中から出てきます(もちろん、研究者の発想による研究課題の構築もあります)。地方農試では、生産現場と一体となって実施する研究も多く、自分の仕事に対する反応がダイレクトに返ってきます。評価の一番の基準は現場で役立ったかどうかです。厳しいですが、やりがいはあります。現地で農家のじいちゃんに感謝されるとモチベーションがあがりますよ。</p>

<h4>研究者がスキルアップするには</h4>

<p class="indent">昆虫分野の研究では県内の農作物に対する害虫の被害を減少させる方法の開発とその効率化が戦略目標になります。学術的興味の探求が優先される事はありません。県内の農業振興に直接的な貢献が求められるので、昆虫の分類を表看板とすることは困難でしょう(少なくとも表向きは)。このように、地方農試では大学のように自分の興味のある研究が自由に出来るわけではなく、かなり限定された条件下での研究になります。しかし、課題に対する具体的なアプローチの方法は研究者自身の創意工夫に委ねられる部分が多いため、その中に自分の興味があること、やりたいことを盛り込むことが可能です。また、自己の研究能力のアップも日々の研究課題の中で実施しなければなりません。そのためには、研究課題の構成にあったては、ほぼ確実に成果が出る項目以外に、チャレンジする部分を何割か入れておく必要があります(この塩梅が上手く出来るようになると一人前の研究者です)。当然、それで学位を取得することも可能です。それどころか、学位取得は奨励されています。従来の「論文博士」に代わり、博士課程の社会人枠を利用するケースが増えていますが、私の県では毎年2,3名が学位を取得しています。今や地方農試といえども、研究者の看板を掲げて仕事をするためには学位くらいは当然と言っても過言ではありません。但し、学位取得は自己の研究能力アップのための手段であって、真の評価はその後の研究にかかっているのです。</p>

<h4>昆虫分野における研究内容</h4>

<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig04.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig04.php','popup','width=640,height=853,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig04-thumb.jpg" width="240" height="319" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真4: 累代飼育中のカメムシ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig06.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig06.php','popup','width=640,height=854,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig06-thumb.jpg" width="240" height="320" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真5: ハウス内での薬剤散布、あつい....<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="clearfloat"></p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig05.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig05.php','popup','width=640,height=480,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/tsutsumi_fig05-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真6: 農家のイチゴハウスでのカブリダニの放飼試験<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>

<p class="indent">地方農試における昆虫分野の研究のキーワードは「安全・安心」、「減農薬」、「IPM」といったところで、今後は「気候温暖化」が加わるでしょう。天敵やフェロモン等の資材を活用して化学農薬の使用を削減する栽培体系に関する研究が主流ですが、今後は土着天敵の高度利用法にシフトしていくでしょう。各人はその中でそれぞれが自分の興味がある分野の基礎的な研究を行っています。その一方で化学農薬の効果試験に関する仕事も地方農試ではおろそかには出来ません。現在のところ大部分の作物で化学農薬を全く使用しない安定生産技術はありません。現場から一番多い問い合わせは「○○に一番よく効く薬は何か?」です。「ぶっかけ試験」と言って農薬の効果試験をバカにする傾向がありますが、上手く使えば、化学農薬ほど安価で使い勝手が良く効果の安定した防除資材は少ないでしょう。各剤の特性を把握し、それにあった上手な使い方を指導するのも仕事の一つです。また、温暖化に伴う新発生害虫や感受性が低下した害虫に効果の高い薬剤の選抜は重要な仕事です。さらに、IPMにおいても、天敵等の効果を補完する資材としての化学農薬の使い方は成功の重要な鍵です。従って、「ぶっかけ試験」もおろそかに出来ないのです。</p>

<h3>研究者の待遇</h3>

<p class="indent">多くの地方自治体では農業試験場等で働く研究者の基本給は行政部局や普及センターで働く同年代の職員より若干高いと思います(普及員などは別に「手当」という+&alpha;がつきますが)。公務員の場合、職種ごとに適用される給与体系が決まっていて、研究者に適用される「研究職給与表」と行政部局の職員が適用を受ける「行政職給与表」を比較すると同年代では研究職の方が高く設定してあるからです(既に一本化した自治体もありますが)。その分、ステータスは高くみられますが、「高い給料もらっているくせに」と風当たりも強くなります。また、後で述べますが、研究者も「農業」という枠で一括採用した中から選ばれる場合は、普及センターや行政部局への異動もあります(本人の希望にかかわらず)。当然、その場合は給与が減少します。さらに、管理職になると行政職給与表適用となり基本給が下がる場合が多くなっています。</p>

<h3>地方農試で昆虫研究者となるための具体的方法</h3>

<h4>まずはお受験</h4>

<p class="indent">昆虫の研究を生業にするのは何処でもなかなか困難です。地方農試の場合、全国47都道府県全てに設置されており、その中には必ず昆虫を研究するポストがあるので、研究者の絶対数は大学や独法より多いかもしれませんが、そこにたどり着くには幾多のハードルがあります。まず、最初の関門は地方公務員の採用試験です。研究者に関しては選考採用を取り入れている地方自治体もありますが、大部分は「農業」というカテゴリーでの採用です。昔はさほどではなかったのですが、近年は不景気や公務員数削減の影響もあり結構高いハードルのようです。これは、いわゆる「お受験」の一つなので、割り切って「受験勉強」するしかありません。</p>

<h4>現場の経験を糧とする</h4>

<p class="indent">目出度く採用されたとしても、すんなり研究ができるとは限りません。一次試験をパスし二次試験にたどり着くと、面接ではきっと、「試験研究を希望しているようですが、他の仕事は希望しないのですか」等と聞かれるはずです。「ハイそうです」と答える豪ノ者がいるかどうかはわかりませんが、私の県では、新採職員は農業改良普及センターに回されるケースがほとんどです(学位を持っていても)。しかし、そこで腐っているようではどうしようもありません。地方農試で昆虫の研究を生業とするには、ここからが勝負なのです。過去のコラムに書いてあるように、普及センターの仕事の中でもこれまで学んできた昆虫の知識を生かせる場面は多々あります。さらに、普及員には「調査研究」という業務もあり、害虫関係の調査研究を実施すれば、農試の研究者と連携する機会も多くなります。与えられた現場でベストを尽くす姿勢が大事です。個人的には、大学での研究と地方農試における仕事のギャップを考えると、学生からいきなり地方農試で研究に入るより、数年間普及センター等の現場で揉まれてからの方が、地方農試の強みを生かした地に足が着いた研究が出来ると思います。</p>

<h3>最後に</h3>

<p class="indent">地方農試の一番の強みは、何と言っても同じ組織内に技術の普及機関を持っていることです。普段から普及センターを通して現地との関わりも多いので、農家やJAも「オラが試験場」という意識で見てくれます。その分現地と信頼関係を築きやすく、理解を得られれば研究室レベルで構築した仮説の実証を実際の農家ほ場で大規模に実施することが可能です。それどころか、無償で多大な協力をしてもらえる場合もあります。そのため、地方農試では、独法や大学ではとても出来ない規模の研究も可能です(1区40～100ha、3反復という試験を実施したことがあります)。かつては、地方農試と言えば国(現在の独法)や大学より格下の研究機関というイメージがありましたが、今や、共同研究においても中核となり独法や大学と連携した研究を構築することも可能です。地方農試は厳しいがやりがいのある職場です。タフで粘り強い学生諸君のチャレンジをお待ちしています。</p>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>虫を食べたことがありますか</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2009/0704_054500.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2009://3.424</id>
   
   <published>2009-07-03T20:45:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:13:23Z</updated>
   
   <summary>「ただでさえ気持ちの悪い虫を食べるなど、もってのほか」という人が多いと思います。...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">「ただでさえ気持ちの悪い虫を食べるなど、もってのほか」という人が多いと思います。しかし、近年昆虫を食べることに対する関心は世界的に高まっているのです。それはどうしてかというと、将来、昆虫を動物タンパク質源として利用しようという考えを持つ研究者が増えてきたからです。ここでは日本の昆虫食を紹介し、また海外における昆虫食を概観し、未来の昆虫食についても触れました。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">このコラムをご覧の方々は大体昆虫に興味を持っていると思うので、ムシを意識的に食べたことがある人もいると思います。しかし、世間一般の人々、特に女性には、虫を嫌う、あるいは怖がる人が多いのです。そのような人たちには、ムシを食べるなどとは、もっての他ということになるでしょう。しかし、そういう人達でも、無意識的にムシを食べていたということは大いにあり得ることです。というより、むしろムシを食べたことがない人はいないといった方がよいかも知れません。それは食品にムシが混入する事を防ぐ事が非常に難しいからです。例えば、植物性の食品については、それが栽培される過程、収穫物が輸送される過程、貯蔵される過程、販売される過程、調理される過程、できあがった料理、など、人の口に入る瞬間まで、ムシがつく可能性があるのです。ムシが付いていればつまみ出せばいいと思うかもしれませんが、ことはそれほど単純ではありません。料理の上にカブトムシでも這っていれば、誰でも気がつくでしょうが、ブロッコリーのつぼみの間に付いているかも知れない小さいアブラムシを探し出す事は、難しいでしょう。また販売されている加工食品に混入している昆虫を見つけるのは更に困難です。缶詰だって安全ではありません。例えば、トマトジュース、ケチャップなどに、トマトにつくイモムシがトマトと一緒にすり潰されて入っている可能性は否定できません。こうなるともうムシの形はしていないので、ムシの混入を見つけることはできません。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig01.php','popup','width=531,height=359,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig01-thumb.jpg" width="240" height="162" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: チョウ目昆虫の蛹を美味しそうに食べるパプアニューギニアの少年<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">それならば、食品に絶対にムシが付かないように防除すれば良いと考えるかもしれませんが、そのためには大量の殺虫剤を使う必要があり、コストや薬剤残留の問題が生じます。多大の費用をかけて有毒な食品を作るのはナンセンスなはなしです。ではどうすれば良いか。昆虫には有毒な種が少ないので、ほとんどの農作害虫は食べても害はなく、むしろ食物に栄養価を付加するでしょう。それで、少量の混入昆虫は気にせず、一定の水準を設定して、それ以下の混入には目をつぶるというのが現実的と思います。アメリカではそのような方法で食品に対する昆虫の混入を規制しています。1998年に改定されたアメリカ食品医薬品局の指針によると、混入昆虫の許容限界は、柑橘類ジュースでは、250ミリリットル中ショウジョウバエまたは他のハエ類卵5個、あるいはハエ類幼虫1匹、スイートコーン缶詰では、24ポンド缶中、アワノメイガ又はワタキバガ幼虫(3ミリメートル以上)または脱皮殻2個、塩漬けオリーブでは、10匹以上のカイガラムシがついているオリーブの実が個数で10パーセント、ピーナッツバターでは、100グラム中昆虫断片30個、トマトジュースでは、少なくとも12サンプルについて、100グラム中ショウジョウバエの卵10個、あるいは卵5個と幼虫1匹、あるいは幼虫だけ2匹など、などと具体的に示されています。</p>
<p class="indent">これらの規制は、できるだけ昆虫を食べないようにするための配慮ですが、世の中には、昆虫を日常的な食品としている人たち、喜んで食べている人たちもいるのです(写真1)。では、ヒトはいつごろから昆虫を食べていたでしょうか。ヒトはサルとの共通の祖先から進化した時から、昆虫を食べてきたのです。その当時，ヒトは植物質としては樹や草の果実，種子，葉、根を、また、動物質としては、小動物、主として昆虫を食べていたと思われます。ヒトは直立歩行をするようになったため,四足獣のように速くは走れず、また、弓や矢などの狩猟道具もまだ発明されていなかったので、大型動物を狩ることはできませんでした。昆虫は、ヒトが出現するよりはるか前からヒトの祖先の哺乳動物によって食べられてきたし、比較的容易に大量に得ることができたので、この食文化は代々受け継がれ、今日に至っているわけです。現在、多くの国では昆虫は日常的には食べられてはいませんが、その民族の歴史をさかのぼれば、必ず、昆虫を食べた時代があるのです。そのような国でも、昔の食習慣に対するノスタルジーあるいはグルメ嗜好から、今でも昆虫を食べているところが少なくありません。日本もそのような国の一つといえるでしょう。</p>
<p class="indent">現在日本で比較的容易に食べられる昆虫は、イナゴ、カイコガの蛹または成虫、ハチの子、ザザムシなどです。これらの昆虫は、みな醤油、砂糖、味醂などで煮付けたいわゆる大和煮として食べられ、缶詰も販売されています。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig02.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig02.php','popup','width=800,height=1184,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig02-thumb.jpg" width="240" height="355" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: 老舗のイナゴ佃煮<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">イナゴはバッタの仲間です。日本のイナゴの大部分はコバネイナゴですが、ハネナガイナゴが混じっていることもあります。イナゴはイネの害虫ですが、稲刈の済んだ後に採集され、タンパク質源として、食べられていました。しかし、太平洋戦争後殺虫剤の多用により激減し、一時はとても食べるほど採れる状況ではなくなってしまいました。その後、1970年頃から、殺虫剤による環境汚染、農薬残留、生態系破壊などが問題になり、殺虫剤の使用が控えられるようになると、徐々にその数を回復して来て、再び田圃でイナゴ採りができるようになりました。イナゴの佃煮を懐かしむ人は結構いるようで、根強い需要があり、国産のイナゴでは足りず、韓国、中国からも輸入しています。最近では、老舗の佃煮屋でも販売しているところがあり、一年中食べることができます(写真2)。</p>
<p class="clearfloat"></p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig03.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig03.php','popup','width=551,height=340,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig03-thumb.jpg" width="240" height="148" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真3: カイコガ蛹の缶詰とその中身<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig04.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig04.php','popup','width=551,height=340,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig04-thumb.jpg" width="240" height="148" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真4: まゆこの缶詰とその中身<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">カイコガは養蚕業が行われているアジアの諸地域では、広く食べられています。日本でも昔からカイコガの蛹をおかずとして食べて来た所は少なくありません。特に山間部で肉や魚の入手が容易でなかった所ではタンパク質源の一つとして利用されてきました。普通に食べられているのは蛹ですが、成虫のガも食べられています。食べ方は醤油で煮付けるのが基本的で、それは「絹の雫」と呼ばれています。近年では、砂糖、醤油、味醂などで煮詰めて佃煮とすることが一般的です。このように調理して缶詰にした物が市販されています(写真3)。その他の食べ方としては、炒めて塩や醤油で味付けして食べたり、唐揚げにして醤油をつけて食べたりもします。成虫を食べるときも、翅を取って煎り付けて食べたり、砂糖醤油で煮て食べたりします。カイコガ成虫の大和煮の缶詰は「まゆこ」と呼ばれて市販されています(写真4)。</p>
<p class="clearfloat"></p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig051.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig051.php','popup','width=1024,height=768,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig05-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真5: ハチの子の圧し寿司<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig061.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig061.php','popup','width=1024,height=768,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig06-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真6: クロスズメバチ養殖用人工巣箱<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ハチノコといって食べられているのは、一般にクロスズメバチ、シダクロスズメバチなどの幼虫ですが、雄蜂児と呼ばれるミツバチの雄の幼虫も食べられています。また市販はされていませんが、オオスズメバチ、キイロスズメバチなどの大形スズメバチの幼虫も食べられています。クロスズメバチ類の幼虫を採るには、地中にある巣を見つけ、巣を掘りだして採ります。この作業は、山村の一つのリクリエーションでもありました。まず、ハチが飛んで来そうな所にカエルや魚などの肉を置いておきます。ハチが来て、その肉をそいで小さい肉団子をつくるとき、それをあらかじめ真綿の小片など白くて軽いものを目印としてくっつけておいた肉団子にすり替えます。ハチが目印付き肉団子を抱えて飛び立つと、その後を追いかけ巣を見つけます。ハチの巣にたどり着くことができたら、地面に開けられたハチの出入口の穴に花火など煙の出るものを差し込み、点火します。ハチが煙で麻痺して動かなくなったらすかさず、鍬、スコップなどで巣を掘り出します。採集したハチは普通水で洗って醤油と砂糖で大和煮にしたり、さらに煮詰めて佃煮にします。油炒めにしても良いでしょう。油炒めしたものを醤油で味付けしてご飯に入れてハチの子飯を作ったり、大和煮にしたハチの子で圧し寿司を作ったりもしています(写真5)。ハチの子の大和煮の缶詰はいくつもの会社から販売されています。毎年平均約40,000 kgのハチノコが採集されるといいます。そのためクロスズメバチが絶滅しないように、養殖も行われています(写真6)。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig071.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig071.php','popup','width=800,height=551,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig07-thumb.jpg" width="240" height="165" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真7: 厳寒の天龍川でザザムシを採る<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ザザムシとは川の浅瀬に住む水生昆虫の総称です。浅瀬では水がザーザー音を立てて流れるので、このような名前がついたのです。したがって単一種ではなく、カゲロウ目、カワゲラ目、トンボ目、アミメカゲロウ目、トビケラ目、カメムシ目などの昆虫が含まれています。しかし、一般にどこの河川でも、トビケラの幼虫が主体をしめているようです。ザザムシはどこの川にもいますが、天竜川のもの、しかも伊那市付近の特定の場所で採れるものが最も美味とされており、上伊那の名物となっています。ザザムシを職業的に採るためには、天竜川の管理をしている天龍川漁業協同組合が発行している「虫踏み許可証」を取得する事が必要で、漁期は12月1日から2月末日までと限定されています。従って採集は川原に雪が積もっているような厳寒期に行なわれ、採集人は胸まであるゴム制の長靴を着用して川の浅瀬に入り、四つ手網の口を上流に向けて設置し、その網のすぐ上流にある川底の石を万能鍬でおこしたりして、流されたザザムシを網に集めます(写真7)。名人になると、1日に8キログラムも採ることがあるといいます。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig081.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig081.php','popup','width=709,height=394,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig08-thumb.jpg" width="240" height="133" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真8: ザザムシの瓶詰めとその中身<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ザザムシもいわゆる大和煮で食べるのが普通です(写真8)。ザザムシの大和煮には独特の香があります。佃煮は缶詰や瓶詰めで売られており、近年では凡そ4000キログラムのザザムシが缶詰にされているといいます。</p>

<p class="clearfloat"></p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig09.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig09.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig09-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真9: アブラゼミ幼虫のから揚げ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig10.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig10.php','popup','width=800,height=561,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig10-thumb.jpg" width="240" height="168" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真10: ヘビトンボの幼虫(孫太郎虫)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">上の他にも、いろいろな昆虫がかつては食べられていました。1915年に三宅恒方博士が行った調査では,全国で55種の昆虫が食べられているという結果になっています。しかし、その後の調査、資料などを総合すると、種が同定されているものだけでも115種に及びます。どんな昆虫がよく食べられていたかというと、上記の種のほか、カミキリムシ幼虫、ゲンゴロウ成虫、セミ幼虫・成虫(写真9)、ヘビトンボ幼虫(孫太郎虫) (写真10)などがあります。</p>
<p class="indent">諸外国では、どんな昆虫が食べられているでしょか。世界中で食べられている昆虫を総合すると、その種数は学名が判明しているものだけでも1,900種以上あります。最も食べられている種の数が多いのは甲虫目で、次いでハチ目、チョウ目、バッタ目、カメムシ目となっておりいずれも数百種の食用昆虫を含んでいます。昆虫食が盛んに行われている地域または国としては、アフリカ、メキシコ、タイ、中国などを上げることができます。世界で食べられている食用昆虫ベストテンの分布を図1に示します。アフリカでよく食べられている昆虫は、バッタ類、イモムシ類、シロアリ類です。バッタは、いわゆる飛蝗で、大発生して巨大な群れをなして移動しているところを捕らえて食用にします。イモムシは主にヤママユガ科の幼虫で、体長10cmくらいの大きなものがよく食べられます。アフリカにはヤママユガの類が多種類いて、多くの種の幼虫が、食用の対象になっています。シロアリは、通常雨季の初め頃、いわゆる結婚飛行で巣から飛び出してくる有翅成虫が食べられています。無翅の兵アリを、チンパンジーがやるように、草の芯でつり出して食べることも行われています。中南米では、アリ類、カブトムシやカミキリムシなどの甲虫類の成虫・幼虫、カメムシなどが食べられています。南米で主に昆虫食を行うのは、原住民のインディオです。北米でも昆虫食を行うのはいわゆるアメリカ・インディアンで、イモムシや、ミギワバエという塩水湖に大発生するハエの蛹などを食べていました。パプア・ニューギニアをはじめ，太平洋の島々ではやはり原住民が、熱帯雨林にいるいろいろな昆虫を食べていました。目立つ食用昆虫は大型のナナナフシ類、ヤシオサゾウムシの幼虫(写真11)などです。</p>

<p class="no-indent">
	<div class="figure-left figure-240px">
		<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_figsp1.pdf" target="_blank"><img alt="図1: 世界の食用昆虫ベスト10の分布図" src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_figsp1-thumb.jpg" width="240" height="132" /></a>
		<p class="no-indent">
			図1: 世界の食用昆虫ベスト10の分布図<br />
			(クリックで拡大します)
		</p>
	</div>
	<div class="figure-right figure-240px">
		<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig11.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig11.php','popup','width=800,height=392,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig11-thumb.jpg" width="240" height="117" alt="" /></a>
		<p class="no-indent">
			写真11: ヤシオサゾウムシ幼虫の串焼<br />
			(クリックで拡大します)
		</p>
	</div>
</p>

<p class="no-indent clearfloat">
	<div class="figure-left figure-240px">
		<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig12.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig12.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig12-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
		<p class="no-indent">
			写真12: タイのマーケットで売っているコオロギ<br />
			(クリックで拡大します)
		</p>
	</div>
	<div class="figure-right figure-240px">
		<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig13.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig13.php','popup','width=800,height=562,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig13-thumb.jpg" width="240" height="168" alt="" /></a>
		<p class="no-indent">
			写真13: タケメイガ幼虫の油炒め<br />
			(クリックで拡大します)
		</p>
	</div>
</p>

<p class="indent clearfloat">タイや中国も昆虫食が盛んな国ですが、特にタイでは北部と東北部、中国では西部で盛んです。タイでよく食べられている昆虫はバッタ類、コオロギ類、糞虫類などで、タイワンタガメは独特の風味を付けるエッセンスとして用いられています。またコオロギでは、イエコオロギが企業により大量飼育されていて、市場で販売されています(写真12)。このコオロギはもともとタイのコオロギではなく、アメリカから輸入して養殖しているものです。中国では雲南省などで大型のスズメバチ類が食べられています。また、竹の節間部に多数入っているタケメイガ幼虫もよく食べられています(写真13)。これらの昆虫はレストランで食べることができます。</p>
<p class="indent">近年は、先進国を初めとして、昆虫をグルメ食として食べているところが多いのですが、アフリカや南米の奥地などでは、食品の重要品目として食べているところもあります。それは、昆虫の栄養価が高いからです。昆虫の成分の特徴はタンパク質と脂肪が多いことです。もちろん種により含有量は異なりますが、タンパク質を乾燥重量の50%以上含んでいる昆虫が少なくありません。タンパク質に次いで多いのが脂肪ですが、その含有量は30-50%のものが多いです。タンパク質の質はその構成アミノ酸によって決まりますが、昆虫のタンパク質は大体シスチン、メチオニン、トリプトファンなどが少なく、獣肉に比べて少し劣るかもしれませんが、十分に高い栄養価を持っています。炭水化物は少なく、糖類であるキチンは皮膚の成分として多いのですが、これは人が消化できないので、栄養には貢献しません。ミネラルやビタミンも種によって特定のものを多く含むものがあります。例えば亜鉛をかなり含む昆虫がいます。亜鉛は成長、味覚などに重要な物質であるといわれていますが、これを含む食品は少ないので亜鉛を含む昆虫は有用といえるかもしれません。ビタミンでは、一般にB群のビタミンを含む昆虫が多く見られます。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig14.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig14.php','popup','width=800,height=420,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/mitsuhashi_fig14-thumb.jpg" width="240" height="126" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真14: ミールワーム入りパン(黒い点が幼虫の破片)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">昆虫食はこれからどうなるでしょうか。国連の統計によると、現在世界の人口は66億7千万台で、1分間に140人の割合で増え続けているということです。このままでいくと、今世紀半ばの2050年には、91億になります。当然食料は不足するでしょう。なぜならば、これまでは人口増加率を上回るスピードで食糧が増産されてきましたが、次第に食糧生産増加率は減少してきているし、栄養不足人口は増えてきているからです。多収量作物の開発や、栽培技術の改善は頭打ちに近い状況になってきて、今後の単位面積あたりの収量増にはあまり期待できないし、耕地の拡大は環境保全の必要性から、おのずと制限があるからです。特に動物タンパク質は不足し、食用家畜、家禽、魚類だけでは必要量を満たすことはできないであろうと考えられます。大型家畜を増産するには、広大な土地の開発が必要であるし、また世界的に穀類が不足しているような時に、ヒトが直接食べることのできる穀類の一部を家畜にまわすことは、好ましくありません。そこで，新たな動物タンパク質源を探索する必要が生じ、昆虫はその有力な候補と考えられるでしょう。なぜならば、昆虫は栄養価が高い、繁殖力が強い、成長が早い、飼育が容易である等いろいろな利点を持っているからです。しかし、そうはいっても、冒頭に述べたように昆虫を嫌う人は沢山いるので、なかなか食品として定着しないでしょう。昆虫を食べることが嫌がられるおおきな理由はその料理の形にあると思います。昆虫は他の食用動物に比べて小さいので、丸ごと食べることが多いので、嫌われるのです。そこで、これからの昆虫食は、昆虫をそのままではなく、突き崩してペースト状にしたり、乾燥して粉末にして、他の食材と混ぜて食べることになるでしょう。そのようにすれば、多くの昆虫はあまり独特のにおいとか味が強くないので、抵抗なく食べられると思います。現に、ミールワームを大量飼育し，幼虫を粉砕して小麦粉に混ぜパンを焼いたり(写真14)、突き崩してハンバーグに入れたりすることが試みられており、いずれも抵抗なく食べられたという報告もあります。昆虫を日常的な食材にするには、常時大量の昆虫がなければできません。食用にする昆虫を野外で採集することではまかないきれないし、また、多量に採集を続けると種の絶滅、生態系の破壊にもなるでしょう。それで食材にする昆虫は大量飼育することになりますが、昆虫には、発育期間が短く、また繁殖力の強い昆虫が少なくないので、適当な種を選べば目的を達成することができるでしょう。</p>
<p class="indent">昆虫を日常的な食材とすることは、将来動物タンパク質が不足して、やむを得ず食べなければならない時に行われるばかりでなく、宇宙食としても、検討されています。それは将来ヒトが他の天体、例えば火星に、移住するような場合、人は密閉された大きな構造物の中で生活し、食糧など彼等が必要とするものは、基本的にその構造物の中で彼等自身が生産しなければならなくなります。そのような場合，構造物内のスペースは限られているので，大型家畜などを飼育することは難しいでしょう。そこで比較的場所をとらずに、大量生産できる昆虫が、動物タンパク質源として、考えられているわけです。</p>
<p class="indent">昆虫食について、もっといろいろな事を知りたい方は、次の本を御覧ください。</p>
<ul>
	<li><a href="http://www.yasakashobo.co.jp/books/detail.php?recordID=537" target="_blank">三橋 淳 (2008)　『世界昆虫食大全』403頁　八坂書房(東京)</a></li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>蛾の密やかなラブソング: 鱗粉による超音波の発生と交尾行動における機能</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2009/0605_083000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.404</id>
   
   <published>2009-06-04T23:30:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:13:39Z</updated>
   
   <summary>秋の夜長に鳴く虫と同じように、蛾の仲間にも音により雌雄で交信をするものがいます。...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">秋の夜長に鳴く虫と同じように、蛾の仲間にも音により雌雄で交信をするものがいます。私たちは、ある種の蛾のオスがきわめて微弱な超音波を用いてラブソングを歌うことを発見しました。この歌は、オスが前翅と胸部にある特殊な鱗粉をこすり合わすことで生じ、メスが交尾を受け入れる際に重要な役割を果たしています。微弱な超音波の利用は、メスをめぐる競争相手のオスや天敵による盗聴を避けるのに有効と考えられ、今回初めて明らかになりました。今後は同様の現象が多くの昆虫や動物で見つかっていくものと期待されます。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">多くの蛾は超音波(人間には聴こえない周波数20kHz以上の高い音)を聞くことのできる「耳」を持っていますが、これは天敵であるコウモリが餌探索に使う超音波を「逆探知」するために進化したと考えられています。昆虫を含む動物の中には、雌雄の間で音による交信(コミュニケーション)をするものが少なくありませんが、蛾の中には上記の能力を生かして、雌雄間での交信に超音波を利用している種もいます。ただし、音は求愛する相手だけでなく天敵や競争相手にも自身の存在を知らせる危険性を持つため、相手だけにそっと伝えるうまいやり方をとることが重要です。</p>
<p class="indent">トウモロコシの害虫であるアワノメイガという蛾では、メスの出す性フェロモンに誘われてやって来たオスがメスのすぐ近くで超音波を発します(動画1)。この際に発せられる超音波のきわだった特徴はその音の微弱さです。本研究では、この微弱な超音波がどのように発生し、また、どのような役割をもっているのかを調べてみることにしました。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig1a.pdf" target="_blank"><img alt="nakano_fig1athumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig1athumb.jpg" width="240" height="102" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1a: アワノメイガの発音行動と発音器官。オスは交尾の前に翅と胸部にある特殊な鱗粉を摩擦させて超音波を出します(動画1、動画2も参照)。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig1b.pdf" target="_blank"><img alt="nakano_fig1bthumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig1bthumb.jpg" width="240" height="218" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1b: 翅と胸部の鱗粉の電子顕微鏡写真。写真下の白棒は5&mu;mを示しています。発音に特殊化した鱗粉はオスだけに見られ、その表面構造を拡大すると太い筋が見られます。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">まず、高感度超高速度カメラ(NHK放送技術研究所)を用いた発音行動の詳細な解析から、超音波の発信とオスの翅の動きが完全に同調していることが確認できました(動画2)。また、オスにだけ前翅と胸部の特定部位(翅を立てたときにちょうど擦れ合うところ)に特殊な形態の鱗粉が存在すること、さらにこれらを除去すると音が出なくなることが分かりました。つぎに、レーザードップラー振動計(電気通信大学)という装置による解析によって、翅の特殊鱗粉の下には特殊な膜があって、これが超音波を増幅する機能を持つことも明らかになりました。つまり、アワノメイガのオスは、特殊な鱗粉をこすり合わせて超音波を発生させ、さらにそれを鱗粉の下の膜で増幅しているのです(図1)。鱗粉を用いての超音波発信はこれまで全く知られていませんでした。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig2.pdf" target="_blank"><img alt="nakano_fig2thumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig2thumb.jpg" width="240" height="138" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: アワノメイガの超音波と可聴域。オスが発する超音波はパルス群から構成されます(図右下)。発せられる超音波の周波数ピークは約40kHzで、メスの聴覚神経が応答しやすい周波数と一致しています(図左)。右上の図は聴覚神経の応答を示しています。オスとメスの距離が3cm以上離れると、オスの超音波の音量はメスの可聴域に含まれなくなります。このことは、メスがオスの超音波を近距離でのみ聞き取れることを意味します。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">つぎに、私たちはオスの超音波の役割を調べました。はじめに腹部を走る聴覚神経の反応を調べたところ、メスがオスの超音波を聞き取れるのは約3cm以内の範囲に限られることが分かりました(図2)。つまり、オスがメスのすぐそばで発音しなければ相手には聞こえないということです。さらに、オスの超音波がメスにどのような影響を及ぼすのかを調べました(図3)。通常、メスに接近したオスが交尾を促すと、メスは高い率でこれを受け入れます。ところが、超音波を聞くことができないように処理をすると、交尾を迫るオスに対してメスはしばしば拒否反応を示しました。このとき、同時にオスの発する超音波を再現した合成音を聞かせてやると、メスは正常なオスに対するのと同じように交尾を受け入れました。これらの結果から、アワノメイガはきわめて微弱な超音波を介して雌雄間で至近距離での交信していることが分かったのです。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig3.pdf" target="_blank"><img alt="nakano_fig3thumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig3thumb.jpg" width="240" height="253" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 超音波が交尾率に与える影響。オスが超音波を発して、それをメスが聞くことができる(白色のバー)場合、交尾率は高くなります。超音波を発するオスとそれを聞くことができないメス(赤色のバー)、そして超音波を発することができないオス(青色のバー)と超音波を聞くことができるメスの場合、両方とも交尾率は低くなります。しかし、超音波を発することができないオスと超音波を聞くことができるメスに、オスの発する超音波の合成音を聞かせると(黄色のバー)、低かった交尾率が高くなります。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig4.pdf" target="_blank"><img alt="nakano_fig4thumb.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/nakano_fig4thumb.jpg" width="240" height="208" /></a>
	<p class="no-indent">
		図4: 蛾の発する超音波の音量。超音波の音量は測定距離1cmで計算し、種名のそばの黒丸で分類群(科、上科、図下に記載)ごとに表記してあります(0dB SPL=20&mu;Pa)。アワノメイガの発する超音波(約46dB SPL)は蛾の中で最小であることが分かります。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">こうして私たちは、ごく普通の蛾が競争相手や天敵に気付かれないような微弱な超音波を使ってラブソングを歌うことを初めて明らかにしました(図4)。このような戦略は蛾類が競争相手や天敵を避けるために広く採用している可能性があります。本研究を発端として、今後数多くの昆虫や動物で、接近したペアの間だけにしか聞こえないような「秘密の交信」が明らかにされていくことでしょう。</p>

<ul class="url-list">
	<li><a href="http://column.odokon.org/archives/ostrinia1.wmv">動画1: ビデオファイル(ostrinia1.wmv)をダウンロード(WMV形式/4.9MB)</a><br />
	アワノメイガのオスによる超音波の発音。40kHzの超音波を4kHzに変換し、オスの発する超音波をヒトに聞こえるようにしてあります。</li>
	<li><a href="http://column.odokon.org/archives/ostrinia2.wmv">動画2: ビデオファイル(ostrinia2.wmv)をダウンロード(WMV形式/1.7MB)</a><br />
	発音時の翅の動き。500fps(フレーム/秒)の高速度カメラで撮影した動画と同期的に録音した超音波を50倍に伸ばして再生してあります。動画の提供はNHK放送技術研究所・東京大学より。</li>
</ul>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Nakano, R., Ishikawa, Y., Tatsuki, S., Surlykke, A., Skals, N. & Takanashi, T. (2006) Ultrasonic courtship song in the Asian corn borer moth, Ostrinia furnacalis. <i>Naturwissenschaften</i> 93: 292-296.</li>
	<li>Nakano, R., Skals, N., Takanashi, T., Surlykke, A., Koike, T., Yoshida, K., Maruyama, T., Tatsuki, S. & Ishikawa, Y. (2008) Moths produce extremely quiet ultrasonic courtship songs by rubbing specialized scales. <i>Proc. Natl. Acad. Sci. USA</i> 105: 11812-11817.</li>
	<li>高梨琢磨・中野　亮 (2007) ガ類の聴覚情報戦略 ―愛と死の超音波をめぐって. バイオメカニズム学会誌 31: 130-133.</li>
	<li>Nakano, R., Ishikawa, Y., Tatsuki, S., Skals, N., Surlykke, A. & Takanashi, T. (2009) Private ultrasonic whispering in moths. <i>Comm. Integr. Biol.</i> 2: 123-126.</li>
	<li>中野　亮・高梨琢磨・田付貞洋・石川幸男 (2009) ガの超音波交信: コウモリへの対抗戦略と音響交信の進化. 蛋白質 核酸 酵素 54: 748-753.</li>
	<li>Nakano, R., Takanashi, T., Fujii, T., Skals, N., Surlykke, A. & Ishikawa, Y. (2009) Moths are not silent, but whisper ultrasonic courtship songs. <i>J. Exp. Biol.</i> in press</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫を扱う職業: ズバリ的中!? 病害虫が発生する時期や量を予測します</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/1121_220500.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.403</id>
   
   <published>2008-11-21T13:05:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:13:56Z</updated>
   
   <summary>農作物には、いろいろな種類の病気や害虫が発生します。これらの病害虫が、いつごろど...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">農作物には、いろいろな種類の病気や害虫が発生します。これらの病害虫が、いつごろどの程度発生するのか事前に予測することを病害虫の「発生予察」と言います。国と都道府県は、植物防疫法という法律で、「発生予察事業」を行うように定められています。発生予察事業は、ウンカ類の大発生をきっかけに、1941年に水稲を対象としてスタートしました。その後、麦、大豆、果樹、野菜、花き等が対象作物に加わり、この事業は、定められた基準・方法に従って全国で実施されています。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>病害虫防除所で行う発生予察の仕事</h3>
<p class="indent">このような発生予察を専門に行い、その情報を発信する職場が各都道府県にあります。その職場の名称は都道府県によって異なりますが、全国的には「病害虫防除所」と呼ばれる場合が多いです。佐賀県の場合、私が働いている「佐賀県農業技術防除センター病害虫防除部」が「病害虫防除所」に相当します。発生予察は各種農作物の様々な病害虫を対象に行っていますが、以下では、水稲害虫を中心に仕事の内容を紹介します。</p>
<h4>1. 現在の病害虫の発生状況を知る</h4>
<p class="indent">天気予報を行うには、将来の予測を行う前に、現在の大気現象を正確に把握する必要があります。このため、様々な気象観測が行われていることは、皆さんよくご存知だと思います。これと同じように、病害虫に関しても将来の予測を行う前に、現在の病害虫の発生状況を正確に把握する必要があり、そのために以下のような調査を行っています。</p>
<h5>(1) 圃場調査</h5>
<p class="indent">私達は、発生予察の対象としている農作物ごとに、定点圃場を定め、病害虫の発生状況を調査しています。圃場数は作物の種類によって異なりますが、水稲を例にとると88圃場を調査しています。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig01.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig01-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: 捕虫網を使ってカメムシ類のすくい取り調査をしている筆者(水稲の巡回調査時に撮影)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">調査の日は、朝、職場を車で出発。調査地点に着いたら、膝まである長靴に履き替えて、圃場の中に入ります。いもち病、紋枯病、コブノメイガ...定められた基準・方法に従って各病害虫の調査を行い、結果を調査用紙に記入します。また、カメムシ類のように、捕虫網を使ってすくい取りを行い(図1)、職場に持ち帰って種類別に虫数を調べるものもあります。最初の地点の圃場調査が終わったら次の地点に車で移動してまた調査。このように、車での移動と圃場調査を繰り返して、職場に帰り着くのは夕方頃になります。この調査を、私達は「巡回調査」と呼んでいます。</p>
<div class="figure-right figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig021.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig021.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig02-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 雨の日にレインコートを着て調査する筆者(水稲の巡回調査時に撮影)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">巡回調査のルートを工夫して、できるだけ効率的に調査を行っています。しかし、私が担当する定点圃場を全て調査するだけでも、約4日間はかかります。水稲の場合、毎月上旬と下旬にそれぞれ巡回調査を行っています。この定期的な巡回調査に加え、現地からの情報等に基づいて臨時調査を行うこともあります。このように、私達は、事務所を出て野外で頻繁に調査を行います。巡回調査は雨の日であっても行います(図2)。また、夏場の水田内での調査は、かなり疲れます。しかし、調査で体を動かすことは、体力維持やダイエット等に役立っている!と前向きに考えるようにしています。また、巡回調査では農家の方と話をする機会が多く、いろいろ教えてもらい勉強になります。</p>
<h5 class="clearfloat">(2) トラップ調査</h5>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig03.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig03.php','popup','width=817,height=847,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig03-thumb.jpg" width="240" height="254" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 水稲に多数寄生しているトビイロウンカ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig04.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig04.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig04-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図4: 多発生したトビイロウンカによって被害を受けた水稲<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-left figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig05.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig05.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig05-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図5: ウンカ類を調査するため地上10mの高さに設置しているネットトラップ(ネットの直径は1m)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig06.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig06.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig06-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図6: ウンカ類を調査するため設置している60w白熱球を誘引源とした予察灯<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">害虫の調査には、捕獲器(トラップ)も利用します。例えば水稲害虫であるセジロウンカやトビイロウンカ(図3・4)は日本国内では越冬できず、毎年、中国大陸で増殖したウンカが日本に飛来します。このため、ネットトラップ(図5)や60w白熱球を誘引源とした予察灯(図6)等を利用して飛来したウンカ類を捕獲し、飛来時期や量を調べています。トラップ調査は、各都道府県の病害虫防除所等で行われています。また、その調査データは全国で共有されており、相互に利活用されています。</p>
<p class="indent clearfloat">ウンカは、梅雨期頃に断続的に飛来します。このため、圃場調査とトラップ調査だけでは、主要な飛来日を絞りにくい場合があります。この場合は、上空にウンカの飛来をもたらす強風が吹いていた日を気象図から調べたりもします。このように、ウンカの飛来日を特定するには、総合的な判断が必要となり、発生予察担当者の腕の見せ所となっています。</p>
<h5>(3) その他の調査</h5>
<p class="indent">病害虫の調査は、肉眼観察で済むものばかりではありません。例えば水稲の病気の中には、イネ縞葉枯病というウイルス病があります。イネ縞葉枯病ウイルス(RSV)に感染した水稲にヒメトビウンカが寄生すると、ヒメトビウンカの体内にRSVが取り込まれます。このヒメトビウンカが別の健全な水稲に移動して寄生すると、今度はその水稲がRSVに感染します。すなわち、ヒメトビウンカはRSVの運び屋となっているのです。このため、イネ縞葉枯病の発生予察を行うに当たっては、捕虫網を使ったすくい取り調査等でヒメトビウンカの発生量を調べるとともに、捕獲した一定量のヒメトビウンカについて、RSVを保毒しているかどうか一匹ずつ検定し、ウイルス保毒虫率を調べています。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig07.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig07.php','popup','width=674,height=628,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig07-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図7: 微量局所施用法によって殺虫剤をトビイロウンカに処理しているところ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">また、害虫の中には、これまで使用していた殺虫剤に対して抵抗性を獲得するものがいます。例えば、トビイロウンカは、最近使用されている数種の殺虫剤に対して抵抗性を獲得しつつあり、その詳細を監視することが重要となっています。このため私達は、微量局所施用法(図7)などによって、抵抗性の発達程度を調べています。微量局所施用法では、麻酔したトビイロウンカに微量の殺虫剤を処理し、その24時間後および48時間後にウンカの生死判定を行います。殺虫剤の濃度をいろいろ変えて処理しますが、効果が高い殺虫剤では、低濃度でもウンカは死亡します。一方で、ウンカが抵抗性を獲得し、効果が低下した殺虫剤の場合、高濃度で処理しても一部のウンカは死亡しません。死なずにピンピンしているウンカをじっと眺めていると、生命力のたくましさを感じることもありますが、感心している場合ではありません。このような殺虫剤の抵抗性に関する情報は、防除上注意すべき事項として生産現場の指導機関などに提供します。</p>

<h4 class="clearfloat">2. 今後の病害虫の発生を予測する</h4>
<p class="indent">ここまで、病害虫の現在の発生状況を知るための方法等についてお話しました。ここからは、今後の病害虫の発生を予測する作業やその情報の発信等について、具体的に紹介します。</p>
<h5>(1) 予測作業の具体例</h5>
<p class="indent">巡回調査のデータは、各作物、病害虫ごとに、表計算ソフト等を用いて集計します。データは、過去10年間の平均値を平年値とします。そのうえで、統計処理を行い、各病害虫の現在の発生量を、「平年より少ない」、「平年よりやや少ない」、「平年並」、「平年よりやや多い」、「平年より多い」のいずれかに区分します。</p>
<p class="indent">次に、翌月の病害虫の発生量を予測します。多くの病害虫については、発生しやすい気象条件がそれぞれ明らかにされています。そこで、現在の病害虫の発生量が、今後増えるかどうかを予測する根拠として、翌月を対象とした気象予報を利用しています。また、現在の農作物の生育状況が病害虫の発生に適しているかどうかを、予測の根拠に加えることもあります。
このような手順によって、翌月の各病害虫の発生量を、「平年より少ない」、「平年よりやや少ない」、「平年並」、「平年よりやや多い」、「平年より多い」のいずれかで予測します。</p>
<p class="indent">また、病害虫によっては、今後の発生時期を具体的に予測する場合もあります。例えば、既に述べたようにトビイロウンカは海外から飛来しますが、その後の水田での発生時期は、年々の飛来時期や気温の推移によって異なります。この害虫は、近年多発傾向にあり、防除の必要があると判断された場合に防除適期を知るためには、発生時期を正確に予測することが重要です。このため、私達は、主要飛来日を特定したうえで、トビイロウンカの発育速度と温度との関係式を利用して、「トビイロウンカの発生予想パターン図」を作成しています。</p>
<h5>(2) 発生予察情報の作成</h5>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig08.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shobu_fig08.php','popup','width=674,height=628,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shobu_fig08-thumb.gif" width="240" height="229" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図8: 発生予察情報の一例(平成20年8月の予報より抜粋)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">以上のような情報は、「発生予察情報」として取りまとめます。発生予察情報には、定期的に発表する「発生予報」や、臨時的に発表する「警報」、「注意報」などがあります。発生予報は、通常1ヶ月に一度発表し、予測される病害虫の発生時期や量、予報の根拠および防除上の注意事項等を記載します(図8)。警報は病害虫の大発生が予測され、作物に重大な被害が生じる恐れがあるため、早急に防除対策を講ずる必要がある場合に発表されます。注意報は、警報を発表するほどではないが、病害虫の多発生が予測され、作物に大きな被害が生じる恐れがあるため、早急に防除対策を講ずる必要がある場合に発表されます。</p>
<p class="indent">これらの予察情報は、原案を病害虫防除所で作成します。さらに、県の専門技術員や試験研究機関および農業団体等の関係者が集まって「発生予察会議」が開催され、予察情報の内容が検討されます。</p>
<p class="indent">なお、病害虫の多発生が予測される場合は、予察情報の種類や内容について慎重な検討が必要となる一方で、現場では早急な対応が必要となっています。このことから、注意報や警報を発表する時は、いつも以上に緊張した雰囲気の中で、情報の作成や内容の検討が行われます。</p>
<h5 class="clearfloat">(3) 情報の発信など</h5>
<p class="indent">発生予察会議等での指摘事項があれば、手直しを加え、予察情報が完成します。できた予察情報は、電子メールやファックスなどで県内外の関係機関に送付します。また、病害虫防除所のウェブサイトでも公開します。</p>
<p class="indent">生産現場から、「あの情報はタイムリーだったよ。おかげで的確な対応がとれた。」などと言ってもらった時は、嬉しくなります。一方で「あの情報は少し遅かったのではないか?」「あの発生予想パーン図は、実際の発生時期と少しずれていたのではないか?」などと指摘を受けることもあります。この場合は、情報のタイミングや予測精度に問題がなかったどうか検証するとともに、時として自分の力量不足を痛感することもあります。</p>
<p class="indent">病害虫発生予察の精度を向上させるには、病害虫に関する豊富な知識が必要となることは言うまでもありません。私達は、関係する文献等に目を通すとともに、全国で開催される研究会や学会等にも積極的に参加し、絶えず新しい情報の収集に努めています。</p>

<h3>おわりに</h3>
<p class="indent">的確な発生予察を行い、その情報を迅速に発信することで、以下の効果が期待できます。まず、ある種の病害虫が多発生することを事前に予測できれば、的確な対応によって多発生を未然に防ぎ、農作物の被害を防ぐことができます。一方、ある種の病害虫の発生が少ないままで終息することを事前に予測できれば、その病害虫を対象とした防除を省略し、不要な農薬を散布せずにすみます。このように、的確な発生予察は、農産物の安定生産、安全・安心な農産物の供給に直結していることから、病害虫防除所の仕事は大変やりがいのあるものです。</p>
<p class="indent">病害虫防除所の職員は、各都道府県庁で採用された地方公務員の人達で構成されています。この仕事に興味があり、もっといろいろなことを知りたい方は、各都道府県の病害虫防除所のウェブサイトをご覧ください。更に具体的なイメージが広がると思います。また、具体的な採用方法を知りたい方は、各都道府県庁などに問い合わせてみてください。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫を扱う職業: 思わぬ知識が役に立つ!? 現場密着型の農業改良普及員</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0909_123456.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.401</id>
   
   <published>2008-09-09T03:34:56Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:14Z</updated>
   
   <summary>「農業改良普及員」という職種をご存じでしょうか。地域の農業が抱える課題を解決し、...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">「農業改良普及員」という職種をご存じでしょうか。地域の農業が抱える課題を解決し、より良い方向に誘導するべく、農業に関する技術や情報、各種制度や法律をもって現場に出向く技術者です。農業者の相談窓口であり、現場に密着しつつ、都道府県や市町村、農協等の各種団体とも関わりのあるこの業界。もしここに、多少なりとも「虫」との付き合いのある人材が入ったら...？</p>
<p class="indent">今回は筆者の体験をもとに、農業改良普及員の業務について紹介します。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>普及員とは</h3>
<p class="indent">この職種は、農業改良助長法という法律のもと、各地区に配置されている技術者です。その歴史は、戦後間もない復興期に遡ります。食料増産が急務とされていた当時、一層の農業振興を図るために、より農産物の収量を上げるための新技術を伝達したり、農家の生活水準を上げるための指導を担う事務所が設置されました。</p>
<p class="indent">私がこの職種に就いたときには、担当業務により「農業改良普及員」と「生活改良普及員」に大別されていましたが、今では組織再編や法改正により、呼称や位置づけが各都道府県によって多様化しています。</p>
<p class="indent">現在、岩手県では職名を「農業普及員」、事務所名を「農業改良普及センター」と呼んでいますが、比較的年配の農業者には、今でも「普及員」もしくは「普及所」の呼称で通っています。</p>

<h3>仕事の内容</h3>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/goto_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/goto_fig1.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/goto_fig1-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: ほうれんそうのハウスをみんなで見学<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/goto_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/goto_fig2.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/goto_fig2-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: きゅうり畑で勉強会<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">普及員の業務を特徴づけていること、それは「農業者の相談窓口」となることです。</p>
<p class="indent">岩手県の場合、普及員は、水稲や畑作物、野菜、花き、果樹、畜産、農業経営、農産加工など、各専門分野を担っています。専門分野に応じて、作物の栽培方法や品種、施肥設計、農薬の使い方といった個々の相談に対応します。作物の生育に異常があった場合、現地へ出向き、異常の原因が天候によるものか、栽培方法に問題がなかったか、病害虫が発生していないか、栽培者と一緒に考えます。同じ異常が広く発生している場合は、他の農業者や関係機関にも情報伝達して注意を喚起します。</p>
<p class="indent">多くの農業者に対する研修会も開催します。事務所の会議室に集めた座学もあれば、他地域の優良事例を視察研修することもあります(図1、図2)。内容によっては、法律や試験研究の専門家を講師に招聘します。研修会の準備にあたり、私達は多くの情報を収集し、農業試験場などの研究成果も織り交ぜながら、分かりやすい資料を作成して農業者に伝達するよう心がけています。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/goto_fig3.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/goto_fig3.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/goto_fig3-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 2007年6月8日に降ったひょう<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">本当はあって欲しくないのですが、毎年どこかで霜やひょう、大雨、台風などの気象災害が起こります(図3)。農作物の被害が発生すると、普及員の業務は多忙を極めます。平成5年の大冷害では、普及員総出で水稲の被害調査を行いました。</p>
<p class="indent">このように、私達の仕事は多岐にわたっていますが、いずれも農業者の経営改善と生活向上につなげることをねらいとしています。そして、良い事例が生まれて他の農業者にも波及し、農業によって地域全体が元気になること、これが私達の目標なのです。たとえたくさんの農産物を生産しても、それがお金にならないと農業者は生活できません。農業者が持っている土地や機械、家族人数、販売先、さらに地域の気候や立地条件なども考慮して、より収入の得られる品目や生産方法を勧めています。</p>
<p class="indent">これで普及員の仕事がイメージできたでしょうか。</p>

<h3>仕事と虫との関わり</h3>
<p class="indent">ここまでお読みの方は、「何だ、普及員という職種は、虫と関係ないじゃないか」と思われるかも知れません。実はそうなんです。私達の相手は農業者であって、虫そのものではありません。でも、農業の現場に関わる以上は、全く虫を見ないわけではありません。農作物には、必ずと言ってよいほど害虫の問題が発生します。</p>
<p class="indent">「この虫は何か？」この手の問い合わせには、ある程度昆虫に関わっていた経験が強みになります。一般的には、まず農作物の病害虫図鑑を検索します。最近はインターネットの検索もできて便利になりましたが、それで全て解決するわけではありません。経験豊かな農業者が尋ねるくらいですから、病害虫図鑑にも載っていない事例も多々あります。</p>
<p class="indent">あるときは、ウリハムシモドキが畑に多発して、各種野菜を食害しました。畑にクローバーの生えた草地が隣接して発生源となり、成虫が野菜畑に移動したようです。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/goto_fig4.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/goto_fig4.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/goto_fig4-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図4: タネバエ幼虫に加害されたレタス<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">あるときは、レタスを食害するウジ虫が見つかりました。室内飼育により、正体はタネバエと分かりました。有機物の多い肥料や外葉の枯れた部分の臭いが成虫を誘引し、産卵したのでしょうか、育った幼虫がレタスの柔らかい葉まで食べていたようです(図4)。</p>
<p class="indent">秋も深まる頃、「地べたにたくさんの毛虫みたいなものが塊になっている!」という電話がきたときには、「ケバエ類の幼虫だな」と見当がつきました。特に害虫とはならないものは相手にも説明し、神経質になって殺虫剤を散布しなくても良いことを理解していただきます。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/goto_fig5.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/goto_fig5.php','popup','width=1041,height=673,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/goto_fig5-thumb.jpg" width="240" height="157" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図5: ほうれんそうに対するトビムシの加害<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">その一方で、意外なものが「害虫」となることに驚かされます。</p>
<p class="indent">土壌中の有機物を分解するトビムシ類が、ときにはほうれんそうの葉をかじって穴をあけてしまうなんて(図5)!</p>
<p class="indent">肉食性の強いゴミムシの類が、ときにはチンゲンサイや大根を食害するなんて!</p>
<p class="indent">こうした事例と対面するたびに、「害虫ではない虫だからほっといても大丈夫」と簡単に言ってはいけないと思い知らされます。</p>
<p class="indent">私達が現場で確認した事例は、必要な場合は、試験研究機関や病害虫防除所などの他機関にも情報提供しています。普及センターからの情報が、研究機関が新たな研究テーマに取り組むきっかけになったり、既に取り組んでいる研究テーマの成果につながることもあるのです。現場に密着してこその強みです。
<h3>虫を通じた人との関わり</h3>
<p class="indent">前述のような相談対応は、本来業務のうちのほんの一部です。害虫でもない虫の相談依頼は、農業者にとっても雑談程度の認識ということもあります。</p>
<p class="indent">しかし、人と人とのつきあいでは、雑談ができることも重要です。誰でもそうですが、日常の疑問や悩みは、まずは信頼できる身近な人に相談するものです。私達普及員が日常の相談役として農業者に認識されると、農業者がどんなことで困っているか、本音を語ってくれます。私達も、課題解決のためにはどんな支援が必要か、共に考えることができます。そのような信頼関係を築くためのきっかけ、そのひとつが私にとっての虫談義だったりするのです。</p>

<h3>今年のトピック</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/goto_fig6.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/goto_fig6.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/goto_fig6-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図6: マイマイガ大発生<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">2007年8月、岩手県北部では、人家の明かりや街灯に無数のガが飛来して、人々を驚かせました(図6)。</p>
<p class="indent">翌2008年には、周辺の山々で毛虫が大発生し、樹木の葉が相当食い尽くされて、遠目でも山林全体が赤茶けて見えました。当然、当事務所にも問い合わせが相次ぎました。実際に、山林に隣接した田畑には幼虫が侵入し、農作物への被害も懸念されたのです。多くの人は効果的な防除対策を知りたかったのでしょうが、広大な山林で大発生した毛虫です。簡単に退治する方法などありません(農薬取締法の規制もあり、農薬の使用自体も制限があります)。 </p>
<p class="indent">大発生したのは、マイマイガとカシワマイマイです。</p>
<p class="indent">「マイマイガは年1回の発生で、今年産まれた卵塊は越冬して来春孵化する。幼虫の餌は各種樹木類の葉で、農作物では果樹類以外の被害事例はあまり報告がない。過去にも全国各地で大発生を繰り返しているが、大発生後には病原菌や寄生昆虫などの天敵も増加するので、大体1～2年後には終息している。」私は機会ある毎に、マイマイガの基本情報を説明しました(いつの間にか、職場では私が虫関係の相談窓口でした)。</p>
<p class="indent">すると、多くの人々がガや毛虫の襲来を迷惑がってはいるものの、何という名前なのか、どのような生態の虫なのか、興味深く聞いていました。虫が嫌いだという人も、面白がって聞いているようです。</p>
<p class="indent">幸い、農作物ではイネやコムギの葉が食害されたものの、被害は問題になりませんでした(実際、マイマイガ類の幼虫は、野菜の葉などはほとんど食べませんでした)。補足しますと、商店街では期間限定で街灯を消す作戦が効を奏して、人家への飛来は昨年より抑制されたようです。</p>
<p class="indent">余談ですが、その後、ある新聞社からオオツノトンボについて問い合わせの電話がありました。マイマイガの件以来、「虫の問い合わせは普及センターへ」と誤解されたのでしょうか。完全に本来業務でありませんが、担当が違うからと言って門前払いはしません。私自身の目撃事例や分かっている情報を説明した後、県内の博物館を紹介し、全県的な情報を聞いてみるようおすすめしました。</p>

<h3>これからの仕事のあり方</h3>
<p class="indent">ピーマンを栽培している農業者の畑を訪ねたときです。</p>
<p class="indent">その畑はアブラムシが発生していました。アブラムシの甘露を求めてアリがピーマンの枝を徘徊しています。「テントウムシも来てアブラムシを食べるんだ」とその人は言いました。私はテントウムシの代わりに、ヒラタアブの幼虫を見つけました。それを教えたところ、大変興味深そうに眺めていました。有機栽培でも減農薬栽培でもない、普通の農業者が天敵昆虫に興味を持っていたのは少々意外でした。</p>
<p class="indent">捕食者が自然発生するほどアブラムシが多発するのは望ましいことではないので、本来なら「もっと早くアブラムシ防除しましょう」と言うところです(農作物にウイルス病を媒介されると、虫自体の吸汁加害より被害が深刻になります)。天敵の出現を楽しみにしているような人には、農薬散布をすすめるかわりに、害虫とは別次元の虫談義を提供した方が喜ばれそうです。</p>
<p class="indent">また、県の出先機関の中には、川の水質調査の一環で水生昆虫を調査したり、ホタルの観察会を行ったりする事例があります。今は限られた地域で実行されていますが、もしこの動きが大規模になってくれば、県全体で組織を超えたチームを組んで、新たな分野で仕事を連携できるかも知れません。</p>

<h3>普及員になるためには</h3>
<p class="indent">以前は各都道府県の採用試験とは別に、普及員になるための専門試験がありました。今では都道府県採用前ではなく、普及センター等の農業関係部所に配属されて、一定期間の経験を積んでから受験するしくみとなりました。</p>
<p class="indent">普及員として配属されるかどうかは、都道府県によって事情が異なります。農業分野で受験した場合、二次試験では面接もありますから、そのとき「普及員になりたい」と意思表示を明らかにしてもよいでしょう。</p>
<p class="indent">ただし、都道府県の職員には転勤もつきものです。岩手県の場合、行政機関や試験研究機関などへの異動も多いので、定年までずっと普及員を続けられる人はほとんどいません。けれども、いろいろな部所での経験が業務上役立つことがあります。もし希望に反して普及センターに配属されなくても、転勤で普及センターを一時離れたとしても、決して悲観することはありません。分野が異なっても、何か人のために役立つ仕事をしようとする姿勢もまた大事なのです。</p>
<p class="indent">私の場合、前の職場が農業研究センターでしたが、このとき他の研究機関や昆虫関係者とたくさん交流できたことや、6年間の研究経験で得た(多少の)スキルが自分にとっての収穫でした。そのとき入会を勧められたのが、この応用動物昆虫学会です。今では仕事で大会に参加する機会もなくなりましたが、毎回送付される会誌に知人の名前を見つけるのが楽しみで、今でも会費を納めています。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>渡る世間はメスばかり？ 宿主のオスだけを殺す共生細菌</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0905_174024.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.400</id>
   
   <published>2008-09-05T08:40:24Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:22Z</updated>
   
   <summary>昆虫にはオスとメスが存在します。多くの場合、その比率はおよそ1:1です。ところが...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">昆虫にはオスとメスが存在します。多くの場合、その比率はおよそ1:1です。ところがそのような昆虫種において、メスばかりうまれる系統が見つかることがあります。このような現象は、染色体の異常などが原因で起こることもありますが、驚くべきことに、昆虫体内の共生細菌が宿主の生殖を操っているケースが多いのです。共生細菌による宿主の生殖操作は、これまでに多様な昆虫種から報告されており、その原因となる共生細菌もさまざまですが、今回はその一例として、ショウジョウバエの共生細菌であるスピロプラズマが引き起こす性比異常現象について紹介したいと思います。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>共生細菌スピロプラズマによるショウジョウバエのオス殺し</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig1.php','popup','width=529,height=658,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig1-thumb.jpg" width="240" height="308" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: キイロショウジョウバエの性比異常現象<br />
		A: 正常なキイロショウジョウバエのメスがうんだ子孫(性比がほぼ1:1)<br />
		B: オス殺し共生細菌に感染したメスがうんだ子孫(メスしかいない)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig2.php','popup','width=562,height=386,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig2-thumb.jpg" width="240" height="169" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: ショウジョウバエ体液中の共生細菌スピロプラズマ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">前述のように、ほとんどの昆虫の母親からはオスとメスの子がほぼ同じ数ずつうまれます。ところが、ブラジルやアフリカでショウジョウバエを採集して、母親1匹ずつに卵を産ませると、特定の母親が産んだ卵からかえった子がすべてメスという現象がまれ(多くて数パーセント)に観察されます(図1)。その犯人が、スピロプラズマ(<i>Spiroplasma</i>)という共生細菌なのです(図2)。スピロプラズマは、モリクテス綱に属するグラム陽性細菌で、はっきりとした細胞壁を持たず、運動性があり、らせん型であるなどの特徴があります。この細菌は、宿主の性比を操ることからSex Ratio Organism (SRO)とも呼ばれ、ショウジョウバエの体内に共生し、卵を通して母から子に伝わります。これらの感染メスの産んだ卵のうち、オスになる卵のみがふ化することなくすべて死んでしまうので、メスばかりになるというわけです。したがってこの現象は「オス殺し(male-killing)」と呼ばれています。スピロプラズマによるオス殺しは、他にテントウムシやチョウの仲間でも見つかっています。また、ショウジョウバエでは他にボルバキア(<i>Wolbachia</i>)という共生細菌もオス殺しを起こすことが知られています。共生細菌によるオス殺しは、膜翅目、鞘翅目、鱗翅目、双翅目と多様な昆虫種で見つかっており、その病原細菌も、スピロプラズマやボルバキアの他に、リケッチア(<i>Rickettsia</i>)、<i>Arsenophonus</i>、<i>Blattabacterium</i>類縁菌などさまざまです。</p>
<p class="indent">これらの共生細菌はどうやって、また何のために、オスの宿主のみを選択的に殺すのでしょうか？また、どのようにして宿主との共生関係を維持しているのでしょうか？私たちは、ショウジョウバエとスピロプラズマの共生系をモデル実験系として、スピロプラズマの生物学的特徴を詳しく調べるとともに、さまざまなアプローチによってこれらの謎を解明しようとしています。</p>

<h3 class="clearfloat">スピロプラズマの生物学的特徴(1)－宿主体内での個体群動態－</h3>
<p class="indent">スピロプラズマに感染したショウジョウバエの体液を顕微鏡で観察すると、多数の細菌が泳ぎまわっているのを確認することができます(図2)。スピロプラズマは、宿主体内でどのような個体群動態を示すのでしょうか？</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig3.pdf" target="_blank"><img alt="matsuura_fig2thum.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig3thum.jpg" width="240" height="192" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 宿主成虫の成長にともなう共生細菌スピロプラズマの密度変化<br />
		スピロプラズマに感染したショウジョウバエから全DNAを抽出し、定量的PCR法によってスピロプラズマの遺伝子(<i>dnaA</i>)のコピー数を調べた。カラムは中央値、バーは四分位数間領域を表す。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">私たちは、スピロプラズマに感染したショウジョウバエから全DNAを抽出し、定量的PCRという方法で宿主体内におけるスピロプラズマの遺伝子コピー数(=細菌密度)の変化を調べました。その結果、羽化後のショウジョウバエ成虫の体内では、宿主の成長にともなってスピロプラズマが増えていくことが明らかになりました(図3)。さらに、ショウジョウバエの組織ごとにスピロプラズマ密度の変化を調べたところ、体液中での増殖が特に活発であることが推測されました。</p>
<p class="indent">ところで、本研究で使ったスピロプラズマはNSROと呼ばれるオス殺しをおこす共生細菌系統なのですが、この系統からはオスを殺すことができなくなった突然変異系統、NSRO-Aが得られています。そこで、この系統についても個体群動態を調べてみたところ、興味深いことにNSROで観察されたような宿主成虫の成長にともなう増殖が見られませんでした(図3)。また、NSROが感染している場合でも、細菌密度が低い羽化直後のショウジョウバエからは、低頻度ながらオスの子孫が得られることがあります。これらのことから、宿主体内での細菌の増殖がオス殺しの発現に密接に関わっていると考えられます。</p>

<h3>スピロプラズマの生物学的特徴(2)－宿主免疫機構との関係－</h3>
<p class="indent">先に述べたように、スピロプラズマはショウジョウバエの体内、特に体液中で活発に増殖します。しかし昆虫類には先天性免疫機構というものがあって、体内に侵入した普通の細菌はあっという間に殺されてしまうはずです。にもかかわらず、なぜスピロプラズマは宿主免疫によって排除されないのでしょうか？</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig4.pdf" target="_blank"><img alt="matsuura_fig2thum.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig4thum.jpg" width="240" height="254" /></a>
	<p class="no-indent">
		図4: スピロプラズマ感染ショウジョウバエにおける抗菌タンパク質遺伝子の発現<br /><br />
		抗菌タンパク質遺伝子の発現を、ノザン・ハイブリダイゼーション法により調べた。スピロプラズマが感染しているハエでは、非感染と同じく、7種すべての抗菌タンパク質遺伝子の発現が誘導されていなかった(左2列)。ただし、菌体を接種すると、感染状態にかかわらず発現が誘導された(右2列)。<i>rp49</i>はコントロール。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">スピロプラズマに感染しているショウジョウバエにおける抗菌タンパク質遺伝子の発現を調べたところ、非感染の場合と同様に抗菌タンパク質遺伝子が発現していないことがわかりました(図4)。この理由として、1) スピロプラズマは宿主免疫機構に認識されない、あるいは、2) スピロプラズマが抗菌タンパク質遺伝子の発現を抑制している、という2つが考えられます。そこで次に、スピロプラズマに感染しているショウジョウバエに菌体(大腸菌とカビの一種を混ぜたもの)を接種してみました。すると、非感染ショウジョウバエに菌体を接種した場合と同様に抗菌タンパク質遺伝子の発現が観察され、明らかな抑制は確認されませんでした(図4)。このことから、スピロプラズマが排除されない理由は1であると考えられます。スピロプラズマがはっきりした細胞壁を持たないことが関係しているのかもしれません。</p>

<h3>オス殺しのメカニズムに迫る</h3>
<p class="indent">ここまで、スピロプラズマの生物学的特徴をいくつか述べてきましたが、やはり最も知りたいのはオス殺しのメカニズムです。しかし、オス殺しに限らず、共生細菌による宿主の生殖操作の具体的な分子機構はほとんどわかっていないのが現状です。その最大の理由は、共生細菌を宿主から取り出して単離培養することの難しさにあります。この問題をクリアできないことには、共生細菌への遺伝子導入、形質転換による原因遺伝子の同定といった常套手段を取ることは困難です。それでは、どうすれば生殖操作のメカニズムに迫ることができるのでしょうか？ 考えられる方法の一つは、「共生細菌から攻めることが難しいのならば、宿主の側から攻める」ということです。ショウジョウバエとスピロプラズマの共生系を研究材料とする最大のメリットは、まさにこの点にあります。モデル生物であるキイロショウジョウバエ(<i>Drosophila melanogaster</i>)で確立されたさまざまな実験手法を駆使して研究を進めることが可能になるからです。</p>
<p class="indent">スピロプラズマのオス殺しについての研究は、1960～80年代にかけてショウジョウバエ研究者の主導で行われてきました。キイロショウジョウバエを用いた巧妙な遺伝学的研究から、1) X染色体を1本のみ持つ個体は性表現型にかかわらずスピロプラズマにより致死になること、2) Y染色体の存在はオス殺しに関係しないこと、3) 宿主の遺伝的バックグラウンドによってオス殺しの発現や垂直伝播効率に違いが見られることといった、重要な知見が得られています。最近では英国の研究グループにより、ショウジョウバエのオスだけで作られるタンパク質複合体の存在が、オス殺しの発現に必要であることが報告されました。しかし、オス殺しの具体的なメカニズムについてはまだほとんどわかっていません。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig5.pdf" target="_blank"><img alt="matsuura_fig2thum.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/anbutsu_fig5thum.jpg" width="240" height="127" /></a>
	<p class="no-indent">
		図5: オス殺しを救済するショウジョウバエ挿入系統のスクリーニング法<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">現在、私たちはショウジョウバエの単一の遺伝子を強制発現させることができる実験系(Gal4-UASシステム)を用いて内部共生に関連する宿主遺伝子の探索を行っています。Gal4は酵母由来の転写活性化因子であり、上流域活性化配列UASに結合することによって、その下流の遺伝子の発現を誘導する性質があります。そこで、<i>gal4</i>遺伝子を導入したショウジョウバエ系統にスピロプラズマを感染させ、それにUASがゲノム中に挿入された系統を交配することで、オス殺しが起きなくなるような系統を見つけようとしています(図5)。そのような系統が得られたら、UASの下流に存在する遺伝子(=強制発現されている遺伝子)、すなわちオス殺し救済の原因遺伝子を同定することによって、オス殺しや共生に関わる宿主の遺伝子を見つけることができるのではないかと考えています。また、このような宿主からのアプローチに加えて、「単離培養を介さない」共生細菌側からのアプローチとして、スピロプラズマのゲノム決定にも取り組んでいます。</p>
<p class="indent">これまでの長い研究の歴史にもかかわらず、未だほとんど解明されていないオス殺しのメカニズムですが、宿主および共生細菌の双方から、あらゆる手法を駆使してアプローチすることにより、いずれはその謎を解き明かしたいと考えています。</p>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>深津武馬・安佛尚志 (2003) 共生微生物による宿主昆虫の生殖操作機構の解明への分子遺伝学的アプローチ、日本農芸化学会誌ミニレビュー「共生微生物のバイオフロンティア」77: 41-43.</li>
	<li>Anbutsu, H. and T. Fukatsu (2003) Population dynamics of male-killing and non-male-killing spiroplasmas in <i>Drosophila melanogaster</i>. <i>Appl. Environ. Microbiol.</i> 69: 1428-1434.</li>
	<li>Hurst, G. D. D., H. Anbutsu, M. Kutsukake and T. Fukatsu (2003) Hidden from the host: <i>Spiroplasma</i> bacteria infecting <i>Drosophila</i> do not cause an immune response, but are suppressed by ectopic immune activation. <i>Insect Molecular Biology</i> 12: 93-97.</li>
	<li>Anbutsu, H. and T. Fukatsu (2006) Tissue specific infection dynamics of male-killing and nonmale-killing spiroplasmas in <i>Drosophila melanogaster</i>. <i>FEMS Microbiol. Ecol.</i> 57: 40-46.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>植物のかおりで夜を判断</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0609_060000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.399</id>
   
   <published>2008-06-08T21:00:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:28Z</updated>
   
   <summary>どのようにして、昼と夜を区別していますか？夏至に近づくにつれて「日が長くなったな...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">どのようにして、昼と夜を区別していますか？夏至に近づくにつれて「日が長くなったなあ」とか、秋になると「あっという間に日が暮れるなあ」という感覚をお持ちだと思います。</p>
<p class="indent">その昼夜は何によって感じていますか？おそらくほとんどの人の答えは光でしょう。しかし、別のものによって昼夜を区別している虫がいます。今回のむしむしコラムはそんな虫のお話です。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>その虫とは？</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_photo11.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shiojiri_photo11.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_photo1-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: アワヨトウ(<i>Mythimna separata</i>)幼虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div><p class="indent">アワヨトウ(粟夜盗)はその名の通り、イネ科を夜に盗む(食害する)虫です(写真1)。近年において日本では滅多に大発生はなくなりましたが、昔は夜になると田圃からワサワサという音がして、翌日にはイネは殆ど壊滅状態になっているということがあったそうです。このワサワサという音はアワヨトウ幼虫がイネを喰っている音だったそうです。翌朝には見るも無残なイネの残骸があるだけで、犯人の幼虫は見当たらなかったそうです。いくつかのの論文でもアワヨトウ幼虫の夜行性が報告されています。佐藤ら(1980)の論文によると、若令期は葉の鞘部分にいて、どのような活動をしているのかよく分からないけども、3令ごろになると明確な夜行性のリズムを刻むようになり、昼間は葉の合わさったところや、トウモロコシが植わっている土の中に隠れていたとあります。これらのことから、アワヨトウ幼虫が夜行性であるということがうかがえます。</p>

<h3>アワヨトウの飼育から</h3>
<p class="indent">私たちは研究室で、アワヨトウを飼育するのに人工飼料を使っていました。人工飼料がない場合、餌になる植物(トウモロコシやイネ)を育てなければならず、特にアワヨトウは大食家なので大変なのですが、巨大なソーセージ型で販売されている人工飼料を切って与えるだけですくすく順調に育つのでとても楽でした。</p>
<p class="indent">さて、アワヨトウをしばらく飼育して、餌を換えているときに、「あれ？」っと思いました。人工飼料の上にアワヨトウ幼虫が沢山のっかって食べているのです。アワヨトウは夜行性だからと思い、隠れる場所として濾紙を裂いたのを横においていたのですが、そこに隠れてジッとしている幼虫は半分ぐらいで、他は餌の上にいてムシャムシャと食べているのです。もちろん、餌を変えているのは日中で飼育室に電気がついているときなのです。</p>
<p class="indent">「あれっ？こいつらって、夜行性じゃないのん？なんで光があるのに堂々と食べてるんやろう。」と思いました。飢餓状態にしているわけではなく、餌は常に余っているのです。不思議に思い、アワヨトウの夜行性を報告してきた論文を読み返してみました。</p>

<h3>植物の効果</h3>
<p class="indent">さて、これまでの報告と、私たちの研究室の条件では、何が異なるのでしょうか？それは簡単にわかりました。これまでの報告において幼虫の観察は植物を用いて行われていました。しかし、私たちの研究室では人工飼料を使っていたのです。つまり、餌が植物か人工飼料かの違いなのです。そこで、同じ飼育条件で餌だけをトウモロコシの葉にしてみました。すると、昼間、殆どの幼虫はトウモロコシ葉ではなく、隠れ場として作っておいた濾紙の下でジッとしているのです。トウモロコシを食べていないわけではありません。トウモロコシに食痕がついているし、糞も転がっているのです。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig1.pdf" target="_blank"><img alt="図1: 実験装置－飼育容器のそばにトウモロコシを置くと？" src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig1thum.jpg" width="240" height="206" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: 実験装置－飼育容器のそばにトウモロコシを置くと？<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig2.pdf" target="_blank"><img alt="図2: 植物の有無によってアワヨトウ幼虫の隠れ率は変化する" src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig2thum.jpg" width="240" height="198" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 植物の有無によってアワヨトウ幼虫の隠れ率は変化する<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">植物を餌にすると、幼虫が夜行性の行動を示すことが分かりました。どの実験においてもそうですが、始めから当たりをつけて本格的な設定の実験をするわけではありません。予備実験と称して大雑把にサンプル数もそれほど取らずに行い、明らかに違いが現れたときに、本格的に今後の展開も考慮して設定を考えます。</p>
<p class="indent">実験にはカップの蓋の部分にメッシュをはった透明プラスチックカップを使いました。そのカップの中に人工飼料と濾紙を小さく折りたたんだものを置き、幼虫を1匹入れます(図1a)。それを明るい状態/暗い状態のインキュベーター内に配置し、2時間ごとに計8時間のアワヨトウの隠れ率を調べました。その結果、場所の明暗にかかわらず、隠れている幼虫の数は同じでした(図2:黒線)。人工飼料で飼っている限り、隠れる行動は光と無関係に一定の割合で起こっているのです。飼育していて感じた不思議な行動が、キチンとしたデータとして出されたわけです。</p>
<p class="indent">それでは、トウモロコシを餌にしたときに隠れたのは何故なのでしょう？そこで、人工飼料を餌とし、幼虫の周囲にトウモロコシを触れられないように配置してみました(図1b)。その結果、明るい状態にある幼虫は隠れていて、暗い状態にある幼虫は隠れ場から出てきて餌上にいたりその他の場所にいたのです(図2:緑線)。この2つの実験から興味深い事実がわかりました。</p>
<ul>
	<li>(1)	アワヨトウは一定の比率で隠れたり餌を食べたりするが、光はアワヨトウの隠れる行動に関係ない。</li>
	<li>(2)	明るい状態での植物の存在は、隠れ率を有意に向上させる(図2の上矢印)。</li>
	<li>(3)	暗い状態での植物の存在は、隠れ率を減少させる(図2の下矢印)。</li>
</ul>

<h3>植物の何が原因(影響している)？</h3>
<p class="indent">さて、植物を周囲に置いた効果は、視覚的なものの可能性と、嗅覚的な可能性の2つが考えられます。つまり、アワヨトウはトウモロコシ株が見える、見えないと言う視覚情報によって行動を変えているのか、トウモロコシ株の放出するかおりの昼夜の違いによって行動を変えているかです。</p>
<p class="indent">この実験中、2時間ごとにインキュベーターを開けて幼虫のいる場所を調べているとき、どうも2つのインキュベーターを開けたときのかおりが異なっているように感じていました。そこで、2つ目の仮説を調べてみることにしました。大きなケースにトウモロコシを入れ、下から空気を流し上から排出するようにしました。そして排出口からチューブをつなげ、幼虫がおかれているインキュベーターにチューブの先をいれておきました。それによって、視覚情報は排除し、トウモロコシのかおりだけがインキュベーターに流れ込むようにしました(図3)。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig3.pdf" target="_blank"><img alt="図3: 実験装置－植物と幼虫、どちらの明暗が重要？" src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig3thum.jpg" width="240" height="398" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 実験装置－植物と幼虫、どちらの明暗が重要？<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig4.pdf" target="_blank"><img alt="図4: アワヨトウ幼虫は植物が出すかおりに反応して隠れる" src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig4thum.jpg" width="240" height="210" /></a>
	<p class="no-indent">
		図4: アワヨトウ幼虫は植物が出すかおりに反応して隠れる<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">この実験設定で、植物の明・暗×アワヨトウ幼虫の明・暗の4通り調べることができます。まずはトウモロコシ未被害株(健全株)を用いて実験を行いました。結果は予想通りでした(図4a)。明るい条件下の健全植物が放出するかおりに暴露されたアワヨトウ幼虫は、その幼虫自体が暗条件であっても明条件であっても、同じように高い隠れ率を示しました。逆に、暗い条件の健全植物が放出するかおりに暴露されたアワヨトウ幼虫は、それらが暗条件であっても、明条件であっても同じように低い隠れ率を示しました。この実験系から、図2の結果は、アワヨトウがトウモロコシ株由来のかおり成分に反応して隠れ率=夜行性を決定していることが示されたのです。</p>
<p class="indent">図2の結果をもたらした要因としてトウモロコシ株のかおりだということが分ったのですが、これまでの実験では健全株を用いていました。しかしよく考えるまでもなく、アワヨトウの間近にあるトウモロコシ株は、そのアワヨトウが食害した株です。そこで次に食害株を用いて同様の実験を行いました。その結果はさらに良好なものでした(図4b)。明期の植物のかおりが積極的にアワヨトウ幼虫を隠れさせ、また暗期の植物のかおりが積極的にアワヨトウに隠れ家から外に出させる効果があるのです。</p>
<p class="indent">では、どのような成分が隠れさせたり、隠れ家から出させたりするのでしょうか。また健全葉と被害葉で同じ成分がそのような機能をもっているのか、あるいは被害株では新たに別の成分が出て、夜行性の行動反応を一層顕著にしているのか等、夜行性を支配する化学成分の特定は興味深いところであり、現在さらに研究を進めているところです。</p>

<h3>なぜアワヨトウは光ではなくトウモロコシ葉のかおりを「夜になった」という情報として使うのか</h3>
<p class="indent">一日24時間、その中での明暗の周期というのは、地球上で最も安定したサイクルです。この光の変化を多くの生物は利用して、昼行性だったり夜行性だったりします。アワヨトウはこのような安定なリズムを利用しないで、なぜトウモロコシ株のかおり変化を利用しているのでしょうか?　なにか光を利用するより有利な点があるのでしょうか？</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<img alt="shiojiri_photo2.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_photo2.jpg" width="150" height="279" />
	<p class="no-indent">
		写真2: カリヤコマユバチ(<i>Cotesia kariyai</i>)。上が成虫、下が繭。
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig5.pdf" target="_blank"><img alt="図5: 内部寄生蜂の生活史" src="http://column.odokon.org/archives/shiojiri_fig5thum.jpg" width="240" height="186" /></a>
	<p class="no-indent">
		図5: 内部寄生蜂の生活史<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">ここですこし夜行性の話から外れて、トウモロコシ葉のかおりの機能について考えてみます。アワヨトウ幼虫にはカリヤコマユバチ(以下カリヤと省略)という主要な天敵が存在します(写真2)。カリヤはアワヨトウ幼虫のみに寄生し、アワヨトウ2令から6令期までの幼虫ステージに40～80もの卵を幼虫体内に産みこみます。そして卵は幼虫の体内で孵化し、幼虫の体内を食べながら成長し、蛹になる前に脱出します。そのときに、寄生されていたアワヨトウ幼虫は死んでしまいます(寄生蜂の生活史:図5)。さてこの体長たった6～7mmのカリヤ、子供を残すためには寄主アワヨトウ幼虫をなんとかして発見しなければなりません。しかも難儀なことに、アワヨトウ幼虫は夜行性であり日中は株や地面に潜んでいるのですが、カリヤは昼行性です。どのようにしてアワヨトウの潜んでいそうな株を発見するのでしょうか?先に述べたようにアワヨトウは昼には葉の間や株元に潜んでいるので、視覚に頼るのは難しそうです。結論から述べるとカリヤの寄主発見には、アワヨトウの食草のかおりが大きな役割を果たしています。</p>
<p class="indent">まずカリヤは植物の緑のかおり(草をちぎったときの青臭いかおりです)に誘引されます。さらに健全株のかおりよりもアワヨトウの食害を受けた株のかおりに誘引されます。この二段階の誘引によって、カリヤは効率よくアワヨトウ食害株を発見すると考えられています。植物から出されるそのかおりは夜になると被害株でも著しく低下します。ここで興味深い仮説が浮かび上がります。</p>

<p class="indent">「このかおりであいつはやってくる。かくれなければ・・・」</p>

<p class="indent">つまり昼間カリヤを誘引するかおりがトウモロコシ株から出ている限り、アワヨトウは隠れており、夜になってそのかおりが出なくなったら現れ、植物を食べていると考えられます。これは今のところあくまで、何故かおりを日周行動の刺激にしているのかの仮説なので、実証試験が必要です。</p>

<h3>「面白い現象」の一般化から害虫管理へ</h3>
<p class="indent">先の仮説の検証もさることながら、このような現象がどの程度普遍的であるのかは興味あるところです。また、アワヨトウ幼虫がどのかおり成分を利用して隠れたり、隠れ場から出て植草を食べたりするのかについても興味深いところです。</p>
<p class="indent">このような研究は、現象の一般化あるいはパタン検出過程で、基礎生物学的に重要です。またこのような研究は同時に害虫管理技術開発にもダイレクトにつながると考えられます。たとえば、アワヨトウに隠れる行動を解発する成分を利用して、夜間の食害量を減少させることができるかもしれません(そのまま餓死してくれるともっと良いでしょう)。これは基礎的な研究への投げ返しにもなってきます。つまり、どの程度のこのかおりシグナルに依存しているのか。餓死するまでこのシグナルを尊重するのか、あるいはある一定の空腹レベルに達するとシグナルを無視するのか、などという点はアワヨトウと植物間の共進化の視点からも興味深いと思われます。逆に、夜のかおりを昼間に処理することで、アワヨトウを昼間に葉上に誘い出すこともできるかもしれません。それによって鳥の捕食圧やカリヤの寄生率が高まるかもしれません。また農薬にさらされる確率も上がるでしょう。もしうまくいけば、その結果はまた、夜行性であることの理由(夜行性であるコストとベネフィットを計るためのパラメータ)が解明され、基礎的に重要となってくるでしょう。このように基礎と応用の両側面から現象を捉え、相互依存しあいながら両研究が発展していくことが、実際に役に立つ、しかも興味深い研究になると思われます。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>ハダニが増えるとやって来る天敵ケシハネカクシ</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0214_174500.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.393</id>
   
   <published>2008-02-14T08:45:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:15:16Z</updated>
   
   <summary>ガーデニングや家庭菜園などを行っていると、赤や緑の小さなハダニが植物上にたくさん...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">ガーデニングや家庭菜園などを行っていると、赤や緑の小さなハダニが植物上にたくさん発生し、被害に悩まされることがあります。実は、ハダニは農家の方々も防除に苦労する農業害虫ですが、幸いにも、ケシハネカクシという天敵昆虫の働きによって被害が抑えられることがあります。</p>
<p class="indent">彼らはハダニがたくさん発生した作物上に突如あらわれ、短期間に大半のハダニを食い尽くし、その後どこかに飛び去ってしまいます。どこから来て、どこに行くのでしょう？また、ハダニの居場所がなぜ分かるのでしょう？</p>
<p class="indent">最近の研究成果を紹介し、これらの疑問について考えてみましょう。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>スマートなのに大食漢</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig1.php','popup','width=456,height=285,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig1-thumb.jpg" width="240" height="155" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: ナミハダニ(真ん中下は雌成虫、周囲に卵がある)による被害(白く抜けた部分)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">最初にハダニを簡単に紹介します。ハダニは、名前の通り、植物の葉などに集団で寄生するダニで、植物組織に含まれる栄養分などを吸収し生活しています。大変小さく(成虫でも約0.5mm)人目に付きにくい上に、増殖能力も高いので、農家の方々が気付かないうちに爆発的に増えることがあります。こうなると、作物は葉が落ちたり、枯れたりするなどの大きなダメージを受けます。農薬による防除も難しく、日本では、ナミハダニ(図1)やカンザワハダニなどが果樹や野菜、花卉などの重要害虫として知られています。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig2.php','popup','width=1385,height=976,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig2-thumb.jpg" width="240" height="171" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: お腹を反り上げながらハダニを探すケシハネカクシ成虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig3.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig3.php','popup','width=748,height=552,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig3-thumb.jpg" width="240" height="181" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: カンザワハダニ雌成虫をつかまえたケシハネカクシ幼虫(左上は食べられた後のハダニの残骸)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">次に、ケシハネカクシ(正式名はヒメハダニカブリケシハネカクシ)を紹介します。彼らは成虫でも約1ミリと大変小さいのですが、カブト虫やテントウ虫と同じ甲虫です。つぶらな瞳に流線型に近い体つき、お腹をときどき反り上げる仕草(図2)が特徴的です。雌成虫はスマートな容姿に似合わない大食漢で、ハダニの卵であれば1日に約100個、生存期間中に約7,500個も食べます。幼虫も大変な食欲の持ち主で、4～5日間の幼虫期間中に200～300匹のハダニを食べます(図3)。ハダニがたくさん発生した作物にケシハネカクシがよく見られるのは、彼らがたくさんの餌を必要とするからです。最初に成虫が作物上に飛来し、彼らとその子供(幼虫)が短期間に大半のハダニを食い尽くすことから、増えすぎたハダニをいっきに減らす「火消し役」として活躍していると考えられています。さらに彼らには、農薬を定期的に散布する作物上でも比較的よく見られるという特徴があります。例えば果樹園で農薬を定期的に散布すると、ハダニの天敵昆虫(ハダニアザミウマ、キアシクロヒメテントウムシなど)の多くはほとんど発生しなくなるのですが、ケシハネカクシの場合にはそうした傾向はあまり見られません。しかしながら、他の天敵昆虫よりもケシハネカクシの方が農薬に強い(詳しく言えば、色々な農薬が体にかかっても死なない)という報告はされておらず、どのような理由でそうなるかは分かっていません。</p>

<h3>どこからやって来る？</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig4.pdf" target="_blank"><img alt="図4: ナシ園と周辺環境の間のケシハネカクシの移動実態" src="http://column.odokon.org/archives/shimoda_fig4thum.jpg" width="240" height="114" /></a>
	<p class="no-indent">
		図4: ナシ園と周辺環境の間のケシハネカクシの移動実態<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ケシハネカクシは大変な大食漢なので、作物上で良く見られるのはハダニが多い時期に限られます。それ以外の時期はどこにいるのかという問題については、ナシ園とその周辺の環境を対象にした私たちの研究成果(図4)から推察できます。</p>
<p class="indent">ナシ園では、夏になるとナミハダニやカンザワハダニがよく発生します。これらのハダニが増えると、春には見られなかったケシハネカクシも突如あらわれます。私たちの研究の結果、ケシハネカクシがもともと生息する場所(ハダニが発生する雑草や防風樹など)がナシ園の周辺にあって、そこから飛び出した成虫の一部が餌を求めてナシ園に飛び込んでくる(図4の赤矢印の部分)ことが分かりました。さて、たくさんのケシハネカクシが飛来したナシ園では、夏の間にハダニの密度が急激に低下するので、彼らは新たな餌を求めて今度はナシ園の外へと移動を開始します(図4の青矢印の部分)。このような理由により、秋になるとケシハネカクシはナシ園からほとんどいなくなり、ハダニが発生する雑草や防風樹などに再びあらわれることが分かりました。ケシハネカクシは、時には違う種類のハダニや植物を利用しながらも、餌が豊富な場所を求めて移動することで、世代を繰り返しているものと考えられます。</p>

<h3>ハダニを見つける工夫</h3>
<p class="indent">ところで、1mmたらずの小さなケシハネカクシ成虫にとって、広い野外を飛びながら、さらに小さなハダニがいる植物を見つけ出すことは大変難しいように思えます。しかしながら、彼らには私たちの想像以上の能力があることが分かってきました。例えば、先ほど紹介した私たちの調査では、ナシ園と周辺の環境(ハダニが発生する雑草や防風樹など)とは50m以上も離れていましたが、彼らはこの状況をものともせず、新たな餌を求め両方の生息場所を行き来していました。また、私たちが行った別の行動調査により、ケシハネカクシ成虫は10m以上離れた場所からでも、ハダニが発生する植物へと正確に飛んで行くことが分かりました。これらの調査結果から言えることは、私たちでもなかなか分からないハダニの居場所を、彼らは離れた場所から発見できるということです。小さな虫に秘められた大いなる能力に驚かされるとともに、いったい何を頼りにすればこんな芸当ができるのか、大変気になるところです。</p>
<p class="indent">さて、この疑問については、ハダニの被害を受けた植物から出る独特な匂い(以下、匂い物質)が手がかりのひとつとして利用されていると考えられます。「むしコラ」読者の皆さんは既にご存じかと思いますが、イモムシに襲われたトウモロコシが匂い物質を出して、害虫の天敵である寄生蜂を呼び寄せるという話があります(詳しくは「<a href="http://column.odokon.org/archives/2007/0327_152347.php">イモムシの唾液？</a>(2007年3月27日掲載)」を見てください)。これと同じように、ナシやマメなどの植物はナミハダニやカンザワハダニなどに寄生された時に匂い物質を出し、これにケシハネカクシが誘引されることが私たちの研究で明らかになってきました。ここで紹介した寄生蜂の話については、匂い物質生産のメカニズムや天敵誘引成分などが精力的に研究されていますが、ケシハネカクシについてはこうした研究はほとんど行われておらず、今後の研究の進展が期待されるところです。</p>

<h3>おわりに</h3>
<p class="indent">ケシハネカクシは大変小さく、人目に付かない昆虫ですが、農業害虫であるナミハダニやカンザワハダニなどの天敵として重要な存在です。読者の皆さんも、運が良ければ(?)、ガーデニングや家庭菜園などでたくさんのハダニが発生したときに見ることができます。おそらく彼らは、庭や畑、果樹園などの近くにひっそりと住んでいて、ハダニがたくさん発生した植物から放出される匂い物質にひかれて、これらの生息場所から飛んで来ると思われます。もしかすると、庭や畑などでフワフワ飛んでいる「小さな虫たち」のなかにはケシハネカクシが含まれているかもしれません。また、今回は残念ながら紹介できませんでしたが、実はケシハネカクシ以外にも重要な天敵(ミヤコカブリダニやケナガカブリダニなど)がいて、ハダニが増えすぎないよう働いていると考えられています。今回のコラムがきっかけとなって、葉っぱという小さな世界の中で繰り広げられるハダニと天敵たちの闘いに興味を抱いて頂ければ幸いです。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>兵隊アブラムシの攻撃毒プロテアーゼ</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/1221_235800.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.392</id>
   
   <published>2007-12-21T14:58:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:15:23Z</updated>
   
   <summary>「社会性昆虫」というとすぐにアリやハチが思い浮かびますが、植物の害虫として悪名高...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">「社会性昆虫」というとすぐにアリやハチが思い浮かびますが、植物の害虫として悪名高いアブラムシ(アリマキ)に社会性の種類がいることは、あまり知られていないのではないでしょうか。アブラムシの社会には、子を産むことができる普通の虫と、子を産むことなく自分の仲間を守るために外敵と戦う兵隊幼虫という2種類の階級がコロニー内に存在します。このコラムでは、ハクウンボクハナフシアブラムシの兵隊幼虫から見つかった攻撃毒プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)について紹介します。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>毒をもつアブラムシ</h3>
<p class="indent">おとなしそうに見えるアブラムシに兵隊がいて、しかも毒を持っているなんて意外に思われる方もいるかもしれません。それもそのはずです。アブラムシは世界中に約4,400の記載種がいますが、その中で兵隊をもつのは、現在知られているだけでわずか50種程度です。兵隊は種によって異なる武器を持っており、口針(植物の汁を吸うためのストロー)を使って毒を注入するタイプもいれば、肥大した脚で組み付きツノで突き刺すタイプもいます。ですから、毒をもつアブラムシといっても、ごく一部の種の兵隊だけが持っているのであり、その辺りの植物に群がっているアブラムシが持っているわけではありません。</p>
<p class="indent">しかしながら、この兵隊毒の威力はなかなか強烈です。兵隊よりずっと大きい敵でさえも、毒を注入されると激しくのたうちまわり、しばらくすると麻痺して死んでしまいます。兵隊を試しに人の手に乗せてみると、彼女らは(実は兵隊を含めてほとんどのアブラムシはメスです)やはりチクチクと刺します。刺されると痛かゆい感じがして皮膚が赤くなってしまうので、兵隊が何らかの毒物質を注入していることがわかります。台湾に生息するウラジロエゴノキアブラムシの兵隊毒などは強烈で、リスなどの小型動物も追い払ってしまうほどです。私も刺されたことがありますが、かなり痛いのに加え、蚊に刺されたような腫れが一週間ほどひきませんでした。このような兵隊の攻撃毒ですが、これまで研究の対象になったことはなく、構成成分などはまったくわかっていませんでした。</p>

<h3>兵隊特異的に発現するプロテアーゼ</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo1.php','popup','width=817,height=540,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo1-thumb.jpg" width="240" height="162" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: ハクウンボクハナフシアブラムシのゴール<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">私たちはハクウンボクハナフシアブラムシという社会性アブラムシから、兵隊攻撃毒の主要な成分として、ある種のプロテアーゼを発見することに成功しました(Kutsukake et al. 2004)。が、実を言うと、始めから兵隊の毒について調べようと思ったわけではなく、たまたま見つかったと言ったほうが正確かもしれません。当初私たちは、兵隊アブラムシにおける階級分化機構や社会行動に興味を持っていて、生態から生理、分子にいたる様々なアプローチから研究を進めていました。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo2.php','popup','width=817,height=528,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo2-thumb.jpg" width="240" height="158" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: ハクウンボクハナフシアブラムシの兵隊(左)、2齢の普通幼虫(右)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo3.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo3.php','popup','width=817,height=592,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_photo3-thumb.jpg" width="240" height="177" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真3: チャバネヒメカゲロウ幼虫を攻撃するハクウンボクハナフシアブラムシ兵隊<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">詳しい話に入る前に、研究材料であるハクウンボクハナフシアブラムシについて簡単にご紹介しましょう。このアブラムシはハクウンボクという木に珊瑚のような形をしたゴール(虫こぶとも言う, 写真1)をつくり、その中で数千匹、時には数万匹が一緒に生活しています。兵隊は2齢幼虫で出現しますが、すべてが兵隊になるわけではなく、普通の2齢幼虫もいます(図1)。兵隊と普通幼虫は様々な点で違いがあります。</p>
<ul>
	<li>子を産む能力(妊性): 兵隊は2齢幼虫のまま成長せず不妊なのに対し、普通幼虫は成長し、子を産む</li>
	<li>形態: 兵隊は強くキチン化した体と、頭部に太い剛毛をもつ(写真2)</li>
	<li>行動: 兵隊は外敵に対して攻撃する(写真3)、巣の清掃を行う</li>
</ul>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_fig11.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/kutsukake_fig11.php','popup','width=329,height=264,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_fig1-thumb.jpg" width="240" height="203" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: 社会性アブラムシの階級分化<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">このように、両者はずいぶん異なっているのですが、非常に面白いことに、兵隊も普通個体も一匹の幹母が単為生殖(オスとの交配なしに子を産む無性生殖)により産んだ子孫たちなので、まったく同一のゲノムを持つクローンなのです。つまり、どちらも同じ遺伝子セットをもっているのですが、遺伝子発現パターン(遺伝子の使い方)が異なるために、ある個体は兵隊に、別の個体は普通幼虫に分化するのです。では、どのような遺伝子が兵隊だけで発現しているのでしょうか? このような遺伝子を調べることにより、兵隊の階級分化や生物機能を分子レベルで説明することが可能になります。</p>
<p class="indent">そこで私たちは、cDNAサブトラクションという手法により、兵隊特異的に発現している遺伝子群を探索することにしました。その結果、カテプシンBというどの動物でも持っているプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の遺伝子が得られました。この遺伝子の発現量を詳しく調べてみると、兵隊での発現量は普通個体の約2,000倍も高いことがわかりました。このように兵隊特異的かつ大量に発現していることから、このプロテアーゼは兵隊にとって重要な役割をしているであろうことが想定されました。</p>

<h3>攻撃毒という機能</h3>
<p class="indent">では、いったいこのカテプシンBは兵隊においてどのような機能を担っているのでしょうか? どこの組織で発現しているかということは重要な手がかりになりますので、さっそく調べてみたところ、消化管(腸)で発現していることがわかりました。普通、消化管に存在するプロテアーゼといえば、食べものを消化する酵素と考えられますが、この場合は兵隊以外の個体でほとんど発現していないのですから、どうも違いそうです。それならば・・・吐き出しているのではないか? 実は、この妙案が攻撃毒への発見へとつながっていきます。私たちにはこの妙案を簡単に調べる良い方法がありました。私たちのグループでは、社会性アブラムシで初めて、ハクウンボクハナフシアブラムシを人工飼料上で累代飼育することに成功していました(Shibao et al. 2002)。この人工飼料は、シャーレ上に張られた薄い2枚のパラフィルム膜の間に、液体の餌をサンドイッチのように挟んだもので、アブラムシは膜に口針を刺して中の餌を吸うことができるしくみになっています。そこで、この人工飼料飼育系を利用して、兵隊を飼育した後の人工飼料を回収して調べてみたところ、カテプシンBが餌の摂取時にわずかに吐き出されていることがわかったのです。これは少し予想外の、しかしとても興味深い結果でした。そうなると、敵を攻撃している時はもっと大量に敵の体内に注入している可能性があります。なぜなら、兵隊は敵の体に口針を刺している時、体を低く構え、力みながら何かを一生懸命吐き出しているようにも見えるからです。その予想通り、兵隊に攻撃された後のガ幼虫の体内を調べてみると、かなりの量の兵隊のカテプシンBが検出されたのです。このことは、兵隊が攻撃時に、口針を通じて敵体内にカテプシンBを注入していることを意味していました。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/kutsukake_fig2.php','popup','width=768,height=503,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/kutsukake_fig2-thumb.jpg" width="240" height="160" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 本研究のまとめ。カテプシンBは兵隊の攻撃毒であった<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">カテプシンBが毒として働いている可能性が出てきたわけですが、まだ本当にそうなのかはわかりません。実際に敵を殺す能力を持っているかどうか? これが重要な点でした。そこで、カテプシンBを人工的に合成し、これを先の細いガラスキャピラリーを用いて他の昆虫(ガ幼虫)の体内に注入するという実験を行いました。これでガ幼虫が死ねば、カテプシンBが殺虫能力を持っていることになります。実験の結果、テストした約7割のガ幼虫が死んだのに対し、カテプシンBを熱失活させた溶液では、ガ幼虫は一匹も死にませんでした。すなわち、カテプシンBには確かに敵を殺す活性があるという結果が得られました。これらの実験結果から、カテプシンBプロテアーゼが兵隊の攻撃毒の主要成分の一つであるということが証明されたのです(図2)。</p>

<h3>おわりに</h3>
<p class="indent">ここでご紹介した兵隊アブラムシのカテプシンBプロテアーゼは、兵隊の主要な仕事であるコロニー防衛において、敵を殺す実行部隊(＝毒物質)として働く重要な分子であり、兵隊の生物学的機能に直接関係している分子であるといえます。カテプシンBはこれまで様々な生物で研究されていますが、毒として働くという知見は、この研究がはじめてです。このような毒カテプシンB遺伝子がどのように進化してきたのか、という興味深い疑問についても、私たちの最近の研究で次第に明らかになりつつあります。とはいえ、まだまだ未知な部分が多いこの毒プロテアーゼについては、今後、毒の作用メカニズムなどについても解明していく必要があるでしょう。</p>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Kutsukake, M., Shibao, H., Nikoh, N., Morioka, M., T. Tamura., T. Hoshino., S. Ohgiya. and T. Fukatsu. (2004) Venomous protease of aphid soldier for colony defense. <i>Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.</i> 101: 11338-11343.</li>
	<li>Shibao, H., Kutsukake, M., Lee, J-M. and Fukatsu, T. (2002) Maintenance of soldier-producing aphids on an artificial diet. <i>J. Insect Physiol.</i> 48: 495-505.</li>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>ホソヘリカメムシのプロバイオティクス</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/1102_213000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.391</id>
   
   <published>2007-11-02T12:30:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:15:31Z</updated>
   
   <summary>ヨーグルトを食べて生きたビフィズス菌を体内に取り込むと、体内環境が改善されて免疫...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">ヨーグルトを食べて生きたビフィズス菌を体内に取り込むと、体内環境が改善されて免疫力がアップ、花粉症やメタボリック症候群の予防にもなります----こんな話を最近よく耳にしませんか？人がヨーグルトを食べてビフィズス菌を取り込むように虫も有用な細菌を外から体内に取り入れて、これらを巧みに利用していることが最近の研究から分かってきました。ここでは、ホソヘリカメムシの腸内共生細菌について少しお話ししたいと思います。</p>]]>
      <![CDATA[<h3>私達にも身近な「共生細菌」</h3>
<p class="indent">「共生細菌」といっても、昆虫のように目には見えないため少し遠い存在に感じられるかもしれません。しかし、実は私達のずっと身近に彼らはいます。それがいわゆる「腸内細菌」です。</p>
<p class="indent">私達の腸内には数百種類、総重量にして1kg程にもなる細菌群が棲んでいます。これらはその雑多さゆえに研究が難しく、また個人によって細菌の種組成が異なるなどの理由から、それほど重要なものではないと長らく考えられてきました。しかし、無菌マウスなどを用いた近年の研究から、これらのいくつかは私達の食物分解・吸収、免疫系の正常な発達などにとても重要な役割を果たしていることが明らかになってきたのです。最近ではプロバイオティクス(宿主[ヒト]に良い影響を与える腸内細菌。またこれら善玉菌を、例えばヨーグルトのような形で生きたまま摂取すること。善玉菌を増やすことで腸内環境・体調の改善を目的とする)という言葉も盛んに使われるようになり、腸内細菌ががぜん注目を集めるようになっています。</p>

<h3>昆虫の共生細菌</h3>
<p class="indent">広く生物界を見渡してみると、私達よりも遥か以前に細菌の有用性に気付き、これらを体内に取り込み巧みに利用してきた生き物達が数多く存在します。その代表格はなんと言っても昆虫です。昆虫は陸上で最も多様化した生物群と言え、その食性も様々です。そして、中には栄養学的に見て非常に偏った食事をとっている昆虫も少なくありません。例えば植物の師管液しか食べないアブラムシ。植物の師管液はショ糖(炭素分)が豊富な反面、アミノ酸等の窒素分はほとんど含まれていません。それから血液食のシラミなども栄養バランスが偏ります。動物の血液には、昆虫の成長に必須なビタミンB類がほとんど含まれていないためです。これらの昆虫達は、その偏った食事ゆえの慢性的栄養不足を共生細菌により解決しています。つまり、体内に住まわせた共生細菌が不足栄養素をサプリメントしてくれるのです。</p>
<p class="indent">一般的に、これら昆虫の細菌共生系は高度に発達しています。その特徴を列挙すれば...</p>
<ul>
	<li>1. 宿主昆虫は共生細菌を保持するための特殊な器官(消化管に発達した袋状組織など)、時には特殊な細胞を発達させ、その内部に共生細菌を局在させている</li>
	<li>2. 共生細菌は1種ないし2種など、少数精鋭である</li>
	<li>3. 卵への共生細菌の感染(卵感染)などの方法で、母虫から子虫へ共生細菌が直接受け渡される</li>
	<li>4. 宿主昆虫と共生細菌は絶対的な相互依存関係にあり、宿主は共生細菌無しでは成長・生存できず、共生細菌は宿主体外で培養できない</li>
	<li>5. ゆえに彼らは運命共同体であり、宿主昆虫と共生細菌の系統分岐パターンは完全に一致することから、これまで共進化・共種分化してきたことが伺える</li>
</ul>
<p class="no-indent">などがあげられます。私達の腸内細菌のように、今日と昨日で種組成が変わってしまうようなものとは大違いです。</p>
<p class="indent">多くが吸汁性として知られる陸生カメムシもよく発達した細菌共生系を持つ昆虫グループの一つであり、中腸後部に袋状組織(これを"盲嚢"と呼びます)を発達させ、その内腔中に共生細菌をぎっしりと詰め込んでいます(マルカメムシのコラムも参照)。サシガメのような捕食性種には共生細菌が見られない一方、植食性カメムシのほとんどがこれを持つことから、共生細菌はこれらの食事で不足するアミノ酸等窒素分やビタミン類を宿主カメムシに供給していると考えられています。</p>

<h3>ホソヘリカメムシ類の共生バークホルデリア</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig1.php','popup','width=661,height=479,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig1-thumb.jpg" width="240" height="173" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: (A) ホソヘリカメムシ、(B) ホソヘリカメムシの中腸、(C) 盲嚢器官の拡大図、(D) 共生バークホルデリアの透過電子顕微鏡像<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ここで、話題の中心となるホソヘリカメムシ、またその近縁種であるクモヘリカメムシについて少し紹介しておきましょう。これらカメムシはクモヘリカメムシ科に属し、それぞれダイズと稲の重要害虫として広く知られています。ホソヘリカメムシは茶褐色の細長いカメムシで(図1A)、飛翔時は腹部背面のオレンジ色が現れハチに見紛うばかりです。クモヘリカメムシは頭・胸部が鮮やかな緑色で茶色い翅をもち、やはり細長い形態をしています。</p>
<p class="indent">これらホソヘリカメムシ類は、多くのカメムシと同じように中腸に多数の盲嚢を発達させ(図1B,C)、その内部に共生細菌を持っています(図1D)。これら共生細菌を電子顕微鏡観察および分子系統学的手法で同定したところ、ベータプロテオバクテリア亜綱の土壌細菌であるバークホルデリア(<i>Burkholderia</i>)属に含まれることが明らかになりました。</p>

<h3>共進化していない!?</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig2.pdf" target="_blank"><img alt="kikuchi_fig2thum.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig2thum.jpg" width="240" height="317" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 共生バークホルデリア(青: ホソヘリカメムシ由来、緑: クモヘリカメムシ由来)の系統解析結果<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ホソヘリカメムシ、クモヘリカメムシを日本各地11地点から採集し、それぞれ地域個体について共生細菌(共生バークホルデリア)の16S rRNA遺伝子配列を決定し分子系統解析を行ってみました。すると、これら地域個体由来の共生細菌はバークホルデリア属内で大きくひとまとまりになる一方、その中でホソヘリカメムシとクモヘリカメムシそれぞれの宿主種に対応してまとまることはなく、その系統関係はまったくばらばらになっていました(図2)。これは一般的な昆虫−細菌間共生系に見られる共進化・共種分化のパターンとは大きく異なっています。つまり、これらカメムシにおいては、種間で高頻度に共生バークホルデリアの入れ替え(水平伝播)が起きているのではないかと推察されます。これらのカメムシではいったい何が起きているのでしょう？</p>

<h3>共生細菌を環境中から獲得!?</h3>
<p class="indent">この謎を解明するには、ホソヘリカメムシ類における共生細菌の伝達方法の解明が必須です。昆虫における子供への共生細菌の伝達方法には、卵に直接共生細菌を受け渡す「卵感染」と、孵化してから親の糞を食べることで共生細菌を獲得する「糞食」と呼ばれる方法などが知られています(特殊な例として、マルカメムシのようなカプセル伝達もあります)。ホソヘリカメムシについて、電子顕微鏡等による卵表面・卵内観察、および孵化若虫の親との飼育・観察を行ったところ、このカメムシはそれまで昆虫で報告されていたいずれの方法でも共生細菌を伝達していないことが示されました。さらに観察を続けたところ、どうやらホソヘリカメムシは共生細菌の母子間伝達自体を全く行っていないことが明らかになってきました。</p>
<p class="indent">一方で、ホソヘリカメムシの寄主であるダイズの根圏土壌を調査したところ、この共生バークホルデリアが高頻度で検出されました。さらに驚くべきことに、ダイズ苗上で孵化若虫のみで飼育をしたところ、ほぼ全ての個体が共生バークホルデリアを獲得したのです。これらの結果を総合すると、ホソヘリカメムシは共生細菌を垂直伝播させることなく、世代ごとに環境中から獲得していると結論できます。ホソヘリカメムシ、クモヘリカメムシ地域個体にみられた共生細菌の複雑な系統パターンは、これらの種が外部環境中から共生バークホルデリア株をランダムに獲得していると考えれば説明がつくわけです。</p>

<h3>共生細菌がいると体が大きくなる</h3>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig3.pdf" target="_blank"><img alt="kikuchi_fig2thum.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/kikuchi_fig3thum.jpg" width="240" height="282" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: 共生細菌感染・非感染個体の乾燥重量比較(Bu-: 共生バークホルデリアなし、Bu+: 共生バークホルデリアあり)<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div><p class="indent">環境中にも生息している、ということからも想像できるように共生バークホルデリアは単離培養することが可能です。ホソヘリカメムシの盲嚢組織を取り出し、内容物を寒天培地に塗布することで、容易に単離培養共生バークホルデリアを得ることができます。これを用いて共生細菌を"与える"・"与えない"という処理を施したホソヘリカメムシ若虫を飼育し、生存率や羽化成虫の体サイズ・乾燥重量を比較しました。その結果、2処理間で生存率に違いはみられなかったものの、体サイズは共生バークホルデリアを与えた(共生細菌あり)処理区個体の方が与えなかった(共生細菌なし)処理区個体に比べ有意に大きく、さらに乾燥重量では2倍近く大きくなることが明らかとなりました。共生バークホルデリアの具体的な機能はまだ分かっていませんが、これらの結果は共生細菌がホソヘリカメムシの成長に有益であることを示しています。</p>

<h3>おわりに</h3>
<p class="indent">このように、ホソヘリカメムシに見られる細菌共生系は「有用細菌を毎世代環境中から獲得する」というもので、「母子間伝達し、共進化」というそれまで昆虫で報告されてきた共生細菌像とはだいぶ異なっていることが明らかになりました。ホソヘリカメムシは、共生バークホルデリアがいなくても矮小ながら成虫になることができ、子供も残すことができます。このことからも、彼らの"ゆるい"関係が伺い知れ、この点で私達ヒトの腸内細菌共生系と比較的近い共生系である印象を受けます。一方で、環境中から取り込むにもかかわらず他の細菌は全く盲嚢に定着しないことから、ホソヘリカメムシ−共生細菌間で高度な特異性が発達していることは間違いありません。この共生バークホルデリアの特異性を裏打ちしているメカニズムはなんなのか？今後面白いトピックの一つだと考えています。</p>
<p class="indent">ホソヘリカメムシは健康志向(？) −かどうかは本人達に聞いてみないと分かりませんが、より健康に成長するために彼らもプロバイオティクスをしているらしい、そんなお話でした。</p>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Kikuchi Y., Hosokawa T. and Fukatsu T. (2007) Insect-microbe mutualism without vertical transmission: a stinkbug acquires beneficial gut symbiont from environment every generation. <i>Applied and Environmental Microbiology</i> 73, 4035-4043.</li>
	<li>Kikuchi, Y., Meng X. Y. and Fukatsu, T. (2005) Gut symbiotic bacteria of the genus <i>Burkholderia</i> in the broad-headed bugs, <i>Riptortus clavatus</i> and <i>Leptocorisa chinensis</i> (Heteroptera: Alydidae). <i>Applied and Environmental Microbiology</i> 71, 4308-4316.</li>
	<li>菊池義智 (2005) カメムシ類に見られる多様な細菌共生系. 昆虫と自然 40, 7-10.</li>
	<li>菊池義智 (2004)カメムシ類における共生細菌の多様性. 植物防疫 58, 424-428.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>蛾の「雄らしさ」を作るZ染色体</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/1101_140000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.389</id>
   
   <published>2007-11-01T05:00:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:29:15Z</updated>
   
   <summary>カイコをはじめとする蛾や蝶の類は、n=30種類ほどの染色体を持っており、そのうち...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="column" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">カイコをはじめとする蛾や蝶の類は、n=30種類ほどの染色体を持っており、そのうち1つがZ染色体です。Z染色体は、雄では細胞あたり2本、雌では1本存在します。このZ染色体の上に存在する遺伝子は、他の染色体(常染色体)とは異なり、神経や筋肉で働く遺伝子が多いことが分かっています。蛾類の行動は雌雄で大きく異なっていますが、その性差にはZ染色体の機能が関与している可能性があります。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">昆虫は、私たちヒトと同じように雌雄異体であり、雌と雄が別々の個体として分化しています。昆虫の雌雄は、遺伝子のみで決定されます。多くの昆虫は、性染色体を持っており、そこに性決定で重要な役割を果たす遺伝子が存在しています。昆虫の性染色体は、雌XX-雄XY、雌XX-雄XO、雌ZW-雄ZZ、雌ZO-雄ZZの4通りの型があります。</p>

<p class="indent">多くの蛾類がそうであるように、カイコの性染色体構成は、雌ZW-雄ZZです。雌のカイコのみが有するW染色体上には、雌を決定する重要な遺伝子<i>Fem</i>が存在します。しかし、W染色体には、<i>Fem</i>以外の機能遺伝子はまだ一つも知られていません。一方、Z染色体は細胞当たり雌で1本、雄では2本存在します。カイコのゲノム(染色体数n=28)には約20,000個のタンパク質コード遺伝子が存在していると言われていますが、そのうちZ染色体には約700個の遺伝子が座乗しています。</p>

<p class="indent">雌XX-雄XY型および雌XX-雄XO型の性染色体をもつ動物では、X染色体において「遺伝子量補正」という現象が起きることが知られています。たとえば、キイロショウジョウバエでは雌の細胞にはX染色体が2本ありますが、雄には1本しかありません。そのX染色体には2450個の遺伝子がありますが、個々の遺伝子がそのまま機能を発現すると、どの遺伝子でも雌のほうが2倍の量の働きが現れることになります。しかし、実際には雄のX染色体上にはMSL複合体と呼ばれる雄特異的な装置が出現し、その結果X染色体の立体構造が変化して遺伝子1個あたりの働きが倍増し、結果的に細胞当たり雌と同等の遺伝子産物が生じます。これは遺伝子量補正の典型的な例です。</p>

<p class="indent">カイコに遺伝子量補正が存在するか否か、古くから議論になってきました。私たちの研究室は、Z染色体上の多数の遺伝子に由来するメッセンジャーRNA(mRNA)を正確に定量することにより、遺伝子量補正が行われていないことを示しました。Z染色体上の約700個の遺伝子のうち、一部の遺伝子では細胞当たりの雌雄の働きがほぼ等しくなっていますが、多くの遺伝子では雄のもつ2個の遺伝子がそのまま発現し、2倍のmRNA量を生じています。なぜ、カイコには遺伝子量補正が無いのでしょうか。</p>

<p class="indent">ショウジョウバエの遺伝子量補正には、5種類のタンパク質と2種類の非コードRNAが構成する複合体が必要です。しかし、それらをコードする7個の遺伝子のうち、カイコに対応する遺伝子があるのは3個だけです。これではショウジョウバエと同じような機構でZ染色体の量補正を実行することは困難でしょう。</p>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shimada-t_fig1k.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shimada-t_fig1k.php','popup','width=458,height=458,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shimada-t_fig1k-thumb.jpg" width="240" height="249" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: Z染色体38.7に座位する<i>Vg</i>遺伝子のヘテロ接合の雄成虫(左と下)。正常(右上)に比べて翅の形成が顕著に阻害されている。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div><p class="indent">一般的に、遺伝子は各染色体に偏りなく分布しています。カイコでも性染色体以外の染色体(常染色体)を相互に比較しても、遺伝子の機能に関わる特徴はほとんどありません。しかし、Z染色体だけに関しては、明らかに特別な機能をもつ遺伝子が多く存在しています。特に神経や筋肉の機能に関わる遺伝子が多く存在します。</p>

<p class="indent">たとえば成虫の翅を動かす筋肉である間接飛翔筋の構成成分です。ショウジョウバエでは、24種類のタンパク質が間接飛翔筋の筋繊維を構成していますが、それらに相当するカイコのタンパク質のうち1/3に相当する8個はZ染色体の遺伝子にコードされています。また、概日時計の構成要素の遺伝子も同様です。昆虫の概日時計は主として4個の遺伝子がフィードバックループを構成して24時間の生体リズムを作り出しています。その4個の遺伝子のうち、3個がカイコではZ染色体に座乗しています。カイコをはじめとする蛾類では、通常、雄成虫の行動が雌よりも活発です。雌はフェロモンを使って雄をおびき寄せることによって、無駄に行動してエネルギーを消耗することなく生殖に成功します。雄は必死に雌を探索して飛び回るため、飛翔などの行動に関する能力が優れています。また、雄は雌よりも早い時刻に羽化する場合が多いのですが、このような概日リズムのズレは、羽化当日から交尾能力を持つ蛾類にとっては、雄が雌を獲得するために有利に働くと考えられます。また、カイコの雌性フェロモンであるボンビコールの受容体は、雄の触角でのみ発現しますが、これをコードする遺伝子はZ染色体に乗っていることが知られています。これら成虫の行動に関わる遺伝子がZ染色体上に存在することは、それら遺伝子が雌よりも雄で多く発現している理由のひとつだと思われます。</p>

<p class="indent">蛾類は、飛翔に関わる遺伝子や時計を支配する遺伝子など、雄で多く発現することが望ましい遺伝子をZ染色体に集め、かつ遺伝子量補正を放棄することによって、Z染色体は雄の機能を支える染色体としての役割を果たすように進化してきたのではないか、と私たちは考えています。太古の昔、Z染色体の祖先の染色体には、常染色体と同じような遺伝子が乗っていたでしょう。ひとたびZ染色体が性染色体へ分化しはじめると、多くの遺伝子が雌雄の量的差異を嫌って常染色体へ転座してゆき、同時に、雄で多く発現することが望ましい遺伝子が、常染色体から少しずつZ染色体へ移ってきた。私たちは今その進化の結果をカイコのZ染色体に見ているのではないかと思っています。</p>


<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/shimada-t_fig2k.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/shimada-t_fig2k.php','popup','width=458,height=203,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/shimada-t_fig2k-thumb.jpg" width="240" height="110" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: Z染色体49.6に座位する<i>od</i>遺伝子のホモ接合の幼虫(上)。皮膚に尿酸が蓄積できないため透明に見える。私たちはすでに原因遺伝子の候補を発見した。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">カイコには100年を超える遺伝学の歴史があり、多くの突然変異が発見されています。Z染色体には、行動や翅形成に関わる突然変異形質がいくつかマッピングされています。たとえば、幼虫の筋力が低下しかつ成虫のフェロモン応答が弱くなる<i>spli</i>という変異があります。最近、私たちは変異体を利用して<i>spli</i>の候補遺伝子をクローニングしました。また、翅の形成が不完全になる痕跡翅(Vg)の原因が、Z染色体の部分欠損であることを明らかにしました。Z染色体には、他にも休眠性を支配する<i>Lm</i>や食性の変異の原因になる<i>Bt</i>など、昆虫の高次機能に関わる興味深い形質遺伝子が多く座乗しています。これらの遺伝子をクローニングし、その分子機能を明らかにすることができれば、雄と雌におけるZ染色体の役割がさらに明確になると考えています。</p>]]>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>放射能と虫</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2011/0803_084512.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2011://3.646</id>
   
   <published>2011-08-02T23:45:12Z</published>
   <updated>2011-08-02T23:36:46Z</updated>
   
   <summary>公園を散歩していて、やけに静かだと感じました。セミも鳴いていませんし、蚊もよって...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">公園を散歩していて、やけに静かだと感じました。セミも鳴いていませんし、蚊もよってこない。セットの中を歩いているかのような感覚になりました。全体的に生命の感じが薄いというか・・むっとするような、土の香り虫たちが・・見当たらない感じです。</p>
<p class="no-indent">人体にただちに影響はないといわれる放射性物質ですが微生物や細菌が土壌で死滅しているということは考えられますか？また、土壌中の細菌や微生物の死滅により、それを食料にしている虫たちが激減しているということはありますか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">回答者が北海道を転々としていて、返事が遅れました。申し訳ありません。北海道ではエゾゼミが元気に鳴いていました。質問された方のあたりでも、いまはセミしぐれのまっ最中という気もしますが、どうやら長期戦になりそうな放射線漏れに関する話題ですので、遅ればせながら回答します。</p>
<p class="indent">もちろん、すべての昆虫種について放射線量が生存率に及ぼす影響を調べられているわけではないので、これはあくまで一般論ですが、ヒトに比べて昆虫は放射線にむちゃくちゃ強いです。沖縄県で不妊虫放飼が実施されているイモゾウムシの場合、体細胞の分裂が盛んなサナギの時期に80グレイのガンマ線を照射してようやく「不妊」になる程度です。これは人間なら即死線量です。
グレイ(Gy=J/kg)はSI単位系で、物質が受ける放射線の吸収量を示します。ただ、被爆など、生体がうける放射線の影響は放射線の種類によって異なるため、これに加重計数をかけたものがシーベルト(Sv)という、最近なじみになってきた単位です。X線やガンマ線、ベータ線は加重計数が1ですから、1グレイ=1シーベルトということになります。「ミリ」は千分の1、「マイクロ」は100万分の1を示す接頭語ですから、80グレイ=8万ミリシーベルトです。ちなみに、ヒトは2,000ミリシーベルトで5%が、4,000ミリシーベルトで50%が、7,000ミリシーベルトで99%が死亡するとされています。</p>
<p class="indent">南西諸島で根絶されたウリミバエも、羽化2日前の蛹に70グレイを照射することで、成虫の羽化率や寿命、性的競争力、飛翔能力にはほとんど影響なく、不妊化できます。</p>
<p class="indent">「不妊虫放飼法」とは、見かけは元気だけど実際には不妊の雄成虫を大量増殖して、どんどん放飼すると、野外の雌成虫が正常な雄と交尾して正常な精子をもらうことより、不妊雄の精子をもらうことが多くなって、産卵しても卵がだんだんふ化しなくなります。不妊虫をくり返し放飼していけば野外の健全な個体数がどんどん減って、たまに正常な雌が生まれてもまわりは不妊の雄だらけ、健全卵を産めず、絶滅していく・・・という防除法です。</p>
<p class="indent">不妊虫放飼法にはいくつかの制約があり、たとえば大金をかけ、地域のコンセンサスを得てまでも根絶しなければならないほどの大害虫なのか、ということもその一つですが、正常に野外雌と交尾できるけれども(野外の雄とくらべて負けないほどの交尾能力はあるけれども)、精子は不妊になるという害虫側の条件も必要になります。ウリミバエの場合、成虫の半分が死ぬ照射線量は700グレイ(70万ミリシーベルト)です。99%が死ぬ線量はさらにこの数～数十倍になります。この不妊化線量と致死線量の幅が広いと「元気な不妊雄」がつくりやすく、根絶が容易になります。イモゾウムシの場合は、この幅がやや狭く、すこし面倒なのです。</p>
<p class="indent">さて、セミ類に対する放射線の影響について調べてみましたが、見つかりませんでした。ただ、セミに比較的近縁なトビイロウンカについては、当学会の欧文誌に持田作(1973)氏の報告があります(<i>Appl. Entomol. Zool.</i> 8(2): 113-127)。これによると5齢幼虫に150～200グレイのガンマ線を照射すると羽化した雌の卵形成が阻害されるようです。この値や、カイガラムシに関する外国文献を見るかぎり(ナシマルカイガラムシに対する不妊虫放飼が研究されています)、ウンカやセミといったカメムシ目同翅類の昆虫たちも放射線には強いようです。</p>
<p class="indent">なぜセミ類に対する放射線の影響を調べた研究がないかといえば、基礎研究はさておき、害虫管理としての不妊虫放飼がほぼ不可能だからです。セミは樹木の害虫ですが、大量枯死させるほどではありません。分布域も広く、不妊虫を放飼しようとしたら莫大な数を増殖しなければなりません。もし、放飼できたとしても不妊雄の鳴き声のうるささたるや、想像を絶するものになるでしょう(放飼個体が悪さをしない、ということも不妊虫放飼法の制約条件の一つです)。</p>
<p class="indent">また、基礎研究として放射線の影響を調べるにしても、そうした調査をするには発育段階のそろった幼虫をある程度集めなければなりません。地中にいるセミの幼虫を100頭単位で集めるのはなかなか難しく、研究上の費用対効果はかなり悪いと思われます(ひょっとしたら、周期的に大発生する合衆国の13年ゼミや17年ゼミならある程度簡単に調べられるのかもしれませんが)。</p>
<p class="indent">結局、推論しかできないわけですが、東京電力福島第一原発の敷地内でも(報道どおりに核種の放出がかなり抑えられたのだとすれば)多くの虫たちはこれまでと変わらず、元気に生活できているのではないでしょうか。ごくごく小さな生物で、生存上大事な器官に放射線がまとまって直撃した場合はこのかぎりではないでしょうが、そういう確率は大型生物のヒトにくらべるとはるかに低いですし、微小生物は個体数も多いことがほとんどで、全体から見ると「ヒトより影響がずっと小さい」ことと思います。</p>
<p class="indent">じつは回答者が懸念しているのは、放射線が昆虫類に及ぼす影響より、むしろ被災地域の人間活動の変化にともなう昆虫類の発生動向の変化です。住民が避難している地域では当然、害虫防除など行われていませんし、津波の被災地域では汚泥と混じった瓦礫の山でハエ類が多発しています。一部報道では体長2センチのハエが大量発生とありましたが、そんなに大きなハエがいるのなら(ウシアブならそのくらいの大きさがありますが)、ゴジラやラドンが出現するほどの放射能漏れがあったのかもしれず、ぜひ採集してみたいものです。冗談はさておき、震災の二次災害にともなう昆虫類の発生動向の変化を、風評被害をおさえる意味からも、客観的に検証していく必要はあるのではないでしょうか。</p>
<p class="indent">話がセミに戻りますが、セミ類は幼虫期の数年間を地中で過ごします。その年数は種によって異なりますが、同じ種でも変動するようです(たとえば、ツクツクボウシの幼虫期間は1～2年、アブラゼミの幼虫期間は2～5年です)。もし今年のセミの発生が少ないのなら、親ゼミが鳥などにたくさん食べられたりして、数年前の産卵数が少なかったのかもしれません。また、昨年は猛暑でしたから、今年羽化するべき個体が去年出てしまったのかもしれません。セミの発生量にその年の降水量が大きく関与することも知られています(7月中旬～8月中旬に雨が多い年にはニイニイゼミの発生量が少なくなります)。セミの発生量は抜け殻でわかりますから、市民ボランティアが「セミの抜け殻しらべ」を毎年継続して実施している地域なら、セミの多い少ないもかなり客観的に評価できると思います。</p>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫に脳はあるのでしょうか？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2010/1202_094000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.397</id>
   
   <published>2010-12-02T00:40:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T00:41:41Z</updated>
   
   <summary>チョウには訪花学習性がありますが、これは脳で学習や記憶をしているのでしょうか？ ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">チョウには訪花学習性がありますが、これは脳で学習や記憶をしているのでしょうか？ 友人には単なる本能だといわれたのですが...。<br />
また、「食う食われる」という厳しい世界に生きている彼らですが、痛みなどは感じるのでしょうか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">はい。もちろん、昆虫も脳で記憶や学習をしています。</p>
<p class="indent">昆虫の脳は、脊椎動物と同様、ニューロンとよばれる神経細胞が集まってできています。しかし、体が小さな昆虫は一般に脊椎動物に比べて脳が小さく、例えばヒトの脳が1,000億個のニューロンでできているのに対し、昆虫の脳を構成するニューロンは多くても100万個程度と言われています。ニューロン数は脳の情報処理能力の大きさに比例します。ニューロンの多いヒトの脳では、様々な感覚情報を脳に集中させて大きな体を精密に動かすことができ、運動の柔軟性や高い学習・記憶能力も併せ持っています。一方、ニューロンの少ない昆虫の脳では、ヒトのように大容量の情報を一度に処理することができません。このため昆虫は、脳以外に頭部、胸部、腹部にある神経節も使って情報を処理しています。このように昆虫の情報処理システムは分散しているのが特徴で、脳やそれぞれの神経節がある程度の独立性を持って動いています。たとえば、昆虫は頭部を切断されても羽ばたきや歩行をし続けることが知られています。これは、胸部や腹部に残った神経節だけで運動の一部が制御されているからです。このシステムは、小さな昆虫の素早い運動を支えていますが、脊椎動物に比べると動きの精密さに欠け、柔軟性も劣ります。</p>
<p class="indent">昆虫の脳に関してはいくつもの良書がでています。例えば、「昆虫-驚異の微小脳」水波誠著(中公新書)や「昆虫はスーパー脳」山口恒夫監修(技術評論社)などがありますので参考にしてください。</p>
<p class="indent">ご質問頂いた「本能」というのは、生得的に備わっている昆虫の定型的な行動を指しているのだと思います。たとえば、羽化したばかりで蜜を吸った経験のないチョウに特定の色紙や匂いを与えると口吻を伸ばしてエサを探し始めます。この現象は、チョウには生まれつき特定の色や匂いをエサと認識して探すような行動プログラムが備わっていることを意味しています。一方、限られたニューロンしかない昆虫であっても「学習」を通じて行動を変化させることができます。チョウでは、生得的にさほど好きではない色紙の上で何回か蜜を与えると、やがてその色紙を見せただけで口吻を伸ばすようになります。この現象は、チョウが色紙の色と蜜を吸った経験を連合学習し、新しい行動プログラムを獲得したことを意味します。昆虫の学習や記憶に関しては現在精力的に研究されており、これまでのところキノコ体を中心とする脳内の複数の領域が重要な役割を果たしていると報告されています。</p>
<p class="indent">「昆虫の痛み」ですが、これは難しい質問です。昆虫などの無脊椎動物には痛覚神経がなく、痛みを感じないとされています。一方、彼らは不快な物理刺激・化学刺激を受けると明瞭な逃避行動を示します。よって、昆虫には痛みを感じる神経はないが、それ以外の感覚で自らの危険となる刺激を感知していると考えられています。しかし、実際のところはまだよくわかっていません。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>大昔のトンボのえさは何？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2010/1201_152000.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2007://3.384</id>
   
   <published>2010-12-01T06:20:00Z</published>
   <updated>2010-12-01T06:32:48Z</updated>
   
   <summary>トンボは大昔からいる原始的な昆虫だと聞きました。 でも、今いるトンボは、ハエやカ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">トンボは大昔からいる原始的な昆虫だと聞きました。</p>
<p class="no-indent">でも、今いるトンボは、ハエやカなどずっと高等で後に現れた虫を飛びながら捕らえて食べているように思います。</p>
<p class="no-indent">ほかに飛ぶ虫がいなかった時代のトンボはいったい何を食べていたのですか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">トンボ目昆虫は古生代デボン紀の終わりに出現したと考えられており、成虫が現在と同じような捕食性であるなら、自分より小型の飛翔昆虫を餌にしていたと考えられます。</p>
<p class="indent">デボン紀の空にはトンボに先駆けてカゲロウ目の昆虫が進出していたと考えられており、これがトンボの主要な餌になっていたと思われます。</p>
<p class="indent">また、初めて飛翔能力を身につけた昆虫にパレオディクティオプテラ(Paleodictyoptera)と呼ばれる仲間がいます(絶滅して現存していない。文献によってはカゲロウの仲間とされることもある)。彼らは6枚の羽を有し、シダ植物の胞子を食べていたとされ、トンボの祖先の餌になっていたのかもしれません。他にも絶滅した飛翔昆虫がいた可能性はありますが、化石としてはまだ見つかっていません。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫の雨の日の行動について</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2010/1201_122431.php" />
   <id>tag:column.odokon.org,2010://3.551</id>
   
   <published>2010-12-01T03:24:31Z</published>
   <updated>2010-12-01T06:39:24Z</updated>
   
   <summary>昆虫が雨に濡れるのを嫌う理由は何ですか？　羽根がぬれると飛びにくいからですか？...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">昆虫が雨に濡れるのを嫌う理由は何ですか？　羽根がぬれると飛びにくいからですか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">気象学では、水滴の直径が0.5mm以上の降水を雨といいます。普通に観察される雨粒の最大直径は2～3mm。落下速度は雨粒の直径によって変わりますが、直径1mmの雨粒では毎秒4mになるそうです。いま、直径2mmの雨粒が毎秒4mの速度でぶつかったときの衝撃を考えてみましょう。直径2mmの球体の体積は、4&Pi;r<sup>3</sup>/3の式より約4 mm<sup>3</sup>=4×10<sup>-3</sup> cm<sup>3</sup>。水の比重1g/cm<sup>3</sup>を掛けると、雨粒の重さはおよそ4×10<sup>-3</sup> g=4mgです。m&Delta;v=F&Delta;tの式から衝撃荷重Fを求めましょう。雨粒の重量m=4×10<sup>-6</sup> kg、速度変化&Delta;v=4m/s、衝突時間(雨粒の直径を速度で割った値)&Delta;t=(2×10<sup>-3</sup>)/4=5×10<sup>-4</sup>sを代入すると、F=32×10<sup>-3</sup> kg・m/s<sup>2</sup> [N]=3.2g重となります。つまり、この雨粒が1粒がぶつかると、0.5msの衝突時間で3.2gの重さを感じることになります。</p>
<p class="indent">飛ぶ昆虫は体がたいへん軽く、ミツバチは80mg、モンシロチョウは100mg、カはわずか3mgしかありません。体の小さな昆虫にとって、雨粒がぶつかったときの衝撃は相当な大きさですから、雨中を飛ぶのはたいへん危険と考えられます。</p>
<p class="indent">また、雨に濡れると水滴がついて体が重くなります。体の軽い昆虫にとって水滴は無視できない重さとなり、運動のためにより多くのエネルギーが必要です。さらに、気温が下がる、水が蒸発して熱を奪うなどの影響で、昆虫の体温も低下します。彼らがいつもと同じように動くには、体温を上げるためのエネルギーも必要です。</p>
<p class="indent">以上のような理由から、多くの昆虫にとって、雨の日は動かずじっとして省エネに徹したほうが都合がよいのです。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>ナミテントウの越冬場所</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2009/0328_094341.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2009:/column//3.411</id>
   
   <published>2009-03-28T00:43:41Z</published>
   <updated>2009-03-28T00:55:06Z</updated>
   
   <summary>小学生向けの本で、小屋の東西南北に板を積み、温度を測りながらナミテントウの越冬を...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">小学生向けの本で、小屋の東西南北に板を積み、温度を測りながらナミテントウの越冬を観察したところ、温度の高い南側ではなく西側で多くのナミテントウが越冬したということが書かれています。</p>
<p class="no-indent">ナミテントウは、温度変化の小さいところで越冬するのでしょうか。</p>
<p class="no-indent">また、温度でいうと何度から何度の範囲で越冬するのでしょうか。よろしくお願いします。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">テントウムシは木の割れ目、家屋の隙間、石の下や草むらなどで集団越冬します。</p>

<p class="indent">「ナミテントウの越冬」については、谷岸一紀さんが雑誌「インセクタリゥム」の1976年12月号に記事をかかれています。それによると「テントウムシは日長が長くなり平均気温が20℃以下になると越冬のための身体の変化が起き始め、東京近県では10月から11月上旬、平均気温が15℃、日最低気温が10℃付近になると越冬場所への移動を開始し、4月に入り平均気温が5～10℃に上昇する越冬場所から離れる」とあります。京都大学の大澤直哉さんの観察では「京都府では11月上旬、平均気温が10℃前後になると越冬を始める」そうです。日本昆虫学会和文誌第11巻4号には善養寺聡彦さんの論文があり、「千葉市では、気温14.0℃以下で一定期間低温にさらされた個体が、正午の気温が16.2℃以上、風力4以下、晴天あるいは薄曇りの日に移動を開始すると考えられる」とのことです。この他の場所についても、越冬を開始する時期やそのときの温度について報告があるようです。</p>

<p class="indent">越冬場所への移動については、1986年の日本昆虫学会誌に小畑昌子さんの論文があり、「ナミテントウは白あるいは明るい色を目指して山の南斜面などへの移動を繰り返し、最終的に岩の割れ目などで集団越冬する」そうです。お問い合わせの「温度の高い南側でなく西側で多くの越冬個体が観察された」という実験の詳細がわからないので確かなことはいえませんが、越冬の初めは南側に集まり、やがて温度変化が比較的小さい西側に移動したことが考えられます。温度変化の大きな場所では、テントウムシの基礎代謝量(エネルギー消費量)は高くなって長期間の越冬に不利になることが予想されますし、厳冬期に急激な温度変化をうけて休眠(越冬)から醒める個体がでてくるかもしれません。これらの理由から、テントウムシは温度変化の少ない場所を好んで越冬していると考えられます。この他、テントウムシの越冬については、高橋敬一さんによる「インセクタリゥム」1995年3月号の「アルファルファ草地のテントウムシ-ナナホシテントウとナミテントウ」という記事や、桜谷保之さんによる同誌1990年1月号の「ナナホシテントウの越冬と越夏」、1997年10月号の「冬に産卵するナナホシテントウとその産卵戦略」という記事があります。</p>

<p class="indent">越冬中の昆虫は、常に低温に晒されています。昆虫にとって低温は大敵で、体内の組織や細胞を構成する物質が変化して物質循環・代謝ができなくなったり、体液が凍って細胞が破壊されたりすることで死亡する原因となります。昆虫が低温から身を守るには、(1) 体(血液)が凍らないようにする、(2) 体が凍っても細胞が破壊されないようにする、二つの方法があります。昆虫の血液はだいたい-2℃くらいで凍りはじめます。体が凍結しにくい昆虫は、血液中に不凍液の成分(グリセリンやトレハロース)をため込む、氷の核となる物質を減らす、氷の結晶成長を抑える物質を増やすなどの仕組みをもっています。一方、体が凍っても生きていられる昆虫は、細胞内に氷ができないよう-5～-10℃くらいの温度で細胞外凍結をはじめる仕組みをもっています。テントウムシは体が凍りつかない仕組みをもっており、ナナホシテントウは-20℃くらいまで凍結しません。テントウムシは寒風が直接当たらない場所で越冬しますので、冬の寒さには十分な耐寒性を備えています。</p>
]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>樹液に来るチョウの働きについて</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0521_080000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.398</id>
   
   <published>2008-05-20T23:00:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:39Z</updated>
   
   <summary>訪花性のチョウは、花粉媒介による植物へのメリットがあると説明できます。では、樹液...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">訪花性のチョウは、花粉媒介による植物へのメリットがあると説明できます。では、樹液に集まるオオムラサキやゴマダラチョウ等は、樹にとって何かメリットがあるのでしょうか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">夏の雑木林では、クヌギやコナラなどの広葉樹の樹液を吸いにカブトムシやクワガタ、スズメバチやチョウなど様々な昆虫が集まってきます。でも樹液が出ている樹はそう多くありません。どうしてでしょうか？</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/sapfeeder01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/sapfeeder01.php','popup','width=1377,height=960,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/sapfeeder01-thumb.jpg" width="240" height="169" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真: 樹液を吸うクロヒカゲ成虫<br />
		(クリックで拡大します)<br />
		　
	</p>
	<a href="http://column.odokon.org/archives/sapfeeder02.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/sapfeeder02.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/sapfeeder02-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真: 樹液に集まるカブトムシ成虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">樹液が出ている樹の多くは、内部にボクトウガやカミキリムシの幼虫が潜んでいます。これらの幼虫は樹皮のすぐ下にある維管束形成層という部分を食べています。形成層は樹木の血管にあたる師管と導管がそれぞれ集まった部分(師部と木部)に囲まれていて、幼虫の食害によって管が切断されると樹木の血液にあたる師管液や導管液が外ににじみ出てきます。このうち師管液には糖類やアミノ酸が多く含まれており、外ににじみ出るとたちまち酵母や微生物が繁殖し、液を発酵させて独特の匂いを作り出します。匂いの主成分はエタノールや酢酸です。その匂いをかぎつけて様々な昆虫が樹液(に含まれる栄養素)を吸いにやってくるのです。つまり昆虫の餌となる樹液とは「潜孔虫に食害され、傷口からにじみ出た樹木の体液が発酵したもの」と言えるでしょう。</p>
<p class="indent">樹液を吸いにやってくる昆虫というのは、樹木にとって傷口に群がる虫たちということになります。これらの昆虫から樹木が受けとる利益はおそらくないと考えられます。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>ミイデラゴミムシ</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0409_092000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.395</id>
   
   <published>2008-04-09T00:20:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:55Z</updated>
   
   <summary>ヘッピリムシとかミイデラゴミムシとか呼ばれる虫はおしりからガスを勢いよく噴射しま...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">ヘッピリムシとかミイデラゴミムシとか呼ばれる虫はおしりからガスを勢いよく噴射します。大変興味深い現象ですが、いったいどんな仕組みになっているのでしょうか？</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/miideragomi.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/miideragomi.php','popup','width=657,height=480,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/miideragomi-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真: ミイデラゴミムシ成虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ミイデラゴミムシ(<i>Pheropsophus jessoensis</i>)は、鞘翅目(コウチュウ目)オサムシ上科ホソクビゴミムシ科に属します。ゴミムシ類のなかでもかなりの普通種で、「ヘッピリムシ」といえばふつう、本種のことをさします。北海道から奄美大島まで分布し、海外では中国と朝鮮半島に分布します。</p>
<p class="indent">ヘッピリムシを捕まえようとすると、腹部末端よりポンと音を立てて、ガスを噴出します。へっぴり腰だからこういう名前が付いているのではなく、音付きの臭い屁をこくからこんな名前が付けられています(ただし、噴射口は肛門とは別なので、正しい意味でのおならではありません)。</p>
<p class="indent">ヘッピリムシの存在は江戸時代にはすでに知られており、たとえば根岸鎮衛(やすもり)(1737～1815)の『耳嚢』(みみぶくろ、岩波文庫にありますが、品切れ？)の9巻、「屁ひり虫奇説」には「背中に白き星あり。右むしを捕へ、板或ひは畳におしつけて、屁をひり粉を出す事、背の星の数程なり。其数過(すぎ)ぬれば、屁をひらず、また粉を出さざるよし」と書かれています。背の星が白いと書かれていますが、本種のは黄斑で、しかも大きいのは2個だけです。別種のことを書いたのかもしれませんね。いずれにせよ、江戸時代のうわさ話の聞き書きですし、この時代には分類学は発達していませんでした。スズメが海に飛びこむとハマグリになる、と本気で信じられていた時代ですから、この観察はかなり正確とほめるべきです。</p>
<p class="indent">また、ミイデラゴミムシの「ミイデラ」ですが、京都の「三井寺(園城寺)」のことかなと連想はされるのですが、その理由はよく分かっていませんでした。この寺で発見されたわけでもなさそうだから、なんかの洒落だろうな、という気はします。しかし、どうやらその語源が、鳥羽絵「放屁合戦」が三井寺にあるからだとする説が、発表されたようです(<a href="http://www.lbm.go.jp/yahiro/kenkyu/midera.html" target="_blank">地表性甲虫談話会会報1:2-6</a>に紹介あり)。「屁」や「文化財」まで関わってくるなんて、昆虫学も奥が深いです。</p>
<p class="indent">本種の生態は、成虫だけでなく、幼虫もなかなか面白いのですが、それらの解説は他のサイトに譲ることにして(例えば<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/" target="_blank">Wikipedia</a>、関連文献も入手できます)、ここでは、ガスの噴射機構についてのみお答えしたいと思います。</p>
<p class="indent">海外にいるミイデラゴミムシの近縁種では、体内にヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール、C<sub>6</sub>H<sub>6</sub>O<sub>2</sub>、ベンゼン環にヒドロキシ基が2個、パラ体でついた構造式)と過酸化水素(H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>)という2種の化学物質が分泌される小室をもっています。この小室では両者は化学反応を起こしませんが、攻撃されるとバルブを開いて、この2つを頑丈な壁に囲まれた第2の小室に送りこみ、そこに酵素(ペルオキシダーゼとカタラーゼ)を加えます。すると、急激な化学反応が起こり、ベンゾキノン(1,4-ベンゾキノン、C<sub>6</sub>H<sub>4</sub>O<sub>2</sub>,ベンゼン環がパラ体でケトンとなった物質)と水(H<sub>2</sub>O)が生成され、100℃以上のガスとなって、襲ったものに噴射されます。恐ろしいことに、このガスはゴミムシの思いどおりの方向に噴射できます。また、敵が1回であきらめないようなら、数発、連続噴射できます。この種では体長の4倍の距離までガスを着弾でき、連続29回の噴射が可能、という記録があります。ゴミムシ類の主な天敵であるカエルになら、1回の噴射でかなりのダメージを与えることができますし、不用意に本種をさわってしまった人間に対しても、皮膚に茶色いシミを作り、悪臭をこすりつけることができます。ベンゾキノンはタンパク質との結合性が高く、また酸化剤だからです。</p>
<p class="indent">ゴミムシの防御システムは、あまりによく出来ているので、反進化論者は100年ほど前から、眼の誕生と同様、神の創造の証拠としてこれを取り上げています(日本語でも検索できますが、Bombardier beetle、quinoneなどの英語を検索語として使えば、一晩で読み切れないほど、ヒットします)。こんなに精巧な化学システムが漸進的な小進化の積み重ねで出来るわけがない、そんな構造を獲得しようとする昆虫は、設計の途中でみな自爆して、絶滅しちゃうだろう、というわけです。</p>
<p class="indent">しかし、ゴミムシ類の近縁種間の比較研究は、このへっぴりシステムがしだいに改良されてきたことを示しています。また、生物が新しい機能を進化的に獲得するさいには、あり合わせの器官で間に合わせることが多いわけですが、ヒドロキノンは昆虫類では脱皮後に外皮を固めるのに必須な物質ですし、過酸化水素も活性酸素と同様、生体防御反応などによって血中で簡単に生成されます。カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分ける反応を触媒する酵素で、好気的細胞なら必ずもっている酵素ですし、ペルオキシダーゼ(過酸化酵素)も植物の病害抵抗性にかなり普遍的な酵素です。『眼の誕生』(アンドリュー・パーカーの好著、訳書は草思社から)と同様、ミイデラゴミムシの存在も、むしろ進化学の面白さを知る、かっこうの素材だと思います。</p>
<p class="indent">わが国のゴミムシ類については、60属132種の尾節防御システムを比較検討したKanehisa & Murase(1977)の論文が、応動昆英文誌(<i>Applied Entomology and Zoology</i>)の、12巻3号、225～235頁に掲載されています。より詳細に知りたい方は、当サイトの学会誌紹介のページからCiNiiへのリンクに移動してください。pdfファイルが無料でダウンロードできます。本稿によると、ミイデラゴミムシはベンゾキノンのほか、メチルキノン(2-メチル-1,4-ベンゾキノン、C<sub>7</sub>H<sub>6</sub>O<sub>2</sub>、ベンゾキノンにメチル基がついた物質)をもっており、防御物質の成分比はベンゾキノンとメチルキノンが6:4だそうです。いまから30年前の論文ですが、この論文を読んでも、ゴミムシ類のへっぴりシステムの進化がなんとなく見えてくるような気がします。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>トンボが飛ぶスピードは？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0711_170100.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.383</id>
   
   <published>2007-07-11T08:01:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:29:49Z</updated>
   
   <summary>トンボの飛ぶときのスピードはどのくらいなんでしょうか？ 飛びながら獲物を捕まえる...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">トンボの飛ぶときのスピードはどのくらいなんでしょうか？ 飛びながら獲物を捕まえるので相当早いと思いますが・・・教えてください。</p>
<p class="no-indent">できたら羽音の聞こえない理由も知りたいです。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/flying_tombo_01.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/flying_tombo_01.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/flying_tombo_01-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		飛翔するコサナエ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">トンボの中でも、トンボ科やヤンマ科の仲間がたいへん速く飛ぶのに対し、イトトンボ科やカワトンボ科の仲間はチョウのようにひらひら飛び、あまり早く飛ぶことはありません。トンボを風洞の中につるして飛翔速度を計算したところ、ギンヤンマの最高速度は7m/s(時速25km)、巡航速度は3.5m/sでした。その他のトンボの最高速度については、トラフトンボの仲間が2m/s、ハラビロトンボの仲間が3m/s、アメリカギンヤンマが7.5m/s、ルリボシヤンマの仲間が10m/sという報告があります。また「<a href="http://www.tombow-shuppan.co.jp/kankyo.htm" target="_blank">トンボのすべて</a>」(井上清・谷幸三著　トンボ出版,1999)によると、瞬間的に時速100kmにまで達する種もあるとのことです。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/flying_tombo_02.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/flying_tombo_02.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/flying_tombo_02-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		飛翔するチョウトンボ<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div><p class="indent">羽音について、人間の可聴域は通常20〜20000Hzで、敏感に聞き取れる音の周波数は1000Hzから10000Hzといわれています。ギンヤンマを含む多くのトンボは、おおよそ30Hzの周波数で羽ばたいており、この周波数を基本に2倍、4倍、6倍...の倍調波の羽音が発生しています。倍調波は、その周波数が大きくなるにつれ振幅(音の大きさ)が小さくなる特性があります。よって、トンボの羽音は主に人間にとって聞き取りにくい周波数の音で構成されているため大きな音はしませんが、近くで聞けばわずかな羽音が聞こえます。</p>
<p class="indent">この回答を作成するにあたり、東京大学大学院の河内啓二先生から丁寧なご助言を頂きました。また、写真2点は農業環境技術研究所の中谷至伸氏からご提供頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>ガムシの「牙」は何のためにある</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0711_170000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.382</id>
   
   <published>2007-07-11T08:00:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:29:56Z</updated>
   
   <summary>ガムシの腹側にある、いわゆる牙(キバ)には何か意味があるのでしょうか。...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">ガムシの腹側にある、いわゆる牙(キバ)には何か意味があるのでしょうか。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/Hydrophilus_hind.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/Hydrophilus_hind.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/Hydrophilus_hind-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真1: 背部から見たガムシ(左)とフチトリゲンゴロウ(右)。<br />
		脚のかたちが違います。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div><p class="indent">腹部にある、針状の器官(写真参照)のことですね。一見するとキバやクチバシのように見えますが、頭部から離れて中胸腹板から隆起していますので「口器」ではありません。</p>
<p class="indent">ガムシは水生昆虫で、ガムシ科に属す甲虫です。狭義のガムシは学名を<i>Hydrophilus acuminatus</i>といいます。「Hydro-」はラテン語で「水」、「-philus」は「を愛するもの」、「acuminatus」は「尖った」を意味する「acuminate」から派生しています。鍼(針)治療のことを英語で「acupuncture」と言いますが、このように「acu-」は尖ったものを意味します。ですから、学名をつけたひともこの針状の器官を気にしていたのだと思います。</p>
<p class="indent">また、和名の「ガムシ」もご指摘の通り、漢字では「牙虫」と書き、キバ(トゲ)がある虫ということです。ついでにいえば、中国ではガムシのことを「水亀虫」と書きます(このまま検索をかけても中国では「亀」が簡略字になっていますので、ヒットしません)。ただし「ガムシ属」は「牙甲属」と言います。英語では「water scavenger beetle(水生の腐食甲虫)」と呼ぶのがふつうですが、たまに「black beetle」などという場合もあります。</p>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/Hydrophilus_abdomen.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/Hydrophilus_abdomen.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/Hydrophilus_abdomen-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: 腹部から見たガムシの標本。<br />
		垂直に伸びているのは昆虫針。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div><p class="indent">さて、この「牙」ですが、これだけ特徴的な器官ですから、何らかの機能を持っているはずだと思うのですが、実はよく分かっていないようです。私は、次の3つくらいがそれっぽい解釈かな、と思うのですが...</p>
<p class="indent">仮説その1. 捕食者に食べにくいよと学習してもらうため。水生昆虫としてガムシよりよく知られているゲンゴロウやタガメは食用昆虫として有名ですが、ガムシも食用になるようです。江戸時代に書かれた栗本丹洲の『千蟲譜』に「醤油ニテ煮付ケ喰フ。味美ナリト云フ」とあるので、他の動物にとっても有毒ではないでしょう。ですから、このトゲのために捕食者(コイ？水鳥？)が本当は美味しいガムシを敬遠している可能性もあります。この説の難点は、このトゲは腹部にぴったりと張り付いてるので、あまり喉などには引っかからなそうだなということです。</p>
<p class="indent">仮説その2. ゲンゴロウと違って、ガムシは水中では腹部に空気をためています。水槽の中のガムシを見ると腹部が銀色に見えるのは呼吸用に貯めた空気のせいです。津田松苗編(1962)の『水生昆虫学』には「ガムシは水平に上がって来て、頭部にある短い棍棒(こんぼう)状の触角で水面を破る。すると空気は腹面の貯気室に通じ、そしてまた背面にある翅鞘下の貯蔵所とも流通するようになる...ガムシ科の触角は水面より空気を取り入れるのにも使われる...」とあります。空気を水面下の腹部の奥まで送りこむ行動に、このトゲが役に立っているのかもしれません。</p>
<p class="indent">仮説その3. ゲンゴロウと違って、ガムシはゲンゴロウのように平泳ぎではなく(後脚で水を同時に蹴らない)、右と左の脚を交互にかいて泳ぎます。ゲンゴロウは成虫も肉食なので前脚が餌を採るための形態に進化しているのに対し、成虫は腐植質を食べているガムシは前脚、中脚、後脚、すべての脚を使って泳ぎます。こうしたことから、ガムシはお尻を振りながら泳いでいるように見えます(ガムシ愛好者はそこが可愛いと言っています)。しかし、あまりお尻を振りすぎて、よたよた泳いでいては捕食者に食べられてしまうので、ある程度はまっすぐ泳げなければならない。そこで、このトゲが横流れを防ぐキールの役割を果たしているのではないか...ということも考えられるのですが...</p>
<p class="indent">2と3の仮説は、トゲを非水溶性のセメントや紙粘土かなんかで覆ってしまえば検証が可能です。ガムシを飼育しているどなたか、私の代わりにやってみていただけませんか？</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>ダンゴムシの交替性転向反応</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0509_223700.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.379</id>
   
   <published>2007-05-09T13:37:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T08:18:45Z</updated>
   
   <summary>オカダンゴムシには、turn alternationという行動が見られるそうなの...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">オカダンゴムシには、turn alternationという行動が見られるそうなのですが、それに関する文献などありましたら、紹介いただけないでしょうか？</p>
<p class="no-indent">また、このようなturn alternationのような行動選択を行う昆虫はオカダンゴムシ以外にも存在するのでしょうか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">ご質問にお答えします。オカダンゴムシのturn alternation(交替性転向反応)については、随分古くから研究があり、わが国では1950年代に岡山大学のグループ(渡辺氏、岩田氏)が精力的に研究を発表しておられます。他方、海外でもダンゴムシではありませんがワラジムシの仲間に関する関連研究があり、特に、ニュージーランドのHughesは一連の研究報告、総説などを発表しています。</p>
<p class="indent">現在、この行動のメカニズムとしてよく紹介されているBALM説(Bilaterally Asymmetrical Leg Movement)はHughesによって提案されたものです。わが国でも、近年この行動に関する新たな視点からの研究がなされており、はこだて未来大の森山氏と滋賀大の右田氏の認知科学的解析、京大の佐久間氏のグループによるサーボスフェアを用いた行動機構の解析、私達の行動生態学的分析などが報告されています。これらの文献については、拙著の引用文献をご参考になさってください。</p>
<p class="indent">交替性転向反応を示す昆虫はかなり多いようで、上記の文献によれば、アリ、ゴキブリなどに関する報告があるということです。また、高知大学の種田氏によるハサミムシの研究も知られています。さらに、文献によれば、ゾウリムシからヒトに至るさまざまな動物グループでこのような反応があるといわれています。</p>
<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>小野知洋 (2004) 化学と生物 42(11): 733-738.</li>
	<li><a href="http://odokon.org/aez_ja.php?Uref=J1V50I4_325-330" target="_blank">小野知洋, 高木百合香 (2006) 日本応用動物昆虫学会誌 50(4): 325-330</a></li>
	<li>町田吉彦編著 (2001) 高知新聞社「生物の世界と土佐の自然」</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>トゲアリトゲナシトゲハムシって？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0508_000000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.377</id>
   
   <published>2007-05-07T15:00:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T08:19:09Z</updated>
   
   <summary>トゲアリトゲナシトゲハムシという昆虫がよくネタにされていますが、どうしてこのよう...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">トゲアリトゲナシトゲハムシという昆虫がよくネタにされていますが、どうしてこのような命名がされたのでしょうか？</p>
<p class="no-indent">どうして発見した時に普通のトゲハムシではないと判断することが出来たのでしょうか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">「トゲアリトゲナシトゲハムシ」という和名の昆虫はおりませんが、「トゲナシトゲハムシ」あるいは「トゲナシトゲトゲ」の和名は使われてきました。</p>
<p class="indent">このグループは、鞘翅(甲虫)目ハムシ科のトゲハムシ亜科に属しています。トゲハムシ亜科は、学名もHispinaeで、体にトゲがある特徴に基づいていますが、このトゲハムシの中には、体にトゲのないグループがおり、特に亜熱帯/熱帯圏からは非常に沢山の種が知られております。</p>
<p class="indent">トゲハムシ類は、日本には14種が分布していますが、それらのうち体にトゲのない種が外来種で定着しているもの1種を含めて4種が知られています。トゲハムシ亜科の種は、トゲの有無で外見上は非常に異なる印象を受けますが、他の点では重要な特徴をたくさん共有しています。トゲのある種に、「○○トゲトゲ」という和名が長く使われてきました。一方、トゲのない4種のうち3種は日本では南西諸島にだけ分布し、しかも1種は南大平洋の島々に生息するものが沖縄本島に侵入・定着したものです。残りの1種は本州と九州に分布していますが、どちらかというと産地が局所的で、つい最近までかなり珍しい種だと考えられてきました。</p>
<p class="indent">というわけで、トゲのないトゲハムシは、一般にはいずれも馴染みが薄い種ばかりです。しかし、トゲハムシの仲間であることはまちがいないということで、初めは「トゲナシトゲトゲ」という和名が付けられました。ただし、形容矛盾という理由から、近年「ホソヒラタハムシ」などという和名も使われたりしています。</p>
<p class="indent">私は、トゲのたくさんある種に「○○トゲトゲ」と命名した先人の命名感覚をすばらしいと感じます。また、亜科というグループ名が和名の末尾に付されることは、系統類縁関係を明示することにもなるので、「トゲナシトゲハムシ」の和名は捨てるに忍びない気持が強いです。</p>
<p class="indent">ちなみに、同じトゲハムシの仲間であるのに、なぜ体にトゲのあるものとないものとがいるかということですが、トゲのあるものは天敵の捕食に対抗する戦略からそれを発達させたと考えられます。一方、トゲのないものは、寄主植物であるサトウキビやヤシなどの葉と茎あるいは葉と葉の間の隙間に潜入します。天敵の攻撃をかわす方法に、このような大きく二通りの選択肢があり、しかもそれらは両立しないということから、われわれの目からは外見上大きく異なるこうした2方向への形質進化が起こったのだと考えられます。さらに、トゲハムシ亜科にもっとも系統的に近いグループはカメノコハムシ亜科で、これは典型的な種は外見がひじょうに異なっていますが、両者の中間的な外見を持つ種もおり、それは日本でも対馬から知られています。</p>
<p class="indent">なお、トゲハムシやカメノコハムシの特徴は、頭頂部が前方に強く突出し、口が頭頂部の下面に位置する点にあり、これらの点は、これら2つの亜科に特徴的で、他の亜科には見られません。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>害虫相談はどこにしたらいい？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_151100.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.362</id>
   
   <published>2007-03-27T06:11:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:11:26Z</updated>
   
   <summary>害虫の相談って、どこにしたらいいんですか？...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">害虫の相談って、どこにしたらいいんですか？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">害虫の種類によって、相談する機関は違います。</p>
<p class="indent">「農業害虫」なら、各都道府県の「病害虫防除所」や「農業研究センター」など（名称は都道府県によって異なります）に相談することが近道です。病害虫防除所は、最近は行政改革のため、農業研究センターの組織の一部である県が多くなっています。これらの機関はたいていホームページをもっていますから、このページをご覧になっている方なら連絡先を検索することは難しくないと思います。
蚊やハエ、ハチ、ゴキブリ、ユスリカ、秋に飛び込んでくるカメムシ、といった「衛生害虫」や「不快害虫」でお悩みなら、「保健所」に相談するとよいでしょう。役場の「衛生課」などに電話したほうがいい場合もあります。</p>
<p class="indent">街路樹や公園の緑化樹をアメリカシロヒトリなどの害虫が食害している場合には、役場の部署が変わって、「公園課」や「土木課」が窓口になっている場合が多いです。</p>
<p class="indent">お店で買ってきた食品のなかに虫などが入っていた場合は(業界用語で「異物混入」と呼びます)、商品に書かれている製造・販売元の「お客様相談センター」などに連絡します。ただ、異物混入が「お客様の勘違い」の場合もあるので、ほんとうに開封前から混入していたかどうか、まずは自己点検してから連絡することをお勧めします。たとえば、カップラーメンなどの異物混入では、クレームのかなりの部分がお客様の家の湯沸かしポットのなかにゴキブリが住んでいて、それをお湯と一緒に注いでしまったことが原因になります。ゴキブリは暖かいところが大好きですからね。購入した商品の製造元が零細だったり、頑固者だったりして、話がこじれてしまった場合などには保健所などに仲介してもらうこともあります。</p>
<p class="indent">害虫についての相談は、どこに相談するにしても、まずその形状を相手に説明しなければなりません。「丸くて、黒い虫だッ！　なんとかしろッ！！」などと言われたって、これでは受け手だってどうしてよいか分かりません。体長は何ミリくらいか、体は何色か、翅(はね)はあるか、足は6本か、どういった状況でどのように困っているか...等々をあらかじめ整理してから連絡してください。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫を扱う職業</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_151000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.361</id>
   
   <published>2007-03-27T06:10:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:11:20Z</updated>
   
   <summary>昆虫が大好きなのですが、どういう職業につけば昆虫とつきあっていられますか？ 日本...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">昆虫が大好きなのですが、どういう職業につけば昆虫とつきあっていられますか？<br />
日本応用動物昆虫学会って、どんな人が入っているんでしょう？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="no-indent">【2007/05/08 加筆しました】</p>
<p class="indent">昆虫とつきあう職業にも、さまざまな種類があります。</p>
<p class="indent">人間の勝手で昆虫を「益虫」と「害虫」、「ただの虫」に分けてしまうと、それぞれの昆虫とつきあう、それぞれの職業があります。</p>
<p class="indent">養蚕(ようさん)業は、絹をはき出すカイコガの幼虫を育てる職業ですね。ミツバチからハチミツやローヤルゼリー、プロポリスなどを集める養蜂(ようほう)業もあります。クワガタやカブトムシをブリード(育成)してマニアに売ることを商売にしている人もいます。</p>
<p class="indent">害虫の研究者もいます。害虫の、プロの研究者になるのはけっこう大変ですが、各都道府県や独立行政法人の農業試験研究機関、農薬メーカー、農林水産省の植物防疫(ぼうえき)所、大学の農学部...といったところで仕事をしています。最近は大学院を出ていないと就職は難しくなっています。</p>
<p class="indent">害虫を殺すことが専門の職業もあります。シロアリ駆除(くじょ)とか、ゴキブリ駆除といった仕事ですが、「昆虫が好き」な場合には、ちょっとつらいかも。</p>
<p class="indent">衛生害虫と違って、農業害虫は全部を殺す必要はありません。全部を殺そうとすると農薬をたくさん使うことになってお金もかかるし、手間暇かけて害虫を根絶やしにしても農産物の収量はそれほど上がりませんし、殺すつもりのない昆虫も殺してしまうことになります。害虫をいったん全滅させてしまうと、それを餌にしている天敵も死んでしまったりして、あとから入ってきた害虫がかえって増えてしまうことすらあります(生態的リサージェンスといいます)。ですから、その場合ごとに許すことのできる害虫の数の上限を超えない場合は害虫が存在することを黙認したほうがよいのです。こうした考え方をIPM(integrated pest managementの略、総合的病害虫管理)といい、害虫は「駆除」するものではなく、「防除」したり「管理」すべき相手なのだということになります。こうしたIPMの研究をしている害虫の研究者はかなり多いのですが、IPMの話は奥が深いので、また別なときに...</p>
<p class="indent">昆虫を「益虫」や「害虫」などと差別せず、昆虫を生き物としてあつかうのが好きなら、大学の、とくに理学部で研究生活を送る方法もあります。でも、助手、助教授、教授、名誉教授...と偉くなってしまうと、なかなか自分で虫など飼っていられませんが。</p>
<p class="indent">もうひとつ、昆虫を昆虫として扱うことのできるすばらしい職業が博物館や昆虫館の職員です。博物館や昆虫館は、標本を作ったり、生きた虫を温室に放して展示するだけのところではありません。職員の多くはハチとかチョウといった専門の分類群や、その地域の動物相といった専門分野をもっていて、その専門では誰もかなわない知識を持っています。害虫の研究者だって、自分が研究している虫がほんとうにその種なのかが分からなければ研究などできません。はたからは地味に見えますが、その昆虫がどうして、ほかならぬその種になり得たかを形態学や遺伝学、分子生物学などを駆使して解き明かしていく学芸員の仕事にはロマンがあります。でも、一人前の学芸員になるには大学院で分類学を修め、専門の文献を網羅し、さらに就職先を探す...必要があり、なかなか大変です。</p>
<p class="indent">昆虫を自然がどれだけ残されているのかの目安として調べる、「環境アセスメント」を職業とする方法もあります。この場合は昆虫全般だけでなく、他の生物のことも(クモやゲジゲジや植物なども)よく知っていなければなりません。甲虫だけが好きとか、蝶だけが好きといった人には向いていません。また、野外に出ることが多いので、体力があることや運転免許を持っていることも必要です。期日までに報告書をまとめる、几帳面さも必要です。</p>
<p class="indent">そのほか、昆虫雑誌の編集者とか、昆虫マニアのための昆虫標本の採集者・販売者といった職業もないわけではありませんが、ものすごく狭い門のようです。</p>
<p class="indent">ふたつめの、「日本応用動物昆虫学会に入っている人の職種」という質問ですが、ほとんどが都道府県や独立行政法人の農業試験研究機関、農薬メーカー、農林水産省の植物防疫所、大学の農学部などの研究者、そして、それらを目ざす大学の学生・大学院生だと思います。ところで、この学会には昆虫学者のほか、応用動物学を専門とする人たちも入っています。昆虫ばかりではなく、カモシカやクマ、サル、ネズミ、カラス、線虫類なども農作物を加害しますし、ダニはヒトばかりではなく家畜の血も吸います。農作物を加害するダニもたくさんいます。そういった有害動物を研究する人たちも、この学会には加入しています。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫にも血液はあるの？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_150900.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.360</id>
   
   <published>2007-03-27T06:09:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:11:13Z</updated>
   
   <summary>昆虫のからだを傷つけると、透明な液が出てきました。 人間の血液のように赤くないの...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">昆虫のからだを傷つけると、透明な液が出てきました。<br />
人間の血液のように赤くないのですが、これはやはり血液ですか。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">はい、これは昆虫の血液です。</p>
<p class="indent">人間の場合、血管内にある赤い血液と血管外にある透明なリンパ液、組織液とを区別しています。</p>
<p class="indent">一方、昆虫の循環器系は開放血管系といい、閉じた血管系をもたないので、血液 とリンパ液、組織液の区別はなく、正式には「血リンパ」と呼んでいます。</p>
<p class="indent">人間の血液は肺と組織の間で酸素を運搬するヘモグロビンという赤いタンパク質を含むために赤く見えます。しかし、昆虫では私たちの血管のように気管が全身に張りめぐらされていて、それが直接酸素をさまざまな組織に供給するために、一般にヘモグロビンのような酸素を運搬するタンパク質は血リンパに含まれていません。</p>
<p class="indent">したがって昆虫の血リンパは、透明またはうすい黄色や緑色をしているのがふつうです。もっとも、昆虫でもユスリカの幼虫(赤虫といって釣りの餌として使われている)の血リンパは、ヘモグロビンを含んでおり赤い色をしています。このヘモグロビンは酸素を運搬するためではなく、むしろ酸素の欠乏する汚い水にすんでいるユスリカの幼虫がからだの中に酸素を蓄えておくためのようです。</p>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>カマキリの卵の中は？</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_150800.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.359</id>
   
   <published>2007-03-27T06:08:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:11:07Z</updated>
   
   <summary>カマキリの卵の中はどのようになっているのですか。...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="faq" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent">カマキリの卵の中はどのようになっているのですか。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">「カマキリの卵」と通常呼ばれているスポンジ状の帽子みたいな形をしたものは「卵鞘(卵のう)」で、この中央部分に本当の卵が入っています。</p>
<p class="indent">カマキリのメスは逆立ちをした状態で尾端から出る泡状のものを木の枝などに塗り付けその中央に卵を産んでまた泡で覆うことを繰り返しながら少しずつ下の方に動いていき、帽子状の卵鞘を完成させます。卵鞘のスポンジ部分はキチン質の固形化した泡でできており、卵を急激な温度変化から保護する断熱材の役割をしています。</p>]]>
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>科学系ポータルサイト</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0718_203000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.385</id>
   
   <published>2007-07-18T11:30:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:43Z</updated>
   
   <summary> 	サイエンスポータル　SciencePortal 	Jabion 日本語バイオ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="link" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><ul>
	<li><a href="http://scienceportal.jp/" target="_blank">サイエンスポータル　SciencePortal</a></li>
	<li><a href="http://www.bioportal.jp/" target="_blank">Jabion 日本語バイオポータルサイト</a></li>
	<li><a href="http://www.kagakunavi.jp" target="_blank">かがくナビ</a></li>
</ul></p>]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>昆虫・動物に関するサイト</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_224000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.376</id>
   
   <published>2007-03-27T13:40:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:44Z</updated>
   
   <summary> 	とある昆虫研究者のメモ 	みんなで作る日本産蛾類図鑑 	 	 	--&gt; ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="link" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><ul>
	<li><a href="http://ghop.exblog.jp/" target="_blank">とある昆虫研究者のメモ</a></li>
	<li><a href="http://www.jpmoth.org/" target="_blank">みんなで作る日本産蛾類図鑑</a></li>
	<!-- ここから予備
	<li><a href="" target="_blank"></a></li>
	<li><a href="" target="_blank"></a></li>
	-->
</ul></p>]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>学会員のサイト</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_223000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.375</id>
   
   <published>2007-03-27T13:30:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:44Z</updated>
   
   <summary> 	山村光司のページ 	mothprog 	 	 	--&gt; ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="link" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><ul>
	<li><a href="http://cse.niaes.affrc.go.jp/yamamura/" target="_blank">山村光司のページ</a></li>
	<li><a href="http://www.mothprog.com/" target="_blank">mothprog</a></li>
	<!-- ここから予備
	<li><a href="" target="_blank"></a></li>
	<li><a href="" target="_blank"></a></li>
	-->
</ul></p>]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>応用動物学・応用昆虫学に関連した組織・研究室</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_222950.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.374</id>
   
   <published>2007-03-27T13:29:50Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:44Z</updated>
   
   <summary> 	九州大学農学研究院附属生物的防除研究施設 	 	 	--&gt; ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="link" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><ul>
	<li><a href="http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/ibc/" target="_blank">九州大学農学研究院附属生物的防除研究施設</a></li>
	<!-- ここから予備
	<li><a href="" target="_blank"></a></li>
	<li><a href="" target="_blank"></a></li>
	-->
</ul></p>]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>国内の応用動物学・応用昆虫学系リンク集</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_221000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.373</id>
   
   <published>2007-03-27T13:10:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:44Z</updated>
   
   <summary> 	学協会情報発信サービス　Academic Society Home Vill...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="link" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><ul>
	<li><a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/" target="_blank">学協会情報発信サービス　Academic Society Home Village</a><br />
	　　(国内の学会)</li>
	<li><a href="http://www.scj.go.jp/" target="_blank">日本学術会議　Science Council of Japan</a><br />
	　　(科学政策，国際会議、講演会など)</li>
	<li><a href="http://www.affrc.go.jp/ja/link/index.html" target="_blank">農林水産省　The Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries of Japan</a><br />
	　　(国公立試験研究機関、学会など)</li>
	<li><a href="http://www.nougaku.jp/buchokaigi/" target="_blank">国立大学農学系学部長会議</a><br />
	　　(国立大学の農学系学部、関連学会など)</li>
	<li><a href="http://www.tenteki.org/" target="_blank">天敵カルテ</a><br />
	　　(公立農業試験研究機関、病害虫防除所など)</li>
	<li><a href="http://www.jppn.ne.jp/" target="_blank">JPP-NET(日本植物防疫協会)</a><br />
	　　(国公立農業試験研究機関、病害虫防除所、メーカーなど)</li>
	<li><a href="http://www.mate.pref.mie.jp/link/" target="_blank">三重県中央農業改良普及センター</a><br />
	　　(国公立試験研究機関、病害虫防除所、大学、学会、メーカーなど)</li>
</ul></p>]]>
      
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>国内の関連学会・協会</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0327_220000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.372</id>
   
   <published>2007-03-27T13:00:00Z</published>
   <updated>2009-02-23T04:42:44Z</updated>
   
   <summary> 	日本昆虫学会　The Entomological Society of Ja...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="link" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="no-indent"><ul>
	<li><a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/entsocj/home.htm" target="_blank">日本昆虫学会　The Entomological Society of Japan</a></li>
	<li><a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/index-j.html" target="_blank">日本動物学会　The Zoological Society of Japan</a></li>
	<li><a href="http://acari.ac.affrc.go.jp/danigaku.html" target="_blank">日本ダニ学会　The Acarological Society of Japan</a></li>
	<li><a href="http://www.affrc.go.jp:8001/senchug/index.html" target="_blank">日本線虫学会　The Japanese Nematological Society</a></li>
	<li><a href="http://www.asahi-net.or.jp/%7Ehi2h-ikd/asjapan/index.htm" target="_blank">日本蜘蛛学会(試用版)　Arachnological Society of Japan</a></li>
	<li><a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/jssz/" target="_blank">日本土壌動物学会　The Japanese Society of Soil Zoology</a></li>
	<li><a href="http://www.jsmez.gr.jp/" target="_blank">日本衛生動物学会　The Japan Society of Medical Entomology and Zoology</a></li>
	<li><a href="http://meme.biology.tohoku.ac.jp/POPECOL/RP.html" target="_blank">個体群生態学会　The Society of Population Ecology</a></li>
	<li><a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/jes2/index.html" target="_blank">日本動物行動学会　Japan Ethological Society</a></li>
	<li><a href="http://wwwsoc.nii.ac.jp/pssj2/" target="_blank">日本農薬学会　Pesticide Science Society of Japan</a></li>
	<li><a href="http://www.ppsj.org/" target="_blank">日本植物病理学会　The Phytopathological Society of Japan</a></li>
	<li><a href="http://www.ajass.jp/" target="_blank">日本農学会　Association of Japanese Agricultural Scientific Societies</a></li>
</ul></p>]]>
      
   </content>
</entry>

<entry>
   <title>アカリナリウムは用心棒を運ぶポケットだった！</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2009/0130_122500.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2009:/column//3.405</id>
   
   <published>2009-01-30T03:25:00Z</published>
   <updated>2010-12-03T03:38:59Z</updated>
   
   <summary>アトボシキタドロバチ(以下アトボシ)をはじめ、カリバチやハナバチの中にはアカリナ...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="topic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">アトボシキタドロバチ(以下アトボシ)をはじめ、カリバチやハナバチの中にはアカリナリウムと呼ばれるダニポケット(体表面の窪み)を持つものがいます。なぜハチがこんなポケットを持つようになったかは、長らく生物界の謎でした。</p>
<p class="indent">アトボシのアカリナリウムを利用するダニが、ハチの巣の中でどんな生活をしているのか調べてみたところ、ダニはハチの幼虫の体液を吸う寄生者でした。どうしてアトボシは子供の血を吸う寄生生物を大事に(？)ポケットに入れて運ぶのか？？</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">謎が深まるばかりのある日、私たちはハチの育室(図2)の中でダニが死んでいるのを発見しました。その育室内ではクロヒラタコバチという体長1mm程度の寄生バチが、アトボシ幼虫に卵を産み付けていたのです。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig1.php','popup','width=800,height=1083,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig1-thumb.jpg" width="240" height="324" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: アトボシキタドロバチ♀の第二腹節背面のドーム状のアカリナリウム。BはAの外骨格を剥がして内部のダニを見たところ。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig2.php','popup','width=800,height=224,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig2-thumb.jpg" width="240" height="67" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: アトボシキタドロバチの巣の中。育室は泥壁で区切られている。<br />
		(クリックで拡大します)<br />
		　
	</p>
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig3.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig3.php','popup','width=800,height=600,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/okabe2_fig3-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: アトボシ幼虫(背景の黄色)体表面で寄生蜂を攻撃するダニ成虫。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">それぞれの行動を観察しやすいように、ガラス管にアトボシ幼虫、クロヒラタコバチ成虫、ダニ成虫を入れてみたところ、なんと、ダニは猛烈にクロヒラタコバチを攻撃しはじめました(図3、ビデオもご覧ください)。ダニの数が少ないとクロヒラタコバチに反撃されることもあります。しかし10頭以上のダニがいれば、確実にダニが勝利を収めることもわかりました。</p>
<p class="indent">アカリナリウムは、子供が恐ろしい天敵に襲われても守ってくれる用心棒を運ぶためのポケットでした。用心棒にちょっとくらい血を吸われても、我慢、ガマン!?</p>
<ul class="url-list">
	<li><a href="http://column.odokon.org/archives/waspmite2.wmv">ビデオファイル(waspmite2.wmv)をダウンロード(WMV形式/7.0MB)</a></li>
</ul>
<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Okabe, K. & S. Makino (2008) <i>Canadian Journal of Zoology</i> 86: 470-478.</li>
	<li>Okabe, K. & S. Makino (2008) <i>Proceedings of the Royal Society B (Biological Science)</i> 275: 2293-2297.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>トレハロース: 干からびたネムリユスリカ幼虫が蘇生する鍵分子</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0912_123456.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.402</id>
   
   <published>2008-09-12T03:34:56Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:05Z</updated>
   
   <summary>乾燥に強い多くの昆虫はクチクラを厚くするなど身体から水分を失うことを回避していま...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="topic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">乾燥に強い多くの昆虫はクチクラを厚くするなど身体から水分を失うことを回避していますが、ネムリユスリカは昆虫で唯一全く異なった戦略で乾燥ストレスに対応しています。すなわち身体が完全に干からびても死なない機構を獲得しているのです。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okuda_fig11.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/okuda_fig11.php','popup','width=817,height=1029,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/okuda_fig1-thumb.jpg" width="240" height="308" alt="図1: 吸水により発育再開するネムリユスリカ幼虫" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: 吸水により発育再開するネムリユスリカ幼虫<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">ネムリユスリカはアフリカの半乾燥地帯の岩盤の窪みにできた小さな水たまりに生息しており、乾季になると水たまりは干上がり幼虫もカラカラに乾いてしまいますが、雨季がきて雨が降ると吸水し1時間ほどで発育を再開します(図1)。ネムリユスリカ幼虫の持つ細胞や器官、すなわち脳を含む神経内分泌器官、消化器官、脂肪体とマルピーギ氏管、血球、骨格筋などの組織や細胞はほぼ完全に脱水した無代謝の状態(クリプトビオシス)で、しかも常温で長期間(最長記録は17年)保存されていることになります。このネムリユスリカの驚異的な乾燥耐性の仕組みを明らかにし、細胞や臓器の常温保存技術に応用できればと思っています。</p>

<h3>トレハロースの生体成分保護機能</h3>
<p class="indent">我々人間の細胞は、細胞レベルでは、意外にも乾燥に強く50%の脱水にも耐えます。しかしそれ以上の脱水が進むと活性酸素の発生によるタンパク質や脂質の酸化、DNA切断など生体成分の損傷がアポトーシスを誘導し細胞死に至ります。一方、ネムリユスリカを含む多くのクリプトビオシス生物は、水の代わりに生体成分を保護する物質(適合溶質)としてトレハロースを蓄積したり、活性酸素の発生を抑制する抗酸化酵素を合成することで、ストレスによる損傷を回避しています。トレハロースについては乾燥重量当たり20%に相当する量を蓄積し生体成分を保護していますが、物理化学的な保護機能については、2つの仮説が提唱されてきました。ひとつは水置換説で、完全脱水状態においてトレハロースは細胞膜やタンパク質の表面に直接水素結合し、結果的に結合水の代理をするという考え方。もうひとつは、ガラス状態説で、トレハロースの水溶液が、脱水に伴い、流動性を失いガラス化し、細胞膜やタンパク質は、一種のマイクロカプセルの中に閉じ込められる形になり、それらの高次構造はそのまま保護されるという仮説です。最近これらの仮説がどちらも妥当であることを東京工業大学の櫻井先生のグループと共同でネムリユスリカを用いて物理化学的に証明することができました(Sakurai et al. 2008)ので紹介します。</p>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okuda_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/okuda_fig2.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/okuda_fig2-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="図2: 顕微FTIRによるトレハロースの体内局在解析" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 顕微FTIRによるトレハロースの体内局在解析<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<h3>トレハロースの幼虫体内局在</h3>
<p class="indent">クリプトビオシスする生物はワムシやクマムシのように概して微小であること、トレハロースは非還元糖ゆえに染色が困難なことなどの理由でクリプトビオシス状態の生物の体内トレハロース局在は不明でした。我々はネムリユスリカ幼虫の優位性(クリプトビオシス生物の中で最大)を利用し、トレハロースの幼虫体内局在を明らかにしました。ネムリユスリカ幼虫を48時間かけてゆっくり乾燥させた幼虫(これをSlowと呼ぶことにします)は大量のトレハロースを合成しますが、幼虫体内のどこに局在しているのかは不明でした。顕微FTIR(顕微鏡と赤外線分光を合体させた装置)により、それが体内全体に均一に分布していることが赤外吸収スペクトル測定によって判明しました(図2)。一方、数時間で急速に乾燥した幼虫(これをQuickと呼びます)は、わずかなトレハロースしか合成できず、水に戻しても蘇生しませんでした。</p>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okuda_fig3k.pdf" target="_blank"><img alt="図3: DSC解析によるガラス転移温度(上)と熱耐性(下)との関係" src="http://column.odokon.org/archives/okuda_fig3kthum.jpg" width="240" height="317" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: DSC解析によるガラス転移温度(上)と熱耐性(下)との関係<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<h3>トレハロースのガラス化</h3>
<p class="indent">ガラスとは、結晶とは異なり分子や原子が不規則な空間配置を維持したまま固形になった状態を指します。日常目にする窓ガラスはシリコンなど無機物質が"ガラス化"した状態です。バーナー等でガラスを加熱すると、やがて分子や原子の動きが急激に活発になり、ガラスは軟化します。これをガラス転移と言い、その境となる温度をガラス転移温度(Tg)と言います。近年、トレハロースなどの糖類も温度や湿度等の条件に応じてガラス化することが広く知られるようになりました。ガラスには分子などの配列に規則性は要求されないため、細胞膜やタンパク質が共存しても互いに分離することなくトレハロースは固化します。その結果としてガラス状態のトレハロースが生体物質をカプセル状に包み込み、乾燥ストレスから保護していると予想されました。そこで蘇生率の異なる両サンプルを示差走査熱量計(differential scanning calorimeter, DSC)を用いて0～100℃の範囲で5℃/min.でスキャンし、ガラス転移温度を測定したところ、蘇生可能なトレハロースを蓄積しているSlowでは明瞭なガラス転移挙動が観測されましたが(図3上　矢印)、トレハロースをほとんど持たない蘇生不可能なQuickではガラス転移が確認されませんでした。Slow幼虫に対して80℃以上の温度処理をすると、再水和後の蘇生率が急速に低下しました(図3下)。トレハロースの生体成分の保護機能は、ガラス状態からラバー状態に相転移して失われたことになります。ちなみに、転移の開始点は56℃、転移中点は65℃、終了点は72℃でした。自然界では、ネムリユスリカが棲息する岩盤の表面温度は日中60℃にも達しますが、乾燥幼虫のガラス転移温度の終了点はそれ以上であることから、クリプトビオシスは問題なく維持されます。トレハロースは糖類の中でもガラス化しやすく、ガラス転移温度が高いという性質を持ちます。このトレハロースを適合溶質として選択したことが、ネムリユスリカが乾期に生き残ることに成功した理由の一つかもしれません。</p>

<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/okuda_table1.pdf" target="_blank"><img alt="表: 湿度処理の蘇生率とガラス転移温度(Tg)への影響" src="http://column.odokon.org/archives/okuda_table1thum.jpg" width="240" height="145" /></a>
	<p class="no-indent">
		表: 湿度処理の蘇生率とガラス転移温度(Tg)への影響<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">湿気はガラス状態を保持するには不利な条件であることが物質科学の分野でよく知られています。そこでSlowサンプルがガラス状態であることと、それが蘇生可能であることの関係をより明確にするため吸湿試験も行いました(表)。例えば、ネムリユスリカ乾燥幼虫(相対湿度5%に保存)を相対湿度98%の条件に移し5日間置くと、含水量3%だったのが吸水して36%になり、DSCで計測するとガラス転移曲線が確認されませんでした。体内に大量のトレハロースを蓄積していても、それがガラスではなくなると生体成分の保護機能は失われ、幼虫は水に戻しても蘇生しませんでした。ネムリユスリカのクリプトビオシスはアフリカの半乾燥地帯の乾季でのみ成立する現象かもしれません。</p>

<h3 class="clearfloat">トレハロースの水置換</h3>
<p class="indent">代謝活動が行われている通常の生体では、細胞膜は潤沢な水に覆われ、流動性に富んだ柔軟性をもった液晶状態にあります。乾燥により細胞膜表面の水分(結合水)が失われると、細胞膜は柔軟性を失い、ゲルと呼ばれる固化した状態に変化します。クリプトビオシス幼虫の細胞膜が液晶状態を維持していることが確認できれば、水置換仮説の証明をしたことになります。分光分析の結果、Slowの細胞膜は、乾燥した状態にあるにも関わらず通常の生命活動状態のときと同様に、常温でも高い流動性をもった液晶状態に保たれていることが分かりました。一方、Quickでは、常温での細胞膜の流動性は一部失われ、部分的にゲルと呼ばれる固い状態になっていました。ここで細胞膜を構成するリン脂質を爪楊枝に例えて補足説明をします。円筒形の容器に100本ほどの爪楊枝がぎっしり入った状態を想像してください。そこから20本ほど爪楊枝を抜くと、上から指を1本差し込めるくらい爪楊枝は横への移動ができる状態になります。これが液晶状態で、水和した細胞の細胞膜はこのような状態にあります。Slowの細胞膜というのは、本来水が存在しているところにトレハロースが置換しガラス化しながら液晶状態を保持しているものと考えられます。一方、爪楊枝がぎっしり詰まって縦にも横にも動かない状態がゲルです。Quickでは、乾燥と再水和の過程で、液晶からゲルへと相変異が生じます。その際に、細胞膜上の複数箇所でゲル化が生じると液晶とゲルの異なる相の境界線は亀裂ができますのでこれが細胞膜の損傷の原因となります。トレハロースの水置換は幼虫の脱水の過程の途中で、ガラス化は終盤で起こります。</p>

<h3>おわりに</h3>
<p class="indent">乾燥ストレスは脱水に伴う塩ストレスなどと共に活性酸素を発生させ、それがタンパク質や脂質の酸化やDNA切断をもたらし細胞死(アポトーシス)や細胞のガン化を引き起こします。ネムリユスリカの幼虫体内では、乾燥や塩ストレスの刺激によって生体成分を保護する機構が発動します。しかし生体成分の損傷は完全に回避できないことが最近の研究でわかってきました。どうやらネムリユスリカはその損傷を蘇生時に修復しているようです。クリプトビオシス現象の解明研究は新たな方向に展開し始め、ますます面白くなってきました。</p>
　
<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Sakurai M., Furuki T., Akao K., Tanaka D., Nakahara Y., Watanabe M., Kikawada T., Okuda T. (2008) Vitrification is essential for anhydrobiosis in an African chironomid, <I>Polypedilum vanderplanki</I>. <i>Proc. Nat. Acad. Sci. USA</i> 105(13): 5093-5098</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>アゲハ幼虫の紋様の切り替えは幼若ホルモンによって制御されていた</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2008/0415_234500.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2008:/column//3.396</id>
   
   <published>2008-04-15T14:45:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:14:46Z</updated>
   
   <summary>アゲハPapilio xuthusの幼虫を飼育された方も多いと思いますが、終齢に...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="topic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">アゲハ<i>Papilio xuthus</i>の幼虫を飼育された方も多いと思いますが、終齢になるときの劇的な紋様の変化には、目を見張るものがあります。若齢幼虫は鳥のフンに擬態し、終齢幼虫は周囲の食草に紛れ込む効果があると考えられています(図1)。このような現象について、小学生の頃から不思議に思われた方もいるのではないかと思いますが、その分子レベルでの実体は最近まで全く不明でした。その原因の一つには、紋様に関わる遺伝子がそもそも不明であったことが挙げられると思います。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/futahashi_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/futahashi_fig1.php','popup','width=817,height=1202,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/futahashi_fig1-thumb.jpg" width="240" height="360" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: アゲハの4齢幼虫(上)と5齢幼虫(下)。Futahashi & Fujiwara, 2008を改変。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">筆者らは、アゲハの若齢幼虫と終齢幼虫の間で遺伝子発現を比較することで、それぞれの紋様に関わる複数の遺伝子の同定に成功しました。その中には、若齢幼虫のイボ状の突起の部分で特異的に発現するクチクラ蛋白質(HCP1, HCP2)や終齢幼虫の緑色の形成に関わる蛋白質(BBP)、さらにそれぞれの紋様の黒色部の形成に関わる酵素(TH, DDC, GTPCHI, yellow)、目玉紋様の赤いスポットの形成に関わる酵素(ebony)などが含まれています(Futahashi & Fujiwara, 2005, 2006, 2007, 2008)。これらの遺伝子の発現が、4齢から5齢になるときにだけ大きく変化することが、紋様の劇的な変化の直接的な原因であると考えられました。</p>
<p class="indent">それでは、この遺伝子発現の劇的な変化は何が引き起こしているのでしょうか。</p>
<div class="figure-right figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/futahashi_fig2.pdf" target="_blank"><img alt="図2: 体液中のJH濃度は4齢幼虫の間に下降しており、4齢初期(水色の期間)にJH類似物を投与すると、5齢幼虫の紋様が若齢型へと変化する。" src="http://column.odokon.org/archives/futahashi_fig2thum.jpg" width="240" height="136" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: 体液中のJH濃度は4齢幼虫の間に下降しており、4齢初期(水色の期間)にJH類似物を投与すると、5齢幼虫の紋様が若齢型へと変化する(右上)。処理によっては中間型も現れる(右中)。また、同時に遺伝子発現も若齢型に変化する(囲み内)。HCP1とHCP2は、若齢のイボ状突起の領域で発現するクチクラ蛋白質で、BBPは青色色素結合に関わる蛋白質。rpL3は恒常的に発現する遺伝子。Futahashi & Fujiwara, 2008を改変。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">この変化は脱皮を介して行われていることから、脱皮・変態に関わる2つのホルモン(エクジソンとJH)に着目しました。JH(幼若ホルモン)は、一般的にその濃度が高いときにエクジソンのパルスが生じると幼虫から幼虫へと脱皮を繰り返すのに対し、JH濃度が下がってからエクジソンのパルスが生じると蛹へと変態することが知られています。アゲハ幼虫で体液中のJH濃度の変化を測定したところ、4齢になってすぐに急激に減少していることが確認されました(図2)。また、この時期(図2の水色の期間)にJH類似物を幼虫に塗布すると、通常見られない鳥のフン型の5齢幼虫が現れました(図2右)。さらに、JH処理個体では、遺伝子発現も若齢型に変化していることが確認されました(図2、囲み内)。以上の結果はJH依存的にアゲハ幼虫の紋様が決められていることを示唆しています(Futahashi & Fujiwara, 2008)。</p>
<p class="indent">つまり、アゲハでは鳥のフン幼虫、緑の幼虫、蛹という3段階の変化が、いずれもJH濃度に応じて生じていると考えられるのです。JHによる遺伝子ネットワークは、まだ未解明な部分が多く残されていますが、アゲハ幼虫の解析から、紋様形成とJHによる遺伝子発現という2つの分野に新たな知見が得られることが期待されます。</p>
<p class="indent">ここでの内容について、さらに詳しく知りたい方は、以下の文献をご参照ください。</p>
<h3></h3>
<ul>
	<li>Futahashi R., Fujiwara H. (2008) Juvenile hormone regulates butterfly larval pattern switches. <i>Science</i> 319: 1061.</li>
	<li>Futahashi R., Fujiwara H. (2007) Regulation of 20-hydroxyecdysone on the larval pigmentation and the expression of melanin synthesis enzymes and <i>yellow</i> gene of the swallowtail butterfly, <i>Papilio xuthus</i>. <i>Insect Biochem. Mol. Biol.</i> 37: 855-864.</li>
	<li>Futahashi R., Fujiwara H. (2006) Expression of one isoform of GTP cyclohydrolase I coincides with the larval black markings of the swallowtail butterfly, <i>Papilio xuthus</i>. <i>Insect Biochem. Mol. Biol.</i> 36: 63-70.</li>
	<li>Futahashi R., Fujiwara H. (2005) Melanin-synthesis enzymes coregulate stage-specific larval cuticular markings in the swallowtail butterfly, <i>Papilio xuthus</i>. <i>Dev. Genes Evol.</i> 215: 519-529.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>チョウでみられる共生細菌が原因の性転換現象 〜昆虫の性決定メカニズムに迫れるか？〜</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/1101_190000.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.390</id>
   
   <published>2007-11-01T10:00:00Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:29:01Z</updated>
   
   <summary>キチョウ(Eurema hecabe)は、シロチョウ科に属しており、その名の通り...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="topic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">キチョウ(<i>Eurema hecabe</i>)は、シロチョウ科に属しており、その名の通り翅が黄色い小型のチョウである。一見、同じシロチョウ科に属するモンキチョウと似ているが、筆者の多分に主観的な印象を述べさせていただくと、キチョウのほうが格段に上品で可憐である。水辺の近い少し開けた山地や住宅地などで、キチョウがひらひらと舞うように羽ばたいているのを、春から秋にかけて目にしたことがある人は多いと思う。実は、このキチョウは我々の目を和ませてくれるだけでなく、<i>Wolbachia</i>という共生細菌に感染しており、昆虫の性決定や昆虫-微生物間相互作用という、興味深く、しかも重要な問題について取り組む材料を提供してくれているのだ。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/narita_fig1.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/narita_fig1.php','popup','width=817,height=600,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/narita_fig1-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: キチョウとボルバキア。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">普通、本州でキチョウを採集して卵を産ませて育てると、性比は完全な一対一になっている。ところが驚くべきことに、種子島や沖縄島で採集されたキチョウに子どもを産ませると、その子どもがすべてメスという状況がしばしば観察される。この現象は、共生細菌ボルバキア(<i>Wolbachia</i>)がキチョウの遺伝的オスをメスに性転換させていることによって起きているのだ。</p>

<p class="indent">いつ、どうやって共生細菌ボルバキアがオスのキチョウをメスに変えてしまうのだろうか?その手がかりを得ようと、ボルバキア感染によりメスだけが生まれてくるキチョウの系統において、幼虫を抗生物質テトラサイクリン入りの人工飼料で飼育することにより、体内の共生細菌を選択的に抑制、除去することを試みた。</p>

<p class="indent">その結果、これらの羽化したチョウの多くは、興味深いことにオスの形質とメスの形質をあわせもつ間性個体であった(図2;図3)。これは、ボルバキアの感染が抗生物質で抑制されることにより、オスからメスへの性転換の作用が不完全となり、間性個体が生じたのだと思われた。1齢幼虫期から抗生物質処理したときのみならず、4齢幼虫期から抗生物質処理したときにも、間性個体はあらわれた。したがって、遺伝的にオスのチョウを完全に機能的なメスに性転換するには、少なくとも1齢幼虫期から4齢幼虫期にわたってボルバキアが継続的に感染して、宿主に作用し続けることが必要なことが示された。</p>

<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/narita_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/narita_fig2.php','popup','width=817,height=671,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/narita_fig2-thumb.jpg" width="240" height="201" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図2: (上左)正常なオスの精巣。赤い色素を有する。(上右)正常なメスの卵巣。卵巣小管中に発達過程の卵細胞が並ぶ。(下段)間性個体の生殖巣。卵巣と精巣が共存している。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/narita_fig3.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/narita_fig3.php','popup','width=817,height=775,scrollbars=yes,resizable=yes,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/narita_fig3-thumb.jpg" width="240" height="232" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図3: (上右)正常なオスの交尾器、青矢印は交尾弁縁棘というオス特有の構造。(上右)正常なメスの交尾器。赤矢印は肛乳房突起というメス特有の構造。(下段)間性個体の交尾器。交尾弁縁棘と肛乳房突起が共存している。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>

<p class="indent clearfloat">ほとんどの動物では、オスとメスは受精時の染色体構成により遺伝的に決定され、受精卵がオスになるかメスになるかの分化は発生のごく初期段階で起こる。したがって、生殖操作をおこなう共生細菌は、受精卵の初期発生の段階で性分化の機構になんらかの方法で働きかけ、遺伝的にオスである個体をメスに変えてしまうのだと考えられてきた。今回の発見は、共生細菌による昆虫の性転換機構に関する従来の説に再考をうながすのみならず、性ホルモンの存在が知られていない昆虫類でも後期発生の過程における性転換が可能なことを示唆する知見であり、昆虫の性制御や生殖工学の観点からも注目される。今後、共生細菌が昆虫のオスをメスに性転換する、具体的な分子機構の解明が期待される。</p>

<h3>参考文献</h3>
<ul>
	<li>Hiroki, M., Kato, Y., Kamito, T., Miura, K. (2002) Feminization of genetic males by a symbiotic bacterium in a butterfly, <i>Eurema hecabe</i> (Lepidoptera: Pieridae). <i>Naturwissenschaften</i> 89: 167-170.</li>
	<li>Hiroki, M., Tagami, Y., Miura, K., Kato, Y. (2004) Multiple infection with <i>Wolbachia</i> inducing different reproductive manipulations in the butterfly <i>Eurema hecabe</i>. <i>Proceedings of the Royal Society of London, Biological Sciences, Series B</i> 271: 1751-1755.</li>
	<li>Narita, S., Kageyama, D., Nomura, M., Fukatsu, T. (2007) Unexpected mechanism of symbiont-induced reversal of insect sex: feminizing <i>Wolbachia</i> continuously acts on the butterfly <i>Eurema hecabe</i> during larval development. <i>Applied and Environmental Microbiology</i> 73: 4332-4314.</li>
	<li>Narita, S., Nomura, M., Kageyama, D. (2007) Naturally occurring single and double infection with <i>Wolbachia</i> strains in the butterfly Eurema hecabe: transmission efficiencies and population density dynamics of each <i>Wolbachia</i> strain. <i>FEMS Microbiology Ecology</i> 61: 235-245.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>利用できるエサ植物は腸内共生細菌で決まる</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0802_170330.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.386</id>
   
   <published>2007-08-02T08:03:30Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:29:33Z</updated>
   
   <summary>植食性昆虫がエサとして効率良く利用できる植物の範囲は限られており、その範囲は昆虫...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="topic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">植食性昆虫がエサとして効率良く利用できる植物の範囲は限られており、その範囲は昆虫の種によって異なります。たとえば、モンシロチョウの幼虫は一部のアブラナ科植物だけ、モンキチョウの幼虫は一部のマメ科植物だけ、といった具合です。これまでは各昆虫の植物利用能力はそれぞれの昆虫自身がもつ遺伝子型によって決まっていると考えられていました。しかし最近、昆虫の体内に共生する微生物の遺伝子型も重要であることがわかってきました。ここではマルカメムシ類と腸内共生細菌の研究例を紹介します。</p>]]>
      <![CDATA[<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hosokawa_1-1k.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/hosokawa_1-1k.php','popup','width=640,height=760,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/hosokawa_1-1k-thumb.jpg" width="240" height="285" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		図1: マメ科作物をエサにして飼育したマルカメムシ(上)とタイワンマルカメムシ(下)。いずれも左が本来の腸内共生細菌を保持するメス、右が腸内共生細菌を入れ替えたメス。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">本州、四国、九州に生息するマルカメムシ<i>Megacopta punctatissima</i>(図1上)はエサとして主にクズを利用していますが、その他にもフジやハギなどのマメ科植物、さらにはダイズなどのマメ科作物も利用します。一方、南西諸島に生息するタイワンマルカメムシ<i>M. cribraria</i>(図1下)はもっぱらタイワンクズを利用し、他のマメ科植物を利用することは稀です。この2種は実験室内で交配させると妊性のある雑種が産まれるほどに近縁なのですが、植物利用能力は異なっている可能性が考えられます。</p>
<p class="indent">2種のカメムシを実験室内でマメ科作物(ダイズとエンドウ)をエサにして飼育してみると、植物利用能力の違いがはっきりと見てとれました。幼虫期の成長については両種ともに異常は見られませんでしたが(図1)、マルカメムシの卵はほぼ正常に孵化するのに対して、タイワンマルカメムシの卵の孵化率は低かったのです(図2)。タイワンマルカメムシに比べるとマルカメムシはマメ科作物を効率良く利用できるようです。</p>
<div class="figure-right figure-240px clearfloat">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/hosokawa_2-2k.pdf" target="_blank"><img alt="hosokawa_2-2kthum.gif" src="http://column.odokon.org/archives/hosokawa_2-2kthum.gif" width="240" height="403" /></a>	<p class="no-indent">
		図2: マメ科作物をエサにして飼育したマルカメムシ(上)とタイワンマルカメムシ(下)の卵の孵化率。いずれも左が本来の腸内共生細菌を保持するメスが産んだ卵、右が腸内共生細菌を入れ替えたメスが産んだ卵。グラフ内の数字はそれぞれサンプル数を示す。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent">マルカメムシの仲間はすべて種特異的な腸内共生細菌を保持しており、その共生細菌は“カプセル"によってメス親から子へ伝えられます(詳しくは関連記事<a href="http://column.odokon.org/archives/2007/0802_171507.php">マルカメムシの共生細菌カプセル</a>を参照)。そこで、孵化幼虫に異種のカプセルを吸わせることでマルカメムシとタイワンマルカメムシの腸内共生細菌を相互に入れ替え、マメ科作物上で飼育してみました。その結果、驚くべきことに孵化率の関係が逆転しました(図2)。つまりどちらのカメムシ種においても、マルカメムシ由来の共生細菌を保持しているとマメ科作物を効率よく利用でき、タイワンマルカメムシ由来の共生細菌を保持しているとうまく利用できないということです。これらの結果は、マルカメムシの仲間が利用できる植物は腸内共生細菌の遺伝子型に大きな影響を受けていることを示しています。</p>
<p class="indent">今後は、マルカメムシとタイワンマルカメムシの腸内共生細菌の全ゲノムを解明・比較することによって、宿主カメムシの植物利用能力を規定する具体的な機構を明らかにしていく予定です。</p>
<p class="indent">ここでの内容について、さらに詳しく知りたい方は以下の文献をご参照ください。</p>
<h3>参考文献・サイト</h3>
<ul>
	<li><a href="http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2007/pr20070613/pr20070613.html" target="_blank">該当記事のプレスリリース・産業技術総合研究所</a></li>
	<li>Hosokawa, T., Kikuchi, Y., Shimada, M., Fukatsu, T. (2007) Obligate symbiont involved in pest status of host insect. <i>Proceedings of the Royal Society B</i> 274: 1979-1984.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>
<entry>
   <title>エイリアンもびっくり、不思議なセンチュウがスズメバチから見つかる</title>
   <link rel="alternate" type="text/html" href="http://column.odokon.org/2007/0530_162228.php" />
   <id>tag:odokon.sakura.ne.jp,2007:/column//3.381</id>
   
   <published>2007-05-30T07:22:28Z</published>
   <updated>2010-12-02T06:30:02Z</updated>
   
   <summary>エイリアンという映画をご存じだろうか。シガニーウィーバー主演で話題となったSF映...</summary>
   <author>
      <name></name>
      
   </author>
         <category term="topic" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
   
   
   <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://column.odokon.org/">
      <![CDATA[<p class="indent">エイリアンという映画をご存じだろうか。シガニーウィーバー主演で話題となったSF映画であり、あたかもシロアリを連想させるような、不気味なエイリアンが人類を襲うというものである。特にマザーと呼ばれるエイリアンの母親はすさまじく、巨大に肥大した腹部から次々にエイリアンの卵を産んでいる姿は、おぞましいものであった。女王の腹部が巨大化するのはシロアリでは有名であるが、最近の研究により、さらにすさまじい例がスズメバチに寄生するセンチュウでみつかった。</p>]]>
      <![CDATA[<p class="indent">ことの起こりは、スズメバチの生態調査で春先のスズメバチを調べていたところ越冬あけの女王蜂の腹部に異常なものが見つかったことによる(写真1)。</p>
<div class="figure-right figure-160px">
	<img alt="fukuyama_fig1.jpg" src="http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig1.jpg" width="160" height="243" />
	<p class="no-indent">
		写真1: キイロスズメバチの越冬明け女王(スケールは1cm)。赤丸の部分に線虫がいる。
	</p>
</div>
<p class="indent">これは、腹部にぎっしりとつまった卵のように見えたが、何であるかわからなかった(写真2)。幸い、センチュウの専門家が身近にいたこともあり、調べてもらったところ、これは寄生性のセンチュウ(<I>Sphaerularia</I> sp.)であり、卵のように詰まって見えたのは、センチュウの生殖器官が千倍ほどにも肥大した物であることがわかったのである。また、寄生された女王の卵巣は発達していなかった。これまで、マルハナバチ類からは同様なセンチュウが見つかっていたが、スズメバチ属から見つかったのは世界的にも初めてである。無敵を誇っていたスズメバチにもエイリアンもびっくりの意外な強敵が潜んでいたのである。</p>
<div class="figure-left figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig2.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig2.php','popup','width=264,height=404,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig2-thumb.jpg" width="240" height="367" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真2: センチュウに寄生された、キイロスズメバチの腹部の内部。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<div class="figure-right figure-240px">
	<a href="http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig3.php" onclick="window.open('http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig3.php','popup','width=330,height=248,scrollbars=no,resizable=no,toolbar=no,directories=no,location=no,menubar=no,status=no,left=0,top=0'); return false"><img src="http://column.odokon.org/archives/fukuyama_fig3-thumb.jpg" width="240" height="180" alt="" /></a>
	<p class="no-indent">
		写真3: キイロスズメバチの初期の巣。センチュウに寄生された女王は、巣を作っても子どもを作ることは出来ない。<br />
		(クリックで拡大します)
	</p>
</div>
<p class="indent clearfloat">この発見は、独立行政法人森林総合研究所北海道支所のハチの専門家・佐山勝彦とセンチュウの専門家・小坂 肇および森林総合研究所森林昆虫研究領域長の牧野俊一によるものである。</p>
<p class="indent">詳細は下記<a href="http://www.springerlink.com/content/1l0008544j223531/" target="_blank">参考文献</a>か、あるいは<a href="http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/Press-release/2007/killerbee20070405.html" target="_blank">詳細記事へのリンク</a>を参照いただきたい。</p>
<h3>撮影者</h3>
<ul>
	<li>写真1: 牧野俊一</li>
	<li>写真2: 小坂 肇</li>
	<li>写真3: 佐山勝彦</li>
</ul>
<h3>参考文献(写真2出典含む)</h3>
<ul>
	<li>Sayama, K., Kosaka, H., Makino, S. (2007) The first record of infection and sterilization by the nematode <I>Sphaerularia</I> in hornets (Hymenoptera, Vespidae, <I>Vespa</I>). Insectes Sociaux 54(1): 53-55.</li>
</ul>]]>
   </content>
</entry>


</feed>

